我々地球人も ”悔しがることにより、成長できる”のではないか?という仮説を立証していきたい。(画像撮影協力/JOOKEY べジータ芸人・R藤本)
●「くそったれ!」其之一/コミックス完全版16巻・P.108 『くっそおおお~~~~~~~~!!!!』
<状況解説>悟空の4倍カメハメ波により、当時の必殺技・ギャリック砲を跳ね返され、結局、カカロット(悟空)の方が 戦闘力が上なんじゃねーかと驚いた時の「くそったれ!」
【考察】
記念すべきファースト「くそったれ!」は、惜しくも「たれ!」までは到達しなかったが、これがあえて重要なポイントだとも考えられる。
ここからべジータの成長が始まったとすると、「たれ!」まで言えていないこの叫びは"フレーズそのものをたまたま放ったら、
ギャグとして定着しちゃった芸人におけるネタの初期型"とも例えられるのではないだろうか。 この後、「ちっくしょうめぇぇ~~~~!!!! オレはサイヤ人一だ!!! オレは全世界で いちばん強いんだぞ――――――!!!!」という発言の
「だぞ――――――!!!!」といった、わんぱく小僧のような言い回し、 「"全世界"じゃなく、"全宇宙"じゃねーのか?
おまえ、地球に襲来した宇宙人やん!」とツッコミたくなるような節々にも、 まだまだ青臭い彼の、これから成長を始めるのであろう(実年齢はよくわからないが)、
遅い青春時代っぷりが感じられる。
●「くそったれ!」其之二/コミックス完全版16巻・P.109 『くそったれ……!! この星のやつらを てっとりばやく かたづけてやるために満月の日を選んでやってきたのに…』
<状況解説>フレージングとしては、こちらがファーストヴォイス。台詞どうりの「くそったれ!」
【考察】
其之一からの次ページで、いきなり発言していたということも興味深い史実である。 満月の日をわざわざ選んできたという、
実は几帳面であるという彼のA型気質もうかがえる(A型かどうかは知らんが)。 この後、月がないことに気付き、
伝説の「はじけてまざれっ!!!!」発言と共に自ら満月を作り上げ、大猿になって大暴れを開始。
しかし、ヤンキーだったらもっと強い先輩を呼んできて相手をビビらすところを、満月作成から変身→ 大暴れまですべて自分一人で行っている意地の見せっぷりは、
わんぱく小僧から"男"として一皮剥けた彼の成長具合がうかがえる。
●「くそったれ!」其之三/コミックス完全版16巻・P.207 『く…くそったれ…! われながら なさけない破壊力だ……』
<状況解説>カカロットの元気玉を喰らい、大ダメージを受けた後に爆裂的な気を放出。 カカロットたちも瀕死の状態になった後の「くそったれ!」
【考察】
この後の「お…おもったよりダメージは大きい… は、はやく こいつらをかたづけて休養をとらんと……」
と、"死のふちから這い上がる度に戦闘力を増す"というサイヤ人の特性を実は伏線的に説明している発言も、別視点からのポイントは高い。 そして、"胃の中の蛙から大海に飛び出したい・いつまでも子供のままではいられない"という、 彼の"大人になろうとする上での、くそったれジレンマ感"が強く感じられる点も、
今後の考察の参考になるであろう。
●「くそったれ!」其之四/コミックス完全版17巻・P.14 『くそったれ―――!!!!』
<状況解説>大猿になった悟飯の尻尾を切るべく、気円斬のような技を繰り出した時の「くそったれ!」
【考察】
ある種、初めて身の危険を本気で感じた瞬間のスクリーミングであるため、今後の急激な成長が期待できる場面である。
結局、悟飯に押しつぶされ、死にかけた。てことは、戦闘力の急激なアップもこの後、あったのであろうと推測される。
事実、フリーザのいる惑星帰還後、かつては互角だったのであろうキュイを瞬殺。 その戦い方にも、大人の余裕が感じられた(ような気がする)。
●「くそったれ!」其之五/コミックス完全版19巻・P.45 『や やつらも動きだした……!!!! さ さすがにはやいぞ!!! くそったれ――――っ!!!』
<状況解説>まさかのギニュー特戦隊が出動した時の「くそったれ!」
【考察】
パワーアップ後の自信満々時に自分と同等・もしくはそれ以上のハイパワー戦士が5人も出撃なものだから、 かなりの悔しさが垣間見れる。
それこそ悔しいかな、少なくともこの有事の際には、特に成長している余裕はないと思われる。
●「くそったれ!」其之六/コミックス完全版19巻・P.55 『くそったれ…!! う…うわさは ほんとうだったか…』
<状況解説>ギニュー特戦隊のグルドが一瞬だが、時間をコントロールできる能力を持っていることを体感した後の「くそったれ!」
【考察】
クリリンが手に持っていた、あんなに「手に入れろ♪」なドラゴンボールを
「破壊しろ――――――っ!!!!」
と言った後に横取りされた上での「くそったれ!」なので、 ここも死ぬほど悔しいだけで、成長している余裕などないと思われる。
●「くそったれ!」其之七/コミックス完全版20巻・P.131 『く…くそったれどもめ~~~~!!!』
<状況解説>ナメック星で、クリリンたちがべジータに隠れてドラゴンボールを使用した時の「くそったれ!」
【考察】
まさに額の血管がブチきれそうなほどの、超S級クラスの「くそったれ!」。
この時も悔しいと言うか、 ただ怒りに震えている大人気ない大人なだけなので、成長の余裕は確認できない。 だが、まだ三っつ目の願いが残っていることを聞かせれ、ホッと胸を撫で下ろすべジータおじさんなのである。
が、それがなかったら、この後、それこそ怒り狂ってただ自分よりも弱いやつを殺戮しているだけの "人として最低レベルの外道"に成り下がっていた可能性も否めないため、
実は今後の彼の成長を左右する "ターニング「くそったれ!」ポイント"と言っても過言ではない。
●「くそったれ!」其之八/コミックス完全版20巻・P.177 『く くそったれめ……!! ナメック星人のガキなんぞに気を取られていやがるからだ……!!』
<状況解説>第二形態・フリーザの角にクリリンが串刺しにされたのを見た上での、「くそったれ!」
【考察】
このシーンで着目したい点は、クリリン(=全世界公認の地球人代表選手)に向けて言っているところである。
言葉ジリは厳しいが、要するに我々地球人、特に日本人に"人のことを気にする前に自分の身は自分で守りやがれ!" と激高したいのではないだろうか。 かつて、ナッパという部下も失った悲しみもあった上での(自分で殺したのだが)、
"これからの日本は(って、この人、サイヤ人だが)独立・起業をした人間の勝ちだ!" という強いメッセージが感じられ、
これまでフリーザ一味にいいように社畜にされていたこの男の、 社会人として世界観を変えようとする第一次佳境とも言える名場面である。
奇しくもナメック星編での「くそったれ!」発言は、これで最後となることからも、 今後の彼の成長に期待せざるをえないと思った連載当時のジャンプ読者は、筆者だけではないはずである。
続く
執筆:zakky
スポンサーリンク
スポンサーリンク