特に紛失した落とし物が見つかる確率は、世界でもトップクラスなんだとか。
しかし、筆者は過去に苦い経験をしている。それは不動産営業をしていた前職時代、鞄を置引きされたのだ。半年後に鞄が発見されたものの、その鞄の中には、現金はおろか財布もなく、その他貴重品がごっそり無くなっていた。そうした経験から筆者は「日本は治安が良く、落とし物が見つかる」という評価にいささか疑問を持っていた。しかし先日、自身がスマホを無くしたことを理由に日本の治安の良さ、人のマナーの良さを再確認した。
その経緯を、筆者の自戒の念を込めて記す。
会社の親睦会で記憶を無くし、スマホも無くす
4月27日(木) 19:30 社内親睦会
ことの始まりは、この日行われたクレイジーの親睦会。今年度新しいスタッフがたくさん入ったこともあり、30名を超えるスタッフが参加する会となった。
場所は会社から徒歩5分ほどに位置する港区赤坂の店舗。2時間の飲み放題付きバーベキュープランだった。
クレイジーのパリピ集団。当然そこに筆者はいない
筆者はそれほど酒が強くないのにも関わらず、調子に乗る。その結果、泥酔。
親睦会終盤からの記憶が曖昧になる。
こちらは、親睦会後の筆者をとらえた写真
画像中央に写るのが酔っぱらった筆者。
29歳の男がダブルピースをしているが、すでに筆者はこの写真を撮られた記憶がない。
4月27日(木) 21:30 二次会
二次会は残った十数名でおこなわれた。
場所は親睦会会場すぐそばの居酒屋。この時、自分が泥酔している自覚がない筆者はもちろん参加。
しかし二次会での記憶はほとんどなく、唯一覚えているのは、筆者にやたらと酒を勧めてきた、バイトのナガタが先に嘔吐し、戦線を離脱したことくらい。
そして、筆者は終電を理由に二次会を去るのだが、このあたりから完全に記憶がない。そして空白の時間へと突入する。
日時不明
迷子になり、深夜の街を徘徊していた記憶がうっすらある。
日時不明
どこかのコンビニで購入したカレーパンを食す。
日時不明
既に終電はない時間で、自宅へ帰ることを断念。会社へ向かうためにタクシーに乗車する。
4月28日(金) 2:30 会社到着
オフィスにたどり着くと、二次会終了後自宅に戻らず会社に泊まろうとしていた社員がいた。その際、「終電で帰るって言ってなかったっけ?」と問いかけられるが、返答も曖昧なままに、オフィスのソファで就寝。
9:00 起床 スマホ紛失に気付く
10時始業開始なので、他の泊まり組とともに目覚める。この時、スマホがないことに気づく。
親睦会の段階でなかったのか、それとも二次会なのか、そして終電で帰ると言った後に何をしていたのか、上記の通り記憶がほとんどなく、スマホを見つけだすことは非常に困難な状況だった。
見つからないスマホ
スマホが無くなりました。はいそうですか。というわけにはいかないので、可能性があるところをしらみ潰しに電話することに。
まずは1軒目の親睦会会場
「昨日担当しておりました者からは、忘れ物があったとの連絡はございませんでした。」
2軒目の居酒屋
「お客様が帰られた後、テーブルの確認をしておりますが、忘れ物はありませんでした。」
タクシー
「お客様の領収書に記載のある車番のドライバーから、そのような忘れ物の報告はありませんでした。」
親睦会・居酒屋の最寄りの交番
「昨日から今日にかけて、そんなスマホは届いてないね。」
結果は全滅。
しかし、今のスマホには、他の端末からスマホの現在地を調べるツールがあることに気づく。
筆者の端末はandroidなので、PCから所有しているスマホを調べる「Android デバイス マネージャー」で、無くしたスマホの現在地を検索。
しかし、位置情報不明。
どうやら深夜4時頃にスマホの電源が切れたようで、現在地の特定できず。
この際、拾い主から連絡が来ることに望みを賭け、スマホの待ち受けに「この携帯を探しています。この電話番号(会社)までご連絡ください」と表示される操作をPCから行う。
夕方まで連絡を待つも、音沙汰なし。再度デバイスマネージャーで調べると・・・。
何者かが17時ごろに電源を入れた形跡を見つける。
もし、スマホの電源を付けた人間が、待ち受け画面に表示されている連絡先を見れば連絡をするはず。来ないとなると、スマホを拾った人物に返却の意思がない可能性が高い。ここで、もうスマホが返ってこないことを意識する。
新たな展開!有力情報が入る
スマホ発見を半ば諦めていた筆者に、突然有力な情報が入る。
その情報は、親しい知人からのgmail。
内容によると、筆者はその知人に深夜連絡をしていたらしい。
そのLINEのスクリーンショット画像がこちら
呂律の回っていない意味不明なメッセージから泥酔していることが見て取れる。
また、この際にLINE通話にて「今、新宿にいる。迷子になってしまった」と筆者は語ったらしい。
その後、なんとか通話にて車で迎えに来てほしい旨を伝えることには成功したようだが、「しん橋」というメッセージを最後に消息を絶ったらしい。
このLINEにて、親睦会会場および二次会時点でスマホを無くしていた説は消える。少なくとも、電車に乗った時点ではスマホを持っていたのだ。
LINEに記載されている「しん橋」、そして通話で話した「新宿」。このあたりから会社までの道中で、スマホを無くしたようだ。しかし、時間の絞り込みこそ出来たものの、捜索範囲が当初より広がってしまった。
Suicaの利用履歴で判明した足取り
捜索範囲を一新し、振出しに戻ることとなったスマホ捜索。
まず、電車に乗れなかったと思われた筆者だが、どうやら電車には乗れた様子。そこで、Suicaの利用履歴を駅で照会してもらうことにした。
こちらが、利用履歴
筆者の自宅は埼玉県。通常なら会社の最寄り駅である赤坂見附駅から電車に乗り、新橋で乗り換え、そして自宅のある駅に着く。
利用履歴を元に推測すると、27日は本来乗り換えのために下車する新橋駅を寝過ごしたのか通過。そのまま千代田区の末広町駅まで行ったようだ。
LINEや通話では「しん橋」「新宿にいる」と語ったようだが、これだけ泥酔していたことを考えると筆者の勘違いだった可能性が高い。
仮に末広町から、オフィスのある赤坂見附までなら、タクシーの運賃1930円という金額とも整合性が取れる。
状況をまとめ、正式に紛失物届提出
以上のことから、筆者がスマホを紛失した場所は、オフィスのある港区、末広駅のある千代田区、そして念のためLINEで伝えた新宿区の3区内でスマホを無くしたものと思われる。
それらを踏まえ、今度は交番で正式に紛失物届を出す。
・スマホの特徴は、黒の手帳型ケースにASUS製のandroid端末。
わずかこれだけの情報だが、応対した警察官に確認を依頼したところ、なんと神田警察署に筆者のものと思われるスマホが届けられているらしい。
この日は金曜日だったこともあり、週明け月曜日に神田警察署に行って、本当に自分のものなのか確認するようにとのこと。
もしかすると見つかるかもしれない。
本当に見つかったスマホ
迎えた月曜日。定時の10時出社を11時出社に変更してもらい、千代田区にある神田警察署、会計係へ。
窓口で、赤坂見附の駅前交番でここに筆者のものと思われるスマホがあると言われた旨を伝え、その保管番号を言うと・・・。
スマホ見つかる。
17時頃に一度電源が入った経緯は不明とのことだが、窓口の係員によると、千代田区神保町のオフィスビルにて発見され、そこの警備員が届けてくれたらしい。
言われてみれば、迷子になって街をさまよう途中、ビルの時間外窓口で現在地を聞いたような気がしないでもない。筆者は、二次会後、終電で自宅に帰るのを失敗し、末広町で下車。街をさまよった後タクシーで会社に帰ってきたようである。
スマホ発見により、判明した筆者の行動
交番の警察官によると、私のスマホが届けられた日、同様のスマホの落とし物が23区内だけで数百件も届けられたという。大都市東京において、無くしたスマホが戻ってくる日本の治安はやはり優れているし、そこに住む日本人の道徳心も素晴らしい。そして何より筆者の酒癖の悪さは救いようがない。
ご迷惑をおかけした関係各所の方々にお詫び申し上げます。
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