「恋愛体質でメンヘラなんです」小説家デビューした芸人BKBの意外過ぎる一面

あの人の時間、場所、人間関係に隠れるスキマを覗くインタビュー企画『スキマのはなし』。今回スキマを深堀りさせてもらうのは吉本興業所属のピン芸人・バイク川崎バイクさん（以下バイクさん）。

みなさんは、バイクさんが昨年の8月に『電話をしてるふり』というショートショート（短編集）の作品で、小説家デビューを果たしているのをご存知でしょうか。

バイク川崎バイク著「BKBショートショート小説集電話をしてるふり」（ヨシモトブックス）

ショートショートならではのスピード感がありながら、心にずっしりと余韻を残す繊細で優しいストーリー、トリッキーな展開が話題となり、業界人や読書家から絶賛されているんです。

そんなウィットに富んだ作品を生み出す背景を探るべく、我々はバイクさんご本人にインタビューを敢行しました！

『電話をしてるふり』で衝撃の小説家デビュー

――――――昨年バイクさんの小説家デビューについて、周りからはどんな反応がありましたか？

謝られることが多かったですね。

――――――謝られる？

「BKBがこんな小説書けるなんて思ってなかった」「ブンブンだけの人だと思ってた」「なめてた」とか、「ごめん」って言われることが多かったです。
BKBは普段のネタがあんな感じなので、ギャップというのが顕著に出たような気がします。ブンブンの真逆は小説なんですね。

――――――ブンブンの真逆は小説（笑）。そういった評価は芸人仲間からのものが多かったのでしょうか？

芸人もそうですし、ファンの方からも普段お笑いやっている時とはまた違った角度で、色んな意見がもらえました。
昨年の自粛期間中にショートショートを毎日noteにアップし続けていたのですが、本のタイトルにもなっている『電話をしてるふり』をアップした日に1万以上のいいねがついて、峯岸みなみさんや野性爆弾のくっきーさんなど、今まであまり関わりのなかった方にも注目してもらえたり。

――――――バズっていましたよね

あれは時期もよかった、といったらダメかも知れないですが…。
自粛期間中って‟自粛ーズハイ”というか、みんな初めてのことで独特の雰囲気があったじゃないですか。毎日ギャグを投稿する芸人やオリジナルソングを作った星野源さんなど、自粛中に何かをクリエイトすることに対して称賛されることが多かった時期なんですよね。ライブが出来なかったので、その空いた時間で僕はショートショートを毎日アップすることにしたんです。

――――――自粛期間がなかったら『電話をしてるふり』はなかったと？

完全にそうですね。コロナの自粛期間がなかったら、毎日作品を上げることなんてしていなかったと思います。ネットでバズらなかったら書籍化という話にもなってなかったと思いますし。

――――――バズってから書籍化までのスピードが異常に早かったですよね

いや～あれはよしもとブックスが本気出してましたね。

――――――この時期を見逃すまい、という強い意志を感じました（笑）

そうなんですよ。でも、書籍化するにあたってやらなきゃいけないことは山ほどありました。
例えば、今回の作品はショートショートという短編集なので毎回オチがあるのですが、どうしてもネタバレを避けたくて。次のページにめくった時にオチがくるように編集者さんとページ配分を考えたりもしました。

――――――そこまでバイクさんご自身のこだわりが反映されているんですね。確かに『起承転結・結・結』なんかは終わったと思ったらまだ続きがある、という仕組みになっていますね

まさに『起承転結・結・結』はそうで、めくる楽しさみたいなものも感じてほしいと思っているんです。タイトルの大きさとか挿絵とか、細部までこだわっているんで、ぜひ本で読んでほしいですね。

――――――本の内容で言いますと、何か影響された人や物はあるのでしょうか？

本を読んでくださった方はわかると思うのですが、僕の作品ってほとんどバッドエンドがないんですよ。無意識にポジティブな作品を書いていて、それは普段周りの方が自分に優しくしてくれるからなんだろうなって思ってます。
あとは、やたら女性目線が多かったと思うのですが、それは自分の恋愛体質でメンヘラな性格が強く影響してますね（笑）。

――――――メンヘラなんですか？

メンヘラなんじゃないかな～。嫉妬、束縛、全然しますし、された経験もあります（笑）。後輩芸人の彼女さんが僕の作品を読んでくれて、「女性の心情がリアルすぎる」って言ってくれたらしいです。そういうのは、自分のちょっと女々しい部分が役立ってるんじゃないかと思いますね。

――――――女性目線が妙にリアルだったのはそういうことだったんですね（笑）では一年経った今、バイクさんが改めて“これは読んで欲しい”と思うタイトルを教えてください

ん～『思い出を食べるチャペルと思い出がないミナトの物語』と『あちらのお客様からでした』ですかね。この二作は書いていてとても楽しかったです。あ、主人公どっちも女性だ（笑）。
といってもどれもおすすめなので、全作品読んでいただきたいです！さらにショートショートは二回読むとまた違う印象になると思うので、ぜひ読み返していただけると嬉しいです！