2019年にアルバム『LOVE』の収録曲として配信された菅田将暉さんの『まちがいさがし』。各配信サイトでデイリーチャートやウィークリーチャート1位を獲得し、ダウンロード数も50万回を超えています。米津玄師さんが作詞・作曲を手掛けプロデュースしたことでも話題となり、2019年春に放映されたドラマ『パーフェクトワールド』の主題歌としても好評を博しました。ドラマの内容にリンクした切ないメロディーもさることながら、米津さんの人生観を想像させる歌詞にも惹きつけられる一曲です。
そんな『まちがいさがし』の歌詞について、掘り下げてみたいと思います。
米津玄師渾身の”菅田将暉にしか歌えない”曲
【新曲情報解禁🎉】
菅田将暉の新曲を、米津玄師さんに楽曲提供&プロデュースして頂くことが決定しました!
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「まちがいさがし」
作詞・作曲・プロデュース:米津玄師
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発売日などの詳細は後日発表致します。◆菅田将暉HPhttps://t.co/Aj2K7GhWkU
◆米津玄師HPhttps://t.co/QxNRLsr0KG pic.twitter.com/0KifK3KTq7— 菅田将暉 音楽STAFF公式 (@sudamasakimusic) March 27, 2019
2017年にリリースされた米津玄師さんのアルバム『BOOTLEG』の一曲『灰色と青(+菅田将暉)』で、コラボレーションを果たした菅田将暉さんと米津玄師さん。「どうしてもやりたいと無理を言いました。この曲は菅田くんでなければ絶対に成立しないと思ったからです」とコメントしています。菅田さんの歌声やパフォーマンスに惚れ込んだ米津さんからのオファーにより、コラボレーションが実現しました。
その後も親交を深めていた2人が、また何かやりたいという思いを温め、実現させたのが『まちがいさがし』でのコラボレーションです。音楽ナタリーのインタビューで米津さんは「彼じゃないと歌えない曲を絶対につくらなくてはならない」と制作していた時の想いを明かし、「最終的には素晴らしいものが作れたんじゃないかと思います」と振り返っています。
1人のアーティストとしてリスペクトする存在である菅田将暉さんに対して、全力で制作された一曲だということが伝わってきます。一方の菅田さんも、ドラマ『パーフェクトワールド』の主題歌のオファーを受けて「この曲を主題歌として起用したい」と提案したのだと言います。(『パーフェクトワールド』公式HPより)毎回ドラマのクライマックスシーンで流れる『まちがいさがし』が、主人公の松坂桃李さん演じる鮎川の等身大の心情を代弁するかのような歌詞が、視聴者の心に刺さり、高く評価されました。
「まちがい」が示すものとは何か
米津玄師さんが来て下さいました。「まちがいさがし」解禁という事で、非常にドキドキしています。どうか、ドラマを筆頭に宜しくお願いします。ありがとう。#菅田将暉ANN #まちがいさがし pic.twitter.com/v81FWzTTyO
— 菅田将暉 (@sudaofficial) April 22, 2019
歌詞を見てまず思うことは『まちがいさがし』というタイトルが示す、「まちがい」とは何か?ということです。正解の絵と間違いの絵が並んでいて、間違いの絵の中から間違った箇所を探す。よくあるクイズのような物ですが、その「まちがい」の絵を自分に置き換えた、米津さんの人生観のような物を示しています。
「まちがいさがしの間違いの方に 生まれてきたような気でいたけど まちがいさがしの正解の方じゃ きっと出会えなかったと思う」の歌詞にあるように、「正解の方」には生まれてこなかったことが冒頭でわかります。自分の理想が「正解の方」とするならば、劣等感や後悔のようなものが対照的な「まちがい」であるということが考えられます。
歌詞の中の「間違い」は曖昧で抽象的ですが、人によって間違いの形はそれぞれ。人とは違う何かに劣等感やコンプレックスを持っていることが考えられます。正しいものへの憧れや羨望も感じるのは「ふさわしく 笑いあえること」や「正しくありたい あれない 寂しさが」のフレーズから読み取れます。
その上で「間違いか正解かだなんてどうでもよかった」と、むしろ間違いの方に生まれてきたからこその出会いに意義を見出している自分の感情が、さみしくも美しい歌詞の中からむき出しになります。間違いか正解かなんて定義はどうでもよく、ただ自分の目の前にあるものが全てだと、素直に思えた瞬間なのかもしれません。
”君”の存在がもたらした祈りと救いを超えた出会い
「まちがい」の方に生まれてきたことにコンプレックスを持っていた自分が「間違いか正解かだなんてどうでもよかった」と思えるまでになった原因は何なのでしょうか?
それはやはり「君」の存在でしょう。それも間違った方に生まれてきたからこその「君」との出会いです。「君の目が貫いた 僕の胸を真っ直ぐ その日から何もかも 変わり果てた気がした」とあるように、「君」との出会いによって自分の世界が一変したことを実感しています。人とは違う自分を、偏見なくまっすぐに受け止めて認めてくれた存在によって、自分を肯定することができたのです。
そして自分にとって「君」は、かけがえのない存在だという強い思いを抱かせます。ただそばにいて、笑い合ったり見つめ合ったりしているだけでいい。自分を理解してくれるたった1人の存在が、確かにそこにいるというリアル感を「君の手が触れていた 指を重ね合わせ」から感じ取ることができます。公式コメントで菅田さんが「祈りでも救いでもない集い」と表現していましたが、まさに祈りや救いを超えた出会いを、君がもたらしてくれたのだと思います。
まちがいさがしは恋の歌なのか?
そのあたたかさを軸に、大事に歌わせてもらいました。救いでも祈りでもない集い。「まちがいさがし」に、僕は出会えて幸せです。#まちがいさがし #米津玄師 https://t.co/rC0yDu2T3k
— 菅田将暉 (@sudaofficial) March 28, 2019
『まちがいさがし』は恋の歌なのでしょうか?「まちがい」の意味や「君」の存在を紐解いてみると、やはりこれは恋の歌ですよね。なんとなく自信がなかったり、なんとなく不安だったり、なんとなく寂しかったり…。誰しもが抱えている孤独や苦しみを駆け引きなしに受け止めて理解してくれる存在の「君」。おかげで自分を肯定することができたと同時に、「まちがい」に生まれてよかったと思えるほどの勢いで恋に落ちたピュアな心情を描いた正真正銘のラブソングだと思います。「君じゃなきゃいけないと ただ強く思うだけ」のフレーズがいつまでも心に残り、確かな「君」の存在を感じる瞬間を与えてくれることでしょう。
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ドラマとリンクして切なくて……自分もまちがいさがしを続けます
つまり、米津さんから菅田くんへの恋のうたということですね、わかります。