学生時代はあんなに嫌いだった勉強が、学校という学びの場から離れた大人になってみると急に面白みを感じたり、過去の自分を思い返して後悔したりしてしまうことも。
今回、クレイジー編集部は大手予備校である代々木ゼミナール(通称:代ゼミ)で開催された「世界史で旅が100倍楽しくなる講義」に参加させていただきました。
この講義は「代々木ゼミナール」「世界遺産検定」「TABIPPO」「H.I.S.スタディツアーデスク」との共催で毎年開講されているもので、一般の方が参加できます。そして、担当してくれるのは、28年にわたり代ゼミで世界史を教えている佐藤幸夫先生。
佐藤先生がこれまでに旅した国は、なんと97ヵ国。地球を17周し、280もの世界遺産を巡った経歴を持つお方です。
エピソードを軸に教える世界史
今回、講義してくれる内容は、高校球児にとっての甲子園、『君の名は。』にとっての岐阜県飛騨市宮川町・・・。そう!世界各地に点在する「聖地」について!
お堅い方かと思いきや「世界史で旅が100倍楽しくなる講義」では、冒頭からボケをかましていました。
指示棒の代わりに持ってきたのは、まさかの自撮り棒!
旅の友で、海外ではこの自撮り棒を使って写真を撮っているそう(笑)。
そんな初っ端からボケをかましてきた佐藤先生が、講義で使用する画像は自身が世界遺産で撮影してきた写真だそうで、その時のエピソードとともに、教えてくれるのですが・・・。
イスラエル、レバノン、ヨルダン、シリアの国境が接しているゴラン高原。
緊迫する紛争地帯。しかし、佐藤先生が撮影してきた写真は、戦車の前で降伏ポーズをとるお茶目なもの(画像左下)。
また、元嫁との新婚旅行エピソードを交えて語る、ちょっと切ないモンサンミシェル。
最近購入したという小型カメラの、グレーな使い方を教えてくれるとても親切な佐藤先生。
聞いていて飽きない!!
これが佐藤先生が生徒から支持されている理由。テストに出る用語をひたすらに暗記させようとするのではなく、自分の実体験とともに講義をする「ストーリー世界史講義」だから、聞いていて眠くなることがないんです。
大盛況で終えた「世界史で旅が100倍楽しくなる講義」。講義後の佐藤先生にインタビューをさせていただきました。
佐藤幸夫先生インタビュー
楽しい講義をありがとうございました。普段のお仕事の様子を教えてください。
お休みは日曜日で、普段は13時から21時が勤務時間です。
今回のように一般の人を招いて講義をすることがあるので、週3~4日が生徒と向き合う日。1日に4コマ授業してますね。授業の時間伸ばしちゃうんで結構怒られちゃうんですけど。
出社時間が遅いのは羨ましいですね、その分退社時間が遅くなりますけど。
午前から授業の先生もいます。私は午後からの方がいいです(笑)。
教科書にはドラマが載っていない
自分のエピソードと交えて講義をされていましたが、普段の授業でも同じようにしているんですか?
普段は黒板をばっちり使うんですけど、極力物語として世界史を教えるようにしています。
生徒から「暗記が出来ない」って言われることがあるんですが、そんなことないんです。だってドラマに出てくる登場人物の名前はしっかり覚えられるでしょ?
単語だけを暗記しようとするから覚えられないんですよ。だからドラマ仕立てで教えるようにしてます。
教科書にはドラマが載ってないから、覚えられないんです。
これまでに97ヵ国もの国を旅されたとのことですが、旅の際はそういった授業で使えるエピソードを探しに行くのが目的の一つなんですか?
そうですね。目的の一つになってます。教科書にはドラマが載ってない。行かなきゃわからないんで、それをこの目で確かめたいんです。
教科書に載っているところには全て行きたいんですよね。ずいぶん行っちゃったから、あと一割くらいかな。
97ヵ国を旅して経験した怖い体験
様々な場所を旅されて失敗談や怖い経験をしたことはありますか?
私の場合、レンタカーを借りてどこでも行っちゃうんですけど、ガソリンで失敗したことがありますね。スペインに行ったときにディーゼル車なのにガソリンいれちゃって・・・。海外は分かりにくいんですよ!でもまあ今となればネタですね。
怖い経験と言えば、夜中のサバンナ地帯を20キロくらい歩いたことかな。
サバンナを20キロ?しかも夜中に?
アフリカ大陸のマリ共和国にトンブクトゥっていう世界遺産があるんですよ。そこに行くにはサバンナを200キロくらい移動しないといけないんです。
ガイドの車で向かったんですが、向かう道中で車が壊れました。その時は何とか直してトンブクトゥに行けたんだけど、帰りにまた壊れちゃって。ライオンとか夜行性だから危ないんですよ。そんなサバンナのど真ん中で近くの村まで20キロくらい歩いた。あの時ばかりは、もう日本に帰れないなって思いましたよ。
夜中のサバンナは怖いですね・・・。人とトラブルになったことはないんですか?
ありますよ。それはねイラン!
あれは鮮明に覚えてますよ。97年にイランを訪れた時、79年の革命で占領されたアメリカ大使館が現在でも封鎖されて残ってたんです。で、その前で写真を撮りたくて、我慢できなくて撮っちゃったんですよ!そしたら、スパイ容疑(笑)。
スパイ容疑!?その後、どうなったんですか?
車で連行されたんですけど、パトカーみたいなのじゃなく、警察署にパンを運ぶための車。パンと一緒に連行されました(笑)。
その後、取り調べを受けたんですが、向こうはペルシャ語だからわからなくて・・・。
昔はデジカメじゃなくフィルムなんですよ。その時、バッグには8個くらいフィルムが入ってたんで、大変でした。でも、チョコレートを持ってたんで渡したら、喜んで食べてましたよ。
それで容疑は晴れたんですか?
そのあと、軍事基地に連れていかれたんですが、連行した人が上官らしき人に殴られてました。
忙しい時にこんなやつ連れてくんじゃねえよ!ってなったんじゃないですかね?そのまま解放されたんですが、場所も何も分からない山の上だったのでまた大変で・・・。なんとか下山してタクシーの運転手にホテル名を伝えて帰れましたが。
世界史とは世界と日本を比較すること
自業自得ですけど壮絶ですね・・・。最近も海外に行かれてるんですよね?
3月までエジプトに行ってました。年間で2か月くらいは海外に行ってますね。年越しもエジプトのピラミッド前で過ごしましたし。
恐ろしい経験をされてますが、生徒さんたちには海外に行くことを勧めますか?
絶対勧めます!講師の業務ではありませんが、一般の方向けのツアーをH.I.S.スタディツアーデスクと一緒に作ってるんです。夏に一回、冬に一回。
この間は30何人連れて行きました。前回で54回目ですね。延べ1200人くらいと旅したんじゃないかな。
自分で行ったことがある場所に連れて行くようにしているんで、こういうことしちゃダメとか分かってますから、今のところ大きなトラブルは一度も起きてないです!
やはり、自分の目で見てくることに価値があると。
そうですね。世界一周なんてエコノミーで回れば50万円くらいで行けますから、大学生には酒を飲むお金を海外旅行に回しなさいと言ってます。
でも、世界を知ると思っていくなら留学より旅を勧めています。
それはどうしてですか?
留学は高すぎますし、一ヵ国を深くですから・・・。もちろん、語学に磨きをかけて外国人と交流を楽しむことも悪くはありません。しかし、より広い世界を知りたいと思うなら留学より旅ではないですかね。ただ、ハワイは日本と変わらないのでダメ。疲れた人が行くところですよ(笑)。
生徒には日本とは違う場所に行ってほしいんです。日本人は日本の常識が世界のスタンダードだと思っているけど、それは間違っていることを知ってもらいたい。インド人とか窓から普通にゴミを捨てるからね(笑)。
でも、それは非常識ではないんです。向こうにとってはそれが常識。スペインなんかも、まあ働かないですよ!休憩中に酒飲んだりするし!
世界史って日本と世界の違いを比較することだと思うんですよ。
それを知って日本が嫌になって出ていく人もそれはそれでいいと思います。私は日本の方が絶対にいいと思いますけどね。
経験豊富な講師陣がいるから「生きた授業」を学べる代々木ゼミナール
これまで多くの国を旅してきた佐藤先生。
本当にユニークな方で、海外に行くと床屋に立ち寄っては「お任せ」で髪を切ったり、自撮りに命をかけるなどエピソードが途切れませんでした。
そんな経験豊富な講師陣が、自分の学生時代にいてくれたら、きっと勉強をもっと面白く感じたんじゃないだろうか。そう思わずにはいられない講義とインタビューでした。
今、勉強が嫌いでやる気が出ない。そう感じている学生さんは、代々木ゼミナールのユニークで経験豊富な先生の授業を受けてみてはいかがでしょうか。勉強が今よりも好きになるはずですよ。
今回参加させていただいた「世界史で旅が100倍楽しくなる講義」の第3弾が8月12日(日)に開催予定です。(詳細は、代ゼミWEBサイトに後日アップ予定。)
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