2018年「M-1グランプリ」の3回戦で、漫才にも関わらずコンビの片方が一言も喋らないという攻めたネタを披露し準々決勝へ進出して話題を呼んだコンビ「ダイヤモンド」。
NSC東京15期の野澤輸出(のざわ ゆしゅつ)とNSC大阪32期の小野竜輔(おの りゅうすけ)が2017年に結成、コンビ活動の他にも大喜利ライブやエアバンドユニットなど活動の場を広げています。
8月4日には、初の単独ライブ『天才』の開催を控える彼ら。コンビ揃ってのインタビューは初とのことで、そんな彼らを“スキマ”から覗いてみると意外な素顔が見えてきました。
渋谷はホームじゃなくてアウェイ
───本日はどうぞよろしくお願いします!
小野:おねがいしまーす!インタビュー僕らで良いんですか?(笑)
───もちろん!今、勢いのある若手芸人さんにぜひお話伺いたいってお願いしたらダイヤモンドさんをご提案頂きまして・・・。
小野:えー!! 誰が推してくれたんですか?
野澤:僕らそんな勢いなんて無いですよ?(笑)
小野:でも、ありがとうございます。嬉しいです。多分初ですよ!コンビとしてインタビューって。(野澤に)ないやろ?人生で。
野澤:んー、まぁ・・・無かったっすね。
───記念すべき初インタビューをさせて頂くわけなんですが、まずは結成した頃のお話から伺いたいなと。
野澤:僕らNSCの東京15期(野澤)と大阪32期(小野)で同期なんですよ。
小野:で、僕が2つ前のアルドルフっていうコンビ時代に東京に進出した頃から、エレーン(野澤の前コンビ)と仲良くて、2組でライブやったりしてたんです。だから満を持して・・・って感じですかね。
実は僕、以前に組んでたコンビ時代は無限大(ヨシモト∞ホール)のお客さんが好みそうなネタを中心にやってたんです。でも、このままじゃ無理だ!って限界が見えてきちゃって。その時と真逆のネタをやれる相手を・・・って思って組んだのが野澤だったんです。
───ちょっと意地悪な質問になるかもしれないのですが、無限大で人気のアイドルユニット「SALTY's(ソルティーズ)」でも小野さんは活動されてますよね。
小野:ベースやらせてもらってます。エアバンドですけど(笑)。ありがたいことにメジャーデビューもさせてもらって。
───おめでとうございます!その、SALTY'sでの小野さんの姿を知っているお客さんから見た、ダイアモンドはどんな印象なんでしょうか。
小野:正直なところSALTY'sで僕のことを好きな人は、ダイヤモンドのネタを見に来て、来なくなっちゃいますね(笑)。でも逆に、ダイヤモンドが好きな人はSALTY'sは難しいんじゃないのかなー・・・って。
だからなかなか(コンビ活動とユニット活動が)リンクしにくいのかなって思ってます。
───芸人として好きな人。アイドルとして好きな人。で分かれてる様な感じがされるんですね。
小野:なんとなくそんな感じがしてます。だから同じ無限大でやってるのに、普段のライブは置きチケとか全然で。(野澤へ)・・・人気ないよな(笑)?
野澤:小野は、少しありますけど?(笑)
小野:この間やった「ラッキー〇〇漫才を60分するライブ」みたいな僕ら主催のライブとかだと入ってくれるんですけど、レギュラーライブはねー・・・。
野澤:多分ホームが無いんです。ずっとアウェイ。
小野:僕ら、渋谷アウェイでやってるんですよね(笑)。
らしい形が見えたM-1グランプリ2018
───今、少し話に出ましたが、ダイヤモンドさんといえば「ラッキー〇〇漫才」とか「小野さんが一言もしゃべらないネタ」など攻めたネタもお持ちですが、M-1グランプリという勝負の舞台でそういった攻めのネタは、初めからやろうと思われていたんですか?
小野:去年が結成2年目で、3回戦まで進んだんですけど、正直決勝にいけるようなネタが無かったんです。で、どうする?ってなって。ただ3回戦からはネット配信とかもあるから、絶対に爪痕を残しにいこうみたいなかんじでしたね。
───それで選択されたのが「一言もしゃべらないネタ」だったんですね。
小野:周りの芸人とかお客さんに「変わったやつらがいる」って思ってほしくて。で、実際やってみたら、お客さんの反応が笑いっていうより悲鳴とか驚きで。僕らはおもしろかったですねー。
だから結果発表のときも、もう気にしてなかったんですよ。「漫才の大会で喋ってないし」って思って(笑)。
そしたら先輩からLINEがきて「おめでとう」って。で、何が?って思って結果みたら受かってて。ちょっとびっくりでしたね。
野澤:僕はオズワルド(NSC東京17期)っていう後輩の、畠中ってやつと結果発表のとき一緒にいたんです。ちなみにオズワルドは3回戦めちゃくちゃウケたんですよ!
小野:芸人みんな準々決勝行くって言ってましたね。
野澤:僕たちは落ちたなーって思ってたんで、何の気なしに一緒に結果発表見たんですよね。そうしたら僕らが受かってて、オズワルドが落ちてて・・・すごく気まずかったですね。あれ?って思って(笑)。
───それは気まずい!!
小野:実は、喋らないネタをするのがいいんじゃないか?って言ってくれたのは、その畠中だったんっすよ。「なんか、ぶっとんだネタあるじゃないですか。」「(爪痕残すなら)そのネタでいったらどうですか?」って。
野澤:だから、それもあってより気まずくなってね。(笑)
一同:(爆笑)
小野:あれはめっちゃ気まずかったなー!
野澤:まぁまぁまぁ(笑)。オズワルドはネタ、おもしろいですからね。いい後輩です。
小野:でも去年のM-1で準々決勝に行けなかったら、僕ら危なかったんです多分。ずっと無限大で本当にウケてなくって、何やってもスベるし。どうしよう・・・ってなって、ぶれそうになってて。
野澤:M-1の2回戦までで落ちたら漫才をやめようって思ってたんですよね。2回戦で落ちるようだったら、もう無理なんだろうって。
小野:その前の年がコンビ組んですぐに出たM-1で、2回戦で落ちたんですよね。
野澤:結成からは短いですけど、芸歴で言えば10年ですからね。
小野:それまで(漫才・コント)どっちでいっていいかわからなかったんですよね。だから去年のM-1は救われました。それで結果が出るんだったら、まぁ良いかなって1個吹っ切れたのはあります。
野澤:そうですね。漫才の方向性が見えたっていう。
小野:実は割と僕らベタなネタも多いんです。ボケ数の多いポップなの。でもそれだと無限大に寄せちゃってたなって(笑)わかりやすさも含めて。
今はもう、滑っても「滑ったなー」「伝わりにくかったなーっ」て思う感じですかね。3分間のネタ尺で、野澤がオリジナルソングを歌って、僕は横で喋らず手拍子してるだけのネタとかもあるんですよ。
───やりたいことを3分にギュッと詰め込んでいるような感じですかね?
小野:最近はそんな感じですかね(笑)。
野澤:ネタの話だと、普通は漫才って素でやるものじゃないですか。
小野:僕らはしゃべくりそのものを作りますから。だからネタによって全然違うんですよね。あとネタ中は感情を殺してるんですよ。そうやったら、だんだんウケるようになりました。
野澤:僕らのネタは漫才でもコントに近いんですよね。
小野:ボケ・ツッコミの役割も明確には決まってなくて。
野澤:まぁ実際、漫才だけじゃなくて、コントもやりますし。
小野:コントでも僕、基本喋らない系のネタが多いですね(笑)。なんだったら顔も出してないネタも。特に最近は喋らない系のネタが多いんで、逆に普通のネタと緊張しちゃうんです。
前のコンビのときは流暢に喋れる方だって自負してたんですけど、普段もすごい噛むようになっちゃうし、言葉が出てこなくなっちゃって・・・私生活にまで弊害がも~っ!!
初単独ライブ『天才』
───そんなお二方の、初めての単独ライブが、8月4日(日)にヨシモト∞ホールで決まりましたね!
小野:ありがとうございます!結構、無理矢理やらせてもらった感じもありましたけどね。「どうしてもやらせてくれ!!」みたいな感じで。
───初単独が決まったときのファンの方々の反応などいかがでしたか?
小野:いや、まず、単独のタイトルをちょっと振りかぶり過ぎちゃったなぁーって(笑)。
小野:『天才』ってなかなか振りかぶっちゃったんで(笑)。
まぁ、でも僕たちを見てくれているお客さんは理解してくれていると思います。僕らが変なことしても「まあまあ、ダイヤモンドだし。」みたいなかんじでは。
野澤:ベタなことはやりたくないっすね。単独では特に。
小野:普段、無限大でやってる単独だと思って来ると、がっかりするかもしれないです(笑)。
野澤:たしかに。あんまり見たことが無いようなことができたら。
小野:漫才もコントも7~8本ぐらいやる予定です。
野澤:普段、ネタだけやるライブはやってきたんですけど、映像はなかったんでね。
小野:映像でも遊べたら。実は、僕が本当にやりたかったことは却下されてるんですけど・・・。
次ページ:単独でやりたいことは・・・?スポンサーリンク
スポンサーリンク
SALTY’sファンということもあり、ダイヤモンドファンの子との繋がりも増えてきた今、彼らのことを知ると面白くて仕方ないです。
確かにシュールなネタが多いので、単独ライブも楽しみになりました。
これから出できそうな若手芸人さんの話が聞けるのっていいですね。
テレビだとネタだけとか賑やかしで終わってよくわからな人も多いですし、
最近は頑張ってる若手がないがしろになってる悲しいニュースもあるなか、
こんなふうに掘り下げてくれるインタビューは興味深いです。