「目標は口に出せ!」なんて言葉をよく耳にします。
しかし、周囲に伝えることで目標に近づくことが本当にあるのでしょうか?
起業家のデレック・シバーズ(Derek Sivers)氏は、TEDのスピーチにて「目標を達成するためには、その目標を周囲に伝えるべきではない」と主張します。
▼目標は自分の心にしまっておく
シバーズ氏は以下のように語ります。
「自分の目標を人に伝えると、その目標をあまり達成しようとしなくなります。これまで行われてきた数々の心理実験でもそれが実証されています。どんな目標を達成するにおいても様々なステップを踏み、やるべきことをやらなければなりません。理想としては、目標を達成するまで満足することなく取り組むべきなのですが、自分の目標を周囲に伝えると私たちの心は目標をすでに達成したと勘違いしてしまいます。心理学者たちはこれを『ソーシャル・リアリティー』と呼びます。そしてその満足感を得てしまうと、私たちは実際に目標達成に必要な努力を怠ってしまうのです」
確かに、周囲に目標を伝えるだけで大きく成長したような気分になったり、周囲から「すごいね!」なんて言われてしまうとそれだけで満足感を得てしまいます。私たちの心はその満足感を、目標達成の満足感と混同してしまうのでしょうか。
シバーズ氏は、興味深い心理実験なども交えながら、目標は自分の心の中にしまっておくべきであると説得力のある説明をします。
▼主張を裏付ける心理実験
彼によれば、2009年に出版されたピーター・ゴルウィツァーという心理学者の本に、目標とその達成について興味深い実験結果が記載されていること。
以下がその実験内容です。
163人の被験者全員がそれぞれの目標を書き出します。半分の被験者が目標を周囲と共有し、もう半分は目標を誰にも伝えません。その後、その目標に向かってできることに取り組む時間が45分間与えられます。目標に近付いたと思ったらどの時点で作業をやめても構いません。
目標を周囲と共有した人たちは、平均して33分で作業を放棄してしまいました。その理由は、目標に近づいたように感じられたから。しかし目標を共有しなかった人たちは全員45分間をフルに使って作業に取り組みました。にも関わらず、彼らは目標達成までまだまだ道のりは長いと感じていると述べました。
「目標は自分の心にしまっておくべきである」というシバーズ氏の主張。これまで目標を周囲に伝えてきたにも関わらず成功しなかった人は、目標を口に出さないという選択肢もあることを覚えておくといいでしょう。
シバーズ氏のスピーチはこちらからご覧ください(再生開始後、字幕を日本語に設定することができます)。
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