いつも目の前に立つあの子
「困ってるんだ。
私には妻も子供もいるし、
なのにあんな若い子から
好かれるなんて…」
「でも、山崎さん。
ほんとなんですか、それ。
娘さんくらいの歳なんでしょ、その子」
「嘘であってほしい!
でも本当なんだ。
毎朝必ず電車の中で、
私の前に立つんだ。
私が座る席は毎日違うのに、
必ず私の目の前に」
「へ〜!」
「そして私が降りる駅に来ると、
いつも必ず私のことをじっと見つめてくるんだ」
「いやあ、
山崎さんも隅に置けないっすね!
うらやましいな〜」
「笑い事じゃないよ。
いつ気持ちを打ち明けられるか、
どうやって断ればあの子を
傷つけずにすむか、
頭が痛い…」
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「はあ、座れた〜!
いつも絶対にこの駅で降りる人
見つけておいてよかった〜
おじさんのぬくもりが残ってるのが気持ち悪いけど、
これくらい我慢しないとね…」
ショップ店員の嘘
「あのショップ店員さ、絶対俺に気があるな」
「は?
なんだそれ、嘘に決まってんだろ。
鏡見ろよお前」
「だってよ!
いつも俺のために服を取っといてくれるんだよ。
俺だけにだぞ?」
「あのなー。
そりゃお前が毎シーズン新作を買ってるからだろ。
ただの良い客だと思われてんだよ」
「でもな、別に高い服をすすめられるわけでもないし、
そもそも俺は年に数回しかあの店行かないんだよ」
「へー
それは確かに変だな。
なんでだろう」
「変じゃねえよ!
だから俺に気があるんだって!」
「そーかなー…お前が?
そんなことないと思うけどなー」
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「あのお客さん、もう行った?」
「行った行った。
ほんと、助かるね。
4XLなんてあの人しか買わないから」
ワシのご飯はまだかい?
■記事本文
「良子さん、ワシのご飯はまだかい?」
「おじいちゃん、
さっき食べたばかりでしょう?」
「おお、そうかそうか。
そうじゃった、そうじゃった。
ワシは腹いっぱいじゃ」
「ほら、もうなんにもわかってないのよ。
今日まだなにも食べてないのに」
「ほんとね。
一人息子の幸助さんも
独身のまま父親より先に死んじゃって、
もう血の繋がった肉親もいないんだし、
おじいちゃんも早く迎えにきてもらった方が幸せよ」
「私もいつまでも未亡人じゃ不安だし、
さっさと幸助さんの代わりを
見つけて再婚したいのよ…
でもあんなお荷物がいたんじゃ、
誰も結婚なんてしてくれないし」
「おーい、良子さん」
「はいはい、どうしました、
おじいちゃん」
「良子さん、ワシのご飯はまだかい?」
「おじいちゃん、
さっき食べたばかりでしょう?」
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「もしもし、警察ですか。
実は死んだ息子の嫁から虐待を受けていて。
ええ、ワシのことをボケてると思い込んでて、
それをいいことに
ご飯を食べさせてくれないんです」
これら作品は、スマートフォンというあなたが普段使い慣れているツールを使い、情報を集め、真実を解き明かしていくスマホドラマ『Lie ~嘘と真実~』の物語の一部です。
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