オーストリア・ウィーンにある応用美術大学に通う工業デザイン学科の学生クリストフさん(KRISTOF RETEZÁR)が、画期的な装置を開発しました。
それが自転車に取り付けて走るだけで、空気中の水分から安全な飲料水を生成することが出来る装置『Fontus』です。
出典:jamesdysonaward.org
▼ペルティエ素子を使用して空気を冷却し、最大500mlの飲料水を一時間で生成することが可能です。
それでは、どのように空気中から水を取り出しているのでしょうか?
空気中から水を取り出すには空気を冷却しなければなりません。
そこで、パソコンのCPUの冷却にも用いられている小型な半導体「ペルティエ素子」を取り付け、空気を冷却して水を取り出す仕組みを完成させました。
また、電力はソーラーパワーでまかなっています。
※ペルティエ素子(2種類の金属の接合部に電流を流すと、片方の金属からもう片方へ熱が移動するというペルティエ効果を利用した板状の半導体素子)
ちなみに、機能を最大限に活用できる天候であれば、一時間に500mlの水を貯めることが出来るそうです。
▼開発者チームは世界の水不足を危惧し、この装置の開発に踏み切ったそうです。
国連の統計によると、世界の人口の約40%にあたる20億人が水不足の危機にある地域に住んでおり、2030年には世界人口の47%が水不足に陥るとの予測が出ています。
そこで研究チームがこの問題を解決するために目を付けたのが空気中に含まれる水分でした。
空気中には1万3000立方kmの未開発の新鮮な水が含まれているという概算から、この豊富な水資源を利用しようと考えたようです。
▼今後は世界の湿地帯の国々でさらにコンパクトな水分自給装置を広めていくことだそうです。
この装置は、今のところ環境が整っていないと安定した生成が出来ないという問題があります。
そこで、安定した水分生成を行える湿地帯に着目し、その環境下での普及を考えているそうです。
今後自転車のアタッチメントから始まったこの装置が、世界の水不足を改善するきっかけとなったら素敵ですね。
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