さて、そんな悩める親たちのための託児サービス「にじいろポッケ」が、今、大きな注目を集めているのをご存じでしょうか?
「にじいろポッケ」が行うのは、イベント会場近辺への「臨時保育所」の設置。同サービスでは、参加希望者から預かった分担金をもとに、当日の託児スペースと保育スタッフを企画代表者が手配してくれます。同人イベント史上類を見ないこの取り組み――実現に挑んだのは、一人の母親でした。
「子育て中も自分らしく」活動支えた同志たち
「にじいろポッケ」代表の四辻さつきさんは、二児の子育てに奮闘中のお母さん。ご自身も子育てとお仕事の合間を縫って、これまで同人活動を続けてきました。四辻さんの抱く問題意識は、そうした生の経験に基づいたもの。
提供:にじいろポッケ
「子育て真っ最中のパパやママが、自分の楽しみを持つということはリフレッシュの意味でとても重要です。ただ(世間の風潮としては)何か後ろめたい部分があり、時には批判の対象になったりもします。私の場合は周囲の理解に助けられた部分がありますが、そもそも家族に趣味を認めてもらえないという方も多い。そういう方たちに向けて、新しい選択肢を提示できれば」
そんな想いから彼女が続けてきた活動も、最初から順風満帆というわけではありませんでした。と言うのも、この臨時保育所は設置費用を参加者全員で分担するため、希望者数が少なければ料金が割高になってしまう上、最悪の場合、設置中止となることもあり得たのです。
設置を確約しなければ参加者は集まらず、設置を確約するためには参加者を集めなければならないというジレンマ。活動に限界を感じ「やめた方が楽なんじゃないか、そう思うこともありました」と四辻さんは漏らします。
そんな中、昨年11月27日、四辻さんは活動資金100万円を募るクラウドファンディングを始めました。そのページにはこうあります。
もし達成しなければ、2017年冬コミをもって、この活動を休止したいと考えています。
(未達成だった場合のご支援金は、全てお返し致します)
背水の陣で臨んだクラウドファンディング。
果たしてその結果は・・・。
集まった寄付は、340万円超。当初目標としていた金額の3倍以上の支援が「にじいろポッケ」のもとに集まったのです。この結果について、四辻さんは当時の心境を振り返りつつ、このように語ります。
「活動資金が集まったことはもちろん嬉しかったのですが、なによりも、子育てが一段落したお母さんや、独身の方からご支援を頂けたのが嬉しかったです。その声自体が、子育てしながら同人活動をしている人、ひいては子育てしている人全体の励みになるんじゃないかと思って、そういう応援の声があるということを伝えられただけでも(「にじいろポッケ」の活動は)続けていく価値があるんだと思えました」
提供:にじいろポッケ
提供:にじいろポッケ
大勢のサポーターの後押しを受けて、「にじいろポッケ」は今後も活動を続けていく方針。取材の終わり、これからの展望を四辻さんに伺ったところ、彼女は照れ臭そうにこう答えました。
「ママやパパが自分自身を生きること、自分らしく楽しむことを、もっともっと応援していきたいです。子どもを育てていく上で、親として我慢が必要な部分というのも、もちろんあると思います。でも、子育てとは別のところに、自分自身の楽しいことや好きなものがあるのは、素敵なことではないでしょうか。その楽しみのために子どもを犠牲にするのではなくて、子ども自身も楽しめるような、そんな環境を作っていければと思っています」
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大事なことだな