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【監督インタビュー】ガングロギャル青春映画『黒い暴動❤ 』が気になる【宇賀那健一氏】

宇賀那健一インタビュー
俳優・映画監督としてマルチに活躍する、宇賀那健一。そんな氏の監督最新作がギャルを題材にしたという、また着眼点が斜め上な『黒い暴動♥』だ。

この最新作とご自身のことを語っていただきたく、宇賀那監督を直撃しました!

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―まず、初めに、そもそも俳優である宇賀那さんが演技の道に進もうと思ったきっかけを教えてください。

「昔付き合っていた彼女が浅野忠信さんのファンで、嫉妬したのがきっかけです(笑)。それまで邦画はあまり見てこなかったのですが、浅野さん主演の『地雷を踏んだらサヨウナラ』を見てみたら、邦画も面白い!と。そしたら丁度その映画の舞台版で、俳優のオーディションがあったんです。で、応募して、その後事務所に入って、そこからがスタートでしたね」

―そこから、ご自身で映画監督をやろうとおもったきっかけは?

「出たい映画になかなか巡り合わないなと思っていまして、それなら自分で作ってしまえ!と思いまして。と言っても、自分が監督した映画に自分は出演していないのですが(笑)。そのへんについては監督業についてもまだまだ勉強中ですし、いざ撮ってみると、自分が出演するのとはまた違うのかなという思いもありまして」

―「映爆」というチームを作られたんですよね。

「『着信アリFinal』で一緒になった仲間たちと組んで、2007年に『発狂』という映画を作りました。その次はまた違うチームで『クリスマスの夜空に』を撮りましたね」

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―さて、ギャルを題材にした最新作『黒い暴動♥』なのですが、こちらはどんな映画なのでしょう?

「前作『クリスマスの夜空に』にも出演した女優さんが、オーディションの際、「中学の時に山形県のガングロギャルだったんですけど、ギャル同士で顔に貼るシールを取り合って、決闘していた」と言っていたのが、意味がわからなくて面白くて(笑)。とても、ロックンロールだなと。その発言に衝撃を受けて、ギャル映画を撮ろうと思いました」

―なるほど(笑)。

「まず、国会図書館に行って、『egg』のバックナンバーを読みあさりましたね。ギャルの変遷が世の中に対するひとつのカウンターカルチャーとして、ものすごいパワーを持っていることを知りました。そして、ガングロカフェにも行き、彼女たちに「なぜギャルという生き方を選んだのか?」と訊ねると、「え?好きだから。外野なんて空気だし」と返してきたのが、また、衝撃的で。現代のロックだ!と感じながらも、実は礼儀正しいギャルたち。"好きなことはやるけど迷惑はかけない"というマインドに感銘を受けましたね」

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―映画のあらすじについて教えていただけますでしょうか。

「石川県内灘町でうだつの上がらない高校生活を送っていた主人公の美羽(馬場ふみか)が、なんでこんなところでくすぶっているのか?周りなんてクソだなと感じながら、発散するにはロックだ!と思いつつも、これも違うなと。そんな時、ある先輩のギャル紗都美(今井華)が現われて、「外野なんて空気」と言い放つ。その一言が、美羽の思っていた全てを代弁してくれたことから物語は始まります。

そこから、美羽はギャルになって2人の友人たち(柳英里紗、平松可奈子)と青春を謳歌するのですが、それから12年後。アラサーの3人とも、それぞれの場所でうだつの上がらない生活をしている。美羽は東京でスタイリストの見習いをしているのですが、恋人はいない、セフレはいる、お金はたまらない…。もう1人は結婚して子供はいるけど、それはそれでうまくいっていない。さらに、もう1人はまた違う地方で風俗譲をしながら日銭を稼いでいるという、三者三様の人生で。楽しかったあのころを思い出しながら、この先どう進んでいくかと。ギャルパートとアラサーパートという構成になっています。」

―その3人のギャルたちを演じた女優さんの魅力は、どういったところでしょう?

「主演の馬場ふみかさんは、言葉に力のある女優さんです。人に届く言葉をシンプルに発せられますね。あと、対応性がとにかく高い。どんな演技を要求しても、すぐに答えてくれる、非常に飲み込みが早い人ですね。柳英里沙さんは、赤ちゃんの時から演技をしてた人なので、芸暦も25年くらい。現場経験豊富なので、とにかくうまい。自分自身もうまいけど、相手を立たせるのもうまい芝居をします。平松可奈子さんは、舞台の経験はありますが、映像作品は今回が初めで、純粋に芝居を楽しんでいましたね。コメディエンヌの才能もある人で、ギャルパートをデフォルメしたコミカルさにできたのは、彼女のおかげとも思います」

―役作りで大変だったことは何だったと思いますか?

「ほぼ石川県で撮影したのですが、まず石川の方言を覚えることでしたね。パラパラの練習も。あと"塗り"ですね。顔をギャルメイクにするだけで、どんなに急いでも1時間はかかりますから。それと何より自分たちの実年齢より若いギャル高校生と、自分たちより年上のアラサー女を演じなければならないことは、相当大変だったと思います。でも、彼女たちはギャルパートはコミカルに、アラサーパートは叙情的にと、見事に演じてくれました」

―ギャルユニット・BLACK DIAMONDも出演してますね。

「東京から10数人をマイクロバスで連れて行きました。みんな、気合入ってましたよ(笑)。でも、芝生の上でパラパラの練習するのは、「汚れるから嫌!」とか言ってましたけど(笑)」

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―撮影時のエピソードで印象深かったことは?

「内灘町のシンボルであるサンセットブリッジという橋をギャルの集団が自転車で疾走するシーンかな。道を封鎖したくて警察に頼んだのですが、慣れてなくてか途中で帰ってしまいました(笑)。しかも、そういったキモになるシーンの日が雨でして(笑)。あと、夏設定の話を寒い時期に撮ったので、みんなよく頑張りましたよ。集団でパラパラを踊るシーンがあるのですが、散々練習をしていたのも知ってますし、撮り終わった後は、まるで『ウォーターボーイズ』を見終わった後のようでした(笑)。ギャルたち、みんな泣いていましたし」

―最後に読者にメッセージを。

「他にもギャルのカリスマ今井華、金沢出身のカルトバンドのボーカルとして村上虹郎、渋谷のパラパラサークルの初代総長・なちゅ、実は元々、1番ギャルだったという加藤雅美、僕の目線を代弁してくれる役柄の間宮祥太朗、伝説のロックバンドのボーカリスト役の村上虹郎、そうそうたる面子が出ています。自分をきれいに見せることに力を入れることが女子力だとしたら、ギャルはスーパー女子力を持っていて、しっかりしているし、かっこいい。ギャルに偏見を持っている人も、見方が変わると思うので、ぜひ観ていただきたいです!」

宇賀那健一
1984年生まれ。浅野忠信に憧れ、高校の頃から俳優活動を開始。大学時代になると俳優のみならず監督・脚本・編集にも興味を持ち、映画を撮りだす。初監督作品『発狂』がアメリカを中心に数々の国際映画祭に入選し、高い評価を得る。

映画『黒い暴動♥』公式サイト

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