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「コンビニで傘パクられた!」犯人を捕まえて処罰できる?弁護士に聞いてみた

記事提供:刑事事件弁護士ナビ

いくらワンコインで買えるとはいえ、傘を盗まれたときの喪失感や怒りの感情は、もうなんともいえないものがあるでしょう。

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犯人を捜索するほど高価な物ではないし、とはいえまた新しい傘を買うためにお金を出すのはとても悔しい…。いったいこの気持ちをどこにぶちまければいいのかもわからぬまま、新しい傘をもってコンビニの列へ…。

こんな経験をされたことのある方も多いのではないでしょうか?

500円ほどで新しい傘は買えますから、いちいち犯人の捜索などはせず、泣き寝入りする人も多いでしょう。でもやはり、

いくら安い傘だとはいえ、人のものを勝手に持っていく盗人はどう考えても身勝手すぎる…!そんな人間は罪を償うべきだ…!

そう思う方もいるはずです。

ではいったい、コンビニで人の傘を勝手に持ち去るという行為は、どんな罪に該当するのでしょうか?

いくら安い傘でも盗めば窃盗罪

いくら安い傘であったとしても、他人の物を盗む行為は当然犯罪行為です。

傘を盗む行為には、次の2つの犯罪が成立する可能性があります。

1つは、他人が置き忘れたものを自分のものにしていまう「占有離脱物横領罪」

第二百五十四条
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。(引用元:刑法254条)

もう1つは、他人があえてそこに置いている物を勝手に持ち去る「窃盗罪」

第二百三十五条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。(引用元:刑法235条)

両罪の違いは、対象物に他人の支配が及んでいるかどうかです。

例えば道端に置き忘れた傘であれば他人の支配は及んでいないため、窃盗罪ではなく占有離脱物横領罪に問われる可能性が高いです。

一方、コンビニの利用客が傘立てに置いておいた傘は、その人の支配下にあるのが通常です。したがって、これを持ち去った場合は窃盗罪として扱われる可能性が高いです。

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また、会社内でも同じように傘がなくなるケースは多いですよね。確かに、会社には持ってきてそのままになっている置き傘がたくさんあるかもしれません。そのため、中には「置き傘の1本くらい」と自分のものではない傘を持ち帰ってしまおうと考えてしまう人もいるでしょう。

しかし、このような行為も窃盗罪として犯罪となってしまう可能性があるのです。

置き傘は、あえてそこに保管している場合には他人の支配が継続していると評価される余地がありますし、場合によっては会社の支配が及んでいると評価される場合もあるでしょう。会社の同僚に対する窃盗行為は、社員同士の信頼関係を壊してしまうかもしれませんよ…。



検挙はむずかしい…その理由は?

コンビニで傘を盗む行為は窃盗罪にあたる可能性が高いです。しかし、それを検挙するのは難しいというのが現状です。

傘を盗まれたと警察に被害届を出せば、これを受理してくれることもあるかもしれません。しかし、警察が傘1本のために捜査に動く可能性はほぼありません。

これは被害が軽微であることに加え、犯罪事実の立証が困難であるためと思われます(そもそも被害品の発見が困難であることや加害者の故意立証も困難であるため)。

したがって、自分の高価な傘が故意に盗まれたところを現行犯で捕まえたというような特別な場合でない限り、事件として立件されることはまずないでしょう。また、仮に立件されたとしても、被害が極めて軽微であることから、加害者が逮捕・勾留されたり、起訴されて有罪になるということも考えにくいです。

エルメスの高級バッグを盗もうが、100円ショップのビニール傘を盗もうが、その罪はどちらも等しく「窃盗罪」です。しかし傘泥棒の事案では、警察が積極的に動いてくれる現実的な可能性は低いといえます。

そのため、多くの場合は「傘だから仕方ない…」と、怒りを抑えつつ泣き寝入りというケースが多いようです。

逆にわざとコンビニへ傘を置き捨てるのはアリ?

また、コンビニに置いてある傘を盗む行為と似たものとして、「壊れた傘をコンビニに置いていく」というものがあります。もしかしたらご経験のある方もいるのではないでしょうか?

強風で壊れたり、もう使い物にならなくなったりしたら、置いていきたくもなりますよね。しかし、壊れた傘を他人の敷地に置き捨てる行為は廃棄物処理法違反として刑事罰の対象となる可能性はゼロではありません。もっとも、こちらも実際に立件されるケースはまれだと思われます(参考:不法投棄は犯罪|不法投棄で逮捕されるケースと重い罰則

傘を盗むのも、捨てるのも犯罪となる可能性のある行為です。それ以前に、このような行為はモラルに反しています。常識と節度を持った行動が望まれますね。


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プラム総合法律事務所
梅澤康二 弁護士
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

(ライター:刑事事件弁護士ナビ編集部)

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