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【被災者が今なお感じる孤独】 唐辛子でつなぐ人の心「小高とうがらしプロジェクト」

【被災者が今なお感じる孤独】 唐辛子でつなぐ人の心「小高とうがらしプロジェクト」

10月20日(土)、21日(日)の2日間にわたって六本木ヒルズアリーナで行われた福島フェス2018。

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福島県の美味しい食材、豊かな文化を紹介するため、ステージでのライブや、出店ブースでのご当地グルメや物産品の販売が行われ、大いににぎわいました。
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被災から7年「人口減少による孤独化」

出店ブースの一角に、その方はいらっしゃいました。
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廣畑裕子さん。彼女は被災から7年が経過した現在も、被災者の中で解決していないある問題を改善するために、この日ブースに立っていました。

その問題とは「孤独」。

明るく接客を行う、その表情からはうかがい知ることはできません。被災から月日が経過し街は平穏を取り戻しつつあります。しかし住民の心には今もぽっかりとした穴が空いているのです。

彼女はその問題を改善するために、自身が代表を務める「小高工房」「小高とうがらしプロジェクト」をたちあげました。

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廣畑さんが代表を務める小高工房

どんなプロジェクトかというと、唐辛子の苗を100円で販売し、その苗を購入した人が苗を育てて唐辛子を収穫。収穫された唐辛子を小高工房で買い取って、食品加工し販売を行うというもの。

彼女が住んでいるのは、南相馬市小高区。原発事故や津波被害であの時、頻繁にニュースで報道された地です。しかし、その地は唐辛子が特産品でなければ、廣畑さん自身も被災前は、今のプロジェクトとはなんのかかわりもない事務の仕事をしていたそう。なぜ唐辛子なのか、そしてなぜ「小高とうがらしプロジェクト」をたちあげたのか、廣畑さんにお話を伺うことができました。

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商品の「じみーに辛い うまくて生姜ねえ!!」を持つ廣畑さん

廣畑裕子さんの「小高とうがらしプロジェクト」

― なぜ「小高とうがらしプロジェクト」を始めたんですか?

うちは原発被災ではなく津波被害で、住む家を失いました。自分の家の前まで津波が来て南相馬市の高台に避難。その後、何が何だかわからないうちに福島県の飯舘村に移り、相馬市、そして仮設住宅に入りました。仮設住宅には去年の8月3日までいました。
仮設住宅から自宅に通うとき、私が感じたのは、今までのような人と人とのつながりが失われていたことだったんです。以前なら街を歩けば、誰かしら知り合いに会って会話を交わしたはずなのに、それが一切なくなっていたんです。

それがとても辛くて。自分がそう思っているということは、他の誰かもきっと辛いに違いない。そう思って住民交流スペース「おだかぷらっとほーむ」の運営を開始しました。

 

― その流れから「小高とうがらしプロジェクト」が生まれたんですか?

はい。住民参加型でもっと具体的に行えるものはないかと思って始めたのが、「小高とうがらしプロジェクト」です。また、放射能に対する風評被害も理由の一つです。ホームセンターで売っている土を使って作物を育てているのに、「南相馬産だ」「放射能だ」って言われてしまうんです。それが悔しくて。

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廣畑さん自ら店頭に設置した商品POP

― なぜ、南相馬市の名産品でない、唐辛子を選んだのですか?

鳥獣被害があるんです。作物を一生懸命作っても全部、イノシシなどに食い荒らされてしまうんです。でも唐辛子は辛いからイノシシは食べません。
また、プランターなどで気軽に育てることができるというのも理由です。市役所の職員さんでアパートのベランダで育てているという人もいるんです。

 

― プロジェクトを始めて2年目ですが、去年と比べてどうですか?

1年目は苗15本が売れて参加してくれたのは3軒でした。それが2年目には苗1300本の64軒まで増えました。

 

― 10倍も増えたんですね、来年はもっと規模を拡大させたい?

規模拡大というよりも、「南相馬市小高のお土産といえば唐辛子!」。そう認知してもらえるようになると嬉しいですね。
このプロジェクトは一般の方大歓迎で誰でもできます。でも逆に農家さんだとできないと思いますよ。実った唐辛子は一つ一つ手摘みしてもらうんですが、大規模に作物を作る農家さんだと手摘みなんて面倒なことできませんからね。

 

― 商品の一味唐辛子を拝見しましたが、すごく真っ赤な色ですね。

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「小高とうがらしプロジェクト」の唐辛子で作った一味

そうなんですよ。一番いい状態のものだけを手摘みしてくれるから、こんなに真っ赤な色なんです。この一味唐辛子はパウダー状になるまで私が手作業で加工しているんです。赤さが普通のとは違うでしょ?爆弾みたいな色してるでしょ?(笑)

 

― 最後にコメントをください。

苗1本から作ることができるので誰でもできます。100歳くらいのおばあちゃんにもぜひやってもらいたいですね。息子夫婦とかが遊びに来た帰りに、唐辛子を使ったお土産を買って「ばあちゃんの作った唐辛子、この中に一本くらい入ってるかな」なんて思ってもらえたらうれしいです。

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南相馬市に出された避難指示が帰還困難区域を除き、解除されてから2年が経過しました。全域が避難区域だった小高区の住民は、2018年6月末時点で2832人、帰還率は34.1%にとどまっています。

被災で苦しんだ住民は、現在「人口減少による孤独化」と戦っているのです。そんな中、小高区を選んだ住民のために始動した住民参加型プロジェクト「小高とうがらしプロジェクト」。
「小高といえば唐辛子」そんな認識が広まる未来は、そう遠くないのではないでしょうか。

コメント1

  1. 名無しさん

    涙が出る。
    この方の頑張りと、心ない人の被災地への偏見に。

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