これは1989年、ニューヨークで生まれた少女ダニエラに実際に起こったエピソードです。
2002年
部屋に入ってくる両親に気付き、ダニエラは顔を上げました。
「話さなくてはならないことがあるの。」
両親は不器用に話を切り出します。
自分の本当の父親は別にいることを知らされた瞬間でした。
精子バンクから提供された精子を使用して人工授精が行われていたという事実は、当時12歳のダニエラにはあまりにも重いものでした。
彼女はこれまでずっと真実を隠してきた両親を許すことができず、トイレに一人閉じこもりました。
数週間が経過し、状況を受け止め、落ち着きを取り戻したダニエラは、自分の実の父親について思いをめぐらせ始めます。
一人っ子だったダニエラは昔から兄弟を欲しがっていたため、実の父親がいることを知らされると、どこかに兄弟がいるのではないかと思い始めました。
「ドナー150」を探しに
数ヶ月が経過し、父親を探す決心をしたダニエラは、あさっていた引き出しの中にある書類を見つけます。
見るとそこには、「ドナー150」の文字が。これが彼女の実の父親の登録ナンバーだったのです。
書類はカリフォルニア精子バンクから発行されたもので、「ドナー150」のプロフィールが記載されていました。
- 身長:183cm
- 髪:ブロンド
- 目:青
- 体重:74kg
- 趣味:ヨガ、ドラマ、音楽、哲学
ダニエラは両親に隠れ、インターネットで実の父親を探し始めます。
そこで彼女は、ドナー・シブリング・レジストリ(ドナー兄弟登記簿)という非営利のウェブサイトを発見します。ダニエラのような子供たちを兄弟と繋げようと試みているウェブサイトでした。
初めてのログインにもかかわらず、彼女は早速妹を見つけました。名前はジョエレン・マーシュ。彼女らはその後電話で話し、意気投合。ダニエラは自分に真実を隠し続けてきた両親を許せませんでしたが、ジョエレンと話すことで、ダニエラの怒りも徐々に収まってきました。
話をするにつれ、彼女たちの父親に会いたい気持ちは日に日に大きくなり、15ヶ月が経ったある日、ついに新聞に取り上げられました。
対面の時
カリフォルニアでコーヒーを飲みながら新聞を読んでいたジェフリーは、驚いて口に含んだコーヒーを吹き出しました。54歳だった彼は、記事を読んで自分こそが「ドナー150」だと気付いたのです。
1980年代、容姿端麗だった彼は精子バンクに自分の精子を提供することで月に400ドル(約4万円)を稼いでいました。大した意図もなく、お金のためだけにやっていたことでした。
その後、彼の人生は転落。ストリッパーになったり薬物に手を出したりしたこともあれば、現在は安定した仕事にも就いておらず、犬や鳩と共にキャンピングカーの中で生活しており、子供たちに会わせる顔はありませんでした。
後悔が彼を襲いましたが、1年が経過したある日、遂に自分の子供たちと対面すると決心。ジェフリーは登記簿を通じて子供たちに連絡を取りました。
そしてその夏、ダニエラとジョエレンはジェフリーの住む駐車場に足を運び、親子は初めて対面を果たします。
「ジェフリーが笑顔を見せてくれてよかったわ。私たちも笑顔でいれた。」
ダニエラはこう振り返ります。心が軽くなった瞬間でした。
初対面を果たしたジェフリー(左)とダニエラ(右)
その後
ダニエラによれば、現在は電話やメールで連絡をとり、お互いの近況を報告し合っているそう。フェイスブックでも友達であるとのこと。
その後の5年で、ドナー・シブリング・レジストリを通して12人の兄弟が見つかったというダニエラ。
自分たちの成功が、同じような状況にある人たちを勇気づけ、より多くの人が実の親と会うことができるようになると願っているそうです。
参照:DAILY NEWS
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