犬上御田鍬:皇子、本日はよろしくお願い致します。
厩戸皇子:よろしくお願いします。
犬上御田鍬:皇子といえば「聖徳太子」でおなじみですが、この「聖徳太子」という呼称自体は皇子の死後100年以上たってからだったんですね。
厩戸皇子:その通りです。実は私の呼称は生前、死後含めて結構多いんですね。上宮王、豊聡耳、上宮之厩戸豊聡耳命、法主王、豊聡耳聖徳豊聡耳法大王、上宮太子聖徳皇、厩戸豊聰耳聖徳法王、上宮厩戸、厩戸皇太子などがあり、生前は厩戸皇子や厩戸王などと呼ばれていました。
犬上御田鍬:なるほど。特にその中でも「豊聡耳(とよとみみ)」という呼称についてですが、この名がついた由来については後世でも結構有名になっているんですよ。
厩戸皇子:え、本当ですか。
犬上御田鍬:はい。「聖徳太子は10人の話を一度に聞いて一つ一つについて的確に理解し、返答した」と。
厩戸皇子:ああ、あの件ですね(笑)
犬上御田鍬:これについては残念ながらネットでは結構手厳しい意見が並んでいます。
10人から同時に話しかけられるって聖徳太子ナメられ過ぎだろ。
— ナトラス (@natrass) 2010, 11月 1
聖徳太子は10人の発言を同時に聞き分けれた、と言うけど、そもそも10人が同時に別々の発言をする状態になる時点で統率力微妙。発言者も協調性社会性なし。そりゃ和を重んじろと言いたくもなる。 — らじてん (@raji_zel) 2013, 2月 28
聖徳太子は、「和をもって貴しとなす」じゃなくて、「10人いっぺんに話さないといけない程時間に余裕ないわけじゃないから皆ちゃんと順番に並べ」から布告するべきだったと思う
— しんざき (@shinzaki) 2013, 2月 28
厩戸皇子:これはこれは(笑)
犬上御田鍬:ただしこうしたネガティブな意見がある一方で「聖徳太子は天才である」といったポジティブな意見も多く、その優れた聴力については高い評価を得ています。
そこで今回は皇子がどのようにしてこうしたマルチタスクができるようになったのか伺いたく思っています。
厩戸皇子:この件については少し誤解されている方が多いようですね。
犬上御田鍬:といいますと?
厩戸皇子:詳しくはwikipedia読んでほしいんですけど、「しかし実際には、10人が太子に順番に相談し、そして10人全ての話を聞いた後それぞれに的確な助言を残した、つまり記憶力が優れていた、という説が有力である。(出典:wikipedia)」なんですよ。
犬上御田鍬:これは失礼しました。つまり皇子はマルチタスクを行ったわけではないと。
厩戸皇子:正直に申し上げるとマルチタスクはオススメしません。海外の記事ですが、ここにはこのように記されています。日頃からマルチタスクを行っている人間はそうでない人間に比べて生産性が低く、判断力も劣ると。
犬上御田鍬:つまり皇子はマルチタスクについて否定的であると。
厩戸皇子:その通りです。私が逸話のように10人に的確な助言を出来たことも、マルチタスクではなく、シングルタスクの意識があったからこそ出来た業です。
犬上御田鍬:なるほど。しかし現代社会ではメールや電話などマルチタスクを誘発するものが多く存在しています。現代人がシングルタスクを行い、生産性を高めるためにはどうすればよいでしょうか。
厩戸皇子:ベタですが、やはりTo Doリストが最も効果的かと思われます。事前に予定を立てておけば別の作業の心配をする必要はありません。
「あの作業はこの時間に考えよう」と思えばいいためです。
私が10人の意見を考えたときもそうです。
1つの意見について考えている際に他の意見を考えてはいません。
その意見は今考えている意見の結論がまとまってから考えればいいからですよね。
それと同じです。目の前の課題に雑念として他の課題が脳裏によぎったときはToDoリストに時間を記してその時間に考えると心に誓う。
例えばもし目の前の課題に必要な道具がPCだけであればスマホはしまう。
開く画面もできるだけ画面いっぱいにします。メールやその他通知も必要でないのであれば即座に非通知にできる用意もしておくべきでしょうね。
とにかくその作業に集中できる環境を自ら構築することが重要になるかと思います。
犬上御田鍬:このくらいのことならすぐにでも始められそうですね。
厩戸皇子:簡単でしょ?ある程度まともな仕事をこなしているビジネスマンにとっては、あとは身の回りのちょっとした工夫だけでよいということです。シングルタスクという非常にシンプルな方法論に立ち返れば整える環境も自ずと理解できるのではないでしょうか。
犬上御田鍬:今日は大変貴重な意見ありがとうございます。
厩戸皇子:ありがとうございました。
聖徳太子についての詳しい解説
https://www.youtube.com/watch?v=pABiDZOpgvA
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