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戦場カメラマン・渡部陽一がゆっくりと話す理由

提供:AbemaTIMES


AbemaTV『AbemaPrime』の水曜コーナー『REINAの知らない世界奇人紀行』に、戦場カメラマン・渡部陽一さんが出演。同コーナーは、お笑いコンビ・セクシーチョコレートのREINAが、ちょっと変わった旅をしている“奇人”を紹介するというコンセプトで、27日放送回では、渡部さんが今世界で起こっているさまざまな事件について見解を述べたほか、これからの夢を語った。

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■渡部陽一さんがカメラに込める思い

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およそ20年にわたって戦地を取材。しかし渡部さんがレンズを通して収めるのは、戦争の最前線の光景だけではない。

「戦火に生きる1つ屋根の下、家族、子どもたちの声を、写真を通じてみなさんにお届けすることが、カメラマンのもう一つの大切な仕事です(渡部さん、以下「」内同)

渡部さんは、戦場のすぐ近くにも“普通の生活”があることを訴え、戦場のなかの“日常”を、記録に残しておきたいのだという。

どの戦地にも、兵士だけがいるわけではない。一般市民も、そして子どもたちもいる。渡部さんは、戦地で生きる子どもたちをカメラに収め、戦争の悲しさを世界に伝えている。

■渡部さんが語る「世界の“今”」

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渡部さんは、つい先日、日本人も巻き込まれたバングラデシュのテロ現場も訪れた。

「今、世界中どの国で、何が起こってもおかしくない状況。バングラデシュでも日本でいえば広尾や麻布などといった、整った地域で(事件が)起こっているんです」

渡部さんによると、現場には外国のカメラマンや日本からもメディア関係者がたくさん訪れていた。そのなかで渡部さんは、世界中の国がさまざまな情報と、そして現場の状況を“連携”できる環境が問われていると見る。

そして渡部さんは、クーデーター未遂事件が起こったトルコにもこの春、取材に訪れている。

「トルコというと、観光大国でした。シリア情勢やイラク、ISの問題が起こってきたなかで、(それらの問題を)解決していくための唯一の架け橋がトルコ。アジアとヨーロッパの架け橋、中東ともかかわりがあって、期待がありました。ただ、そのトルコ国内で問題が起こってきました。クルド人の独立問題などがあるほか、権力が集中している政権に国民が不安を感じ始め、外からも内からも(問題の)前線に立たされているという背景があったと思います」

情勢が不安定ななか、世界中で写真を撮り続ける渡部さんは、戦場カメラマンの定義についてこう語る。

「最前線を撮る、とイメージされているんですけれども、実は戦場報道に携わるカメラマンの仕事はそれだけではなくて、そこに立っている関係者。例えば教育や医療、そして現場の家族の人たちや避難民の人たちをつなげていく。世界が動いている、その”うねりの前線”を記録していくことです」

「行ってすぐだと表情を捉えることができない。生活を共にし、ライフラインをみるだけでも、現場の声や表情は変わってきます」

■渡部さんが戦場カメラマンの道を選んだきっかけと、ゆっくりとした話し方になった理由

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「20歳のころ、バックパッカーでアフリカに旅に出たことがあるんです。そうしたらその地域一帯でルワンダ内戦が起こっていて、目の前でたくさんの子供たちが助けを求めてきたんですが、学生である自分は手を差し伸べることができませんでした。自分ができることはなんだろうと考えたときに、もともと大好きだったカメラ、写真を使えば、たくさんの人に(そういう問題を)伝えるきっかけになるのでは…というのがきっかけです」

戦場カメラマンがいて、初めて目にすることができるリアルな現場。そして、渡部さんが独特のゆっくりとした話し方になったのにも、理由があった。

「カメラマンとして、写真そのものから想像できるものや、感じるものを大切にしたいと思ってます。そして、写真だけでなく、言葉がもつ力。仮に言葉がわからなくても、伝わってくるものはあるんですね。丁寧に、正確に、わかりやすく、ゆっくり伝えて行きたいと思っています。

もともと小さい時から話すのはゆっくりではあったんですけれども、言葉が通じない地域に行ったとき、正確に、わかりやすく、ゆっくりと伝えていくと、どの国の人たちにもわかってもらえるようになったんです。そうして20年過ごしているうちに、もっとゆっくりになってしまいました」

■世界中に必ずもっていくもの

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渡部さんがどこに行くにも必ず持っていくものは、一枚の家族写真。

「紛争地でも情勢が不安定な地域でも、どのように1日1日を生き延びていくのかという力は、必ず家族が近くにいることから生まれるんです。家族の写真を見せることで、知り合うきっかけになる。また僕にとっても大きな支え、力になっているんですね」

現地の人に寄り添う渡部さん。仕事はいつまで続けるのかという問いに、「世界中で衝突がなくなれば」と回答。「厳しい立場に立たされる子供たちがいて、そしてその家族がいる限りは、僕自身のやりかたで記録していきたいと思っています」

夢は世界中から戦争や紛争などの衝突がなくなり“学校カメラマンになること”――。

「僕の夢は世界中から戦争がなくなって、戦場カメラマンがいなくなり、世界中の学校をまわりながらそこで勉強したりあそんだりしている子供たちを撮影する、“学校カメラマンになること”です」(渡部さん)

戦場カメラマンという言葉のもつ響きとは裏腹に、渡部さんの眼はやさしい。

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