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日本の象徴「富士山」の壮大さ、ちゃんと理解できていますか?

富士山。標高3,776mを誇る日本最高峰の山であり、「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」として世界遺産に登録され10周年を迎える日本の象徴だ。

クレイジーライターであるゴトウは、過去2回に渡って富士山とその麓である富士宮市の魅力を伝えてきた。

富士山で昔、修行として登られていたルート「村山道」を気合で登ってみた


大河ドラマゆかりの地、富士宮市の究極の聖地巡礼。時代を超え、肌で感じる歴史と自然

そして第三弾となる今回。
ついに登頂を目指すのである!

富士山、登頂の歴史と背景

今回、登頂を目指す富士山だが、一体いつ頃から登られるようになったかはご存じだろうか?
聖徳太子が登ったというような伝説も残っているが、定かではない。
また、鎌倉時代には現在につながる4つの登山口が確立されていたという。
絹本著色富士曼荼羅図
これは「絹本著色富士曼荼羅図(けんぽんちゃくしょくふじまんだらず)」という宝物で、室町時代の人々が登頂している様子を描いたものだ。
現在は富士山の麓にある富士山本宮浅間大社(ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ)に保管されている。
富士山本宮浅間大社
西暦110年ごろまで富士山は登る対象ではなく、拝む対象として遥拝されていた。
※遥拝とは、富士山を拝んで信仰すること。

平安時代末期から登山が行われるようになったが、江戸時代に入り富士講と呼ばれる民衆信仰が大流行。庶民による信仰目的の登頂が盛んになったという。
富士講については、前回の記事で紹介した通り、長谷川角行(はせがわかくぎょう)が開基したとされている。



ライターゴトウ、登山開始


「5合目まではバスで来ましたが、見てくださいよこの景色!普通に綺麗すぎです」

運よく天候にも恵まれ、壮大な雲海が広がっていた。

「いやー、流石は富士山。ここまでは登ったことあるけど、何回見ても感動するなぁ。というか7月末だってのに寒すぎる!」

出発時の5合目の気温は14℃前後。山頂はさらに10℃以上も低く、一桁気温が予想されるとのこと。

「ユニ〇ロでダウン買っておいてよかったぁ・・・」

「しっかり準備してきましたね」

「その声は・・・!」

今回のガイドはこの人!


第一回目の記事に引き続き、富士山ネイチャーツアーズ代表 岩崎さんにガイドをしていただく。
国連世界観光機関 倫理特別賞やスポーツ文化ツーリズムアワード2020を受賞しているとても凄い方である。ちなみに夜はバーテンダーをやっているらしい。

「岩崎さん、お久しぶりです!本日もよろしくお願いいたします!」

「はい、よろしくお願いします!」

「今回、ついに山頂を目指します!麓~5合目は制覇しているので、これで富士山完全制覇ですよ」


「というかあそこに見えてるのって山頂ですか?めちゃくちゃ近いじゃないですか~!ちょっとビビり過ぎてたかなぁ」

「そうですね、まぁだいたい山頂ってところです。現在地が標高2,400mなので、山頂まで直線距離だと1,300mくらいですよ」

「ぱぱ~っと行って帰ってきて、さわ〇かのハンバーグ食べに行きましょう!」

「まぁまぁそう焦らず、落ち着いて体を慣らしていきましょうか」

まずは高度になれるため1時間ほど5合目で休憩を挟んで出発。

【前々回のスタート地点】

【今回のスタート地点】

前々回の登り始めとは違い周りに植物は少なく、傾斜のきつい登山道が続いている。

目指せ富士山コンプリート!登頂開始

突然ですが、今回の相棒をご紹介。

こちらは金剛杖(こんごうづえ)と呼ばれる杖で、富士登山ではメジャーなアイテムだ。
登頂までの山道で運営されている山小屋や、富士山付近のコンビニエンスストアなどでも購入することができる。登山用品が傘の隣において売られている光景はなんともシュール。

更に、各山小屋にて焼き印を押してもらうことで、自分だけの金剛杖を作り上げることができる。

杖の形は八角、または四角になっており、もともとは修験者や巡礼者が使用していたものだったが、登山者用に転用された。
なぜ八角かというと、諸説はあるが富士山が持つ八つの峰を表しており、杖が富士山自体を表していると言われている。また、富士山は山自体が御神体として祀られているため、杖を逆さにして使ってはいけない。


「さて、早速登っていきますかぁ!ゴツゴツの岩ばっかりで足腰が死ぬ未来が見えます」

「上に行けば行くほど傾斜もきつくなるので、まだまだこれからです」


「あ、この石見てください!外が黒くて、中が赤い。この石を、さわ〇かのハンバーグ石と名付けます」


「確かにそれっぽく見えますね。中が赤い石は珍しいですよ」

「さわ〇かのハンバーグだけに、レアってところですかね!!!」

「・・・。」


「気温的には低いんですが、直射日光があるので登ってると暑くなります」

「そうですね。汗をかかない程度がちょうどいいとされているので、自分で調節してみてください」

「足場が結構ゴツゴツしていて、転ばないようにバランスを取っていたりするだけで結構疲れちゃいますよ、これ」

「この辺りの足場は2万年以上前の噴火の際に噴き出た溶岩が固まってできた岩ばかりですね」


「お、なんだか雰囲気が違う、つるつるの石もありますよ!周りに流されない意志を感じます。石だけに」

「お、良い所に目を付けますね。このつるつるな石は約1万5000年前に噴出されたものなんです」

「2万年と1万5000年、元の数字が大きすぎてあんまり変わりないように感じるんですが、普通に5000年違ったらそりゃ石の性質も変わりますよね」


「そんな話をしていたら、あれ山小屋ですかね?案外近かったなぁ!」

まだまだ余裕?富士山6合目に到着!


標高2,490mの6合目に到着。

「焼き印も貰って上機嫌ですよ!俺だけの金剛杖を作り上げてみせます」



「6合目までは結構余裕でしたが、これで全体の1/4くらいは登りましたかね?」

「まだまだですね。直線距離だとまだ900mしか進んでいませんから」

「大体1/15くらいか・・・。まぁまぁ、全然楽しいのでまだまだいけますよぉ!」

まだ元気いっぱいのゴトウだが、きつくなった傾斜にはこの表情。
新7合目を目指して登っていく。
村山道の入り口
富士山は、信仰の対象と芸術の源泉として世界遺産に登録されている。
今回登っているルートは、古くから続く「大宮・村山口登山道」であり、その信仰の歴史から6合目以降の登山道が世界遺産の構成要素として登録されている。

富士山は何合目まであるの?


読者の皆さんは、富士山が何合に分かれているか知っているだろうか?
今回は富士山スカイライン新5合目から山頂を目指す富士宮ルートにて進んでおり、主に山小屋が設置されている場所が区切りとなっている。

【富士宮ルートでの区切り】
・新5合目(2,400m)
・6合目(2,490m)
・新7合目(2,780m)
・元祖7合目(3,010m)
・8合目(3,250m)
・9合目(3,460m)
・9.5合目(3,590m)
・山頂(3,776m)

いざ新7合目を目指して!



「6合目までは赤い石が多かったですが、ここはつるつるの石と半々になってきました。あ、これ地層ってやつじゃないですか?」


「その通り。下の方にある緑色の地層は、噴火の際に水素爆発を起こして土が粘土質になったんです。この場所、開けていてちょうどいいですし、この辺りで休憩を挟みましょうか」


「補給食が美味し過ぎる。本能で体が欲しているのが分かります」

「水分もエネルギーも、消費した分はしっかりと摂取していきましょう。私は持ってきたチータラを食べます」

「富士山と雲海を肴に食べるチータラ。なんだか粋ですね!」

標高2,780mの新7合目に到着。

「段々きつくなってきました。なにより、これでまだ1/3も登ってないという事実がきついです



「てか6合目見えるし。これだけ頑張って登ったのにあんなに近いなんておかしい。ドッキリだったりしますか?



段々と文句が増えていたゴトウだが、焼き印をもらって上機嫌に。

「これはライフハックなんですが、男の子は何歳になってもかっこいい木の棒を渡せば機嫌がよくなります

※個人差あり

ついに3,000mの大台!目指せ元祖7合目



「元祖7合目見えてる!目標が見えるとやる気が出てきますね。あれ、そういえば周りの植物が減りましたか?


「はい、ここまで標高が高くなると植物も変化してきます。大体7合から上はオンタデしか生えてませんね」

【5合目の植物】

5合目付近では人の背丈ほどの樹木が見られたが、7合から上の環境に適応できる背の低い植物のみが自生している。
オンタデは蓼(たで)科の植物で、ことわざで聞くことのある「蓼食う虫も好き好き」の蓼と仲間である。


「いろ〇すさん、自分いつでもCMいけます


標高3,010mの元祖7合目に到着。

「ついに3,000m超えたぁ!!頂上まで着実に近づいている事実だけが心の支えです



ここでも焼き印を貰ったゴトウだが、明らかに疲れているのが目に見える。しっかりと水分、補給食でエネルギーをチャージする。

「なんだか露骨に疲れました。全然パワーが出ない感じです


「3,000mを超え、酸素が薄くなってきたんだと思います。ここからはしっかりと呼吸法を意識していきましょう。吸うことではなく、しっかりと肺の空気を吐きだすことが大事です」

山頂まであと一歩!?8合目を目指して



「呼吸法を意識したらめっちゃ楽になりました!でもここにきてギャン岩場だぁ・・・」

「滑ると危ないので、しっかり靴の裏を平面につけることを意識して登っていきましょう」



「あ、ここの岩から水ぽたぽたが垂れてますよ」

「雨が降った後だと、手ですくって飲めたりしますよ」

「ちょっと舐めてみます。・・・うん、めちゃくちゃ水です!」

標高3,250mの8合目に到着。

「ついに8合目到着!一歩一歩、地道に進んでやりますよ。まるで人生のようだ・・・」
もちろん、8合目の焼き印も無事にゲット。
山頂まで残すところ約500m。だが、ガイドの岩崎さん曰く、ここから更に傾斜がきつくなり辛いポイントだという。

知ってた?8合目から上は・・・


こちらは富士山の麓に本宮を構える浅間大社(せんげんたいしゃ)。
全国に約1300社ある浅間大社の総本山であり、「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の価値を証明する構成資産の一つとして世界文化遺産に登録されている。

実は、富士山の8合目より上の約120万坪が富士山本宮浅間大社(ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ)の奥宮境内地となっている。

「ついに奥宮境内地に足を踏み入れます!過去の取材で富士山本宮浅間大社の歴史を学んできた身としてとても感慨深いです」


「流石にこの標高だと風が強い。というかこの鳥居、すっごい硬貨が挟まれてますね」

「富士山頂が近いということもあり、お賽銭の感覚で挟む方がいるんでしょう。風で飛ばされた石などが当たって、曲がっている硬貨なども見られますよ」

登山初心者のゴトウは、ガイドの岩崎さんに教えていただいた呼吸法や、途中で購入した酸素スプレーを使って息を整えて登山道を進む。


標高3,460mの9合目に到着。

「昔の人が修行として登る意味が分かりましたよ。これは修行でしかない。気合と努力が不可欠ですね」

「食事的にも現代の方が栄養があると思うので、そう考えると昔の人は凄いですよね」

「ちなみに岩崎さんは疲れてないんですか?僕は一旦ここで暮らそうと考える程度には疲れているんですが」

「疲れてないですね(笑)。足に疲労も感じてないです」

「足に疲労なしで笑顔。もうコンビニ感覚じゃん」

残すは9.5合と山頂のみ!



「よっし!ここまで来たら登り切ってやろうじゃねぇか!!!ゲームで鍛えたメンタルなめんなよ!!」

「もうゴールが見えてますからね。頑張っていきましょう!」


「あの白いのって何ですか?」

「あれは万年雪(まんねんゆき)ですね」

「えっ!7月末なのに残ってるんですね!夏過ぎて頭から雪という選択肢が溶けてました。雪だけに」

標高3,590mの9.5合目に到着。

「喋る・・・だけで・・・息が切れる・・・


「あと直線距離で約180mです!ここから足場が悪くなり、傾斜もきつくなります。ケガをしないように気を抜かず、集中して登っていきましょう!」


「本当に角度がエグイ。写真だと伝わらないと思いますが、僕の感覚的には80°くらいの壁に見えてますからね」


途中で休憩を挟みつつ、一歩一歩と進んでいく。

「はぁ・・・はぁ・・・(わ、さっき見た万年雪がもうあんなところに。死ぬと思うけど、ここから段ボールで滑ったら気持ちよさそうだなぁ)」

そんな軽口を心の中でたたきつつ、ついに・・・



「うおぉぉぉおおお!!!!!!!」

ついに山頂!富士山本宮浅間大社の奥宮が姿を現す



「俺が日本最高(物理)の男だぁああ!!!!


ついに標高3,776mの富士山頂へ到着。
富士山頂からは火口はもちろん、周辺の景色も見渡すことができ、その壮大さは登頂した人しか味わうことができない。


「これが富士山の火口か・・・。なんだか大きすぎて人間がちっぽけな存在なんだなぁと感じてきました」

「富士山は活火山なので約20kmほど下にマグマ溜まりがあるんですよ」

「20kmとなると登ってきた富士山の約6.6倍くらいですか。そう考えるとかなり下の方にあるんですね。おかげさまで貴重な体験ができました」


「この景色に達成感。さすがは世界に誇れる富士山って実感してます!」


そして最後に富士山頂でのみで受け付けている押し印を金剛杖に入れていただき、焼き印もコンプリート。


「いや、めちゃくちゃいい思い出になるやんこれ。僕にとってはドラゴ〇ボールと同じくらいの価値に感じてます


「さて、休憩もしたことですし下山しましょうか。ちなみに下山の方がきついっていう人もいますね」

「まぁ降りるだけなら楽でしょ!」

その後、辛過ぎて下山しなければよかったと後悔するのはまた別のお話し。

一度、富士山頂まで登ってみませんか?

クレイジーでは第三弾に渡って富士山、そして富士宮の魅力を伝えてきた。
入念な準備を行い、高度に体を慣らすことやガイドさんの指示通りに呼吸を行うことで、体調不良になることもなく帰宅することができた。

富士宮は雄大な自然はもちろん、歴史的で文化的な背景を同時に感じることのできる数少ない街といえる。 
ゴトウの人生において、富士山の登頂は人生で一番辛かった日だった。
しかし、それ以上に人生でこんなにも達成感に満ち溢れ、清々しい気分になれた日はない。
今後の人生でいつ思い返しても、登ったことを後悔することは1mmもないだろう。

日本に住んでいるのであれば、日本一高い山に登ったというトロフィーをぜひともアンロックしてはどうだろうか?

提供:富士宮市富士山世界遺産課

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  1. 名護な

    きつそう
    ヒョー

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