かんじゅく座公演「ねこら2017」より(提供:鯨エマさん)
練習は週に1回から2回、参加するコースや公演の日程によって回数や時間は多少異なりますが、稽古に対する座員たちの真剣さに違いはありません。取材に伺ったこの日は、ちょうど公演前ということもあり、本番を意識した通し稽古が行われていましたが、「高齢者」「アマチュア劇団」という事実を忘れさせる圧巻の演技力でした。
かんじゅく座公演「ねこら2017」より(提供:鯨エマさん)
今回、練習後のインタビューに応じてくれたのは、劇団最高齢の河内雅子さん(80)と、旗揚げ当初から活動に参加しているという胡桃澤マリさん(68)。「かんじゅく座」に入るまでは演劇の経験が全くなかったというお二人ですが、彼女たちの挑戦の源となった、演劇の魅力とはなんなのでしょうか。胡桃澤さんは答えます。
「自分の人生は一度きり。だけど舞台の上では『役』として、自分以外の人生を生きることができるんです。そんなふうに役を通して、自分自身が豊かになっていく感覚は、なにものにも代え難いです」
演劇の魅力を語る胡桃澤さん(写真左側)
すっかり演劇の虜になった様子のお二人。胡桃澤さんの言葉に深く頷きながら、続いて河内さんも魅力を語ります。
「演劇には自分一人のための役があり、そのぶん負わなければいけない責任感があります。それを成し遂げないと皆に迷惑がかかると思い、思うからこそ一生懸命になる。大変ですが、楽しさはそれ以上なんです」
生き生きと演劇を語る座員の姿に「かんじゅく座」主宰を務める鯨エマさん(44)も満足げ。と言うのも、劇団の設立目的の一つには、「演劇で高齢者を元気にしたい」という鯨さんの想いもあったからです。
とは言え「かんじゅく座」設立当初は、自身のイメージする劇団の在り方と、参加者との考え方のギャップに戸惑うこともあったと振り返る鯨さん。しかし、そうした葛藤の日々は、彼女自身の力にもなっています。
鯨さんは今回の取材を締めくくって、最後にこう言います。
「年齢を重ねれば重ねるほど、新たな出会いよりも失うことのほうが多くなっていきます。しかし友達の関係は、何歳でも、いつからでも結ぶことができます。『かんじゅく座』では、それまでの経歴や肩書に関係なく、共通の話題や同じ目的を持った仲間たちと出会うことができる。これが私たちの劇団の、大きな魅力だと思います」
シニア劇団「かんじゅく座」は今後も意欲的に活動を続けていく方針。座員募集や公演日程などの詳しい情報は、こちらのHPから確認できます。
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