今回はそんな「刃物の切れ味」に関する検証企画。
元傭兵のコメンテーターにしか見えない研ぎのプロ
筆者がやってきたのは、日本を代表する刃物メーカーの貝印株式会社。ここに研ぎのプロがいるらしい。
「ガチャ、今日はよろしくお願いします」
「はい。お話は伺ってますよ。とりあえず研げばいいんですよね」
「作務衣にブーツ・・・元傭兵かなにかですか?」
「いえ、普通のサラリーマンです」
この見た目で、刃物を研ぐのが得意。ちょっと警戒せずにはいられないが、この林泰彦さん実はすごいお方。
刃物メーカー貝印の社内制度で、包丁のスペシャリストに与えられる「包丁マイスター」の第一号取得者。現在はシニアマイスターとしてマイスター育成や、包丁研ぎの体験イベントでその妙技を披露している。
早速、お話を伺うことにした。
「傭兵経験はないとのことですが、研ぎの経験は一体どこで身につけたんですか?」
「小学校2年生くらいから包丁を研いでいましたね。刃物業界に携わるようになって40年です」
「小2から刃物一筋・・・」
「もう、刃物が好きとしか説明できないんですよね。あの、銀色に光る感じがなんとも・・・」
「危なっかしい」
「包丁研ぎって、一度ハマったら抜けられなくなるんですよ」
「え」
「一度、研ぎ直されて切れ味が良くなった包丁を使ってしまうと、もう二度と研げてない包丁を使えなくなるんです」
「なるほど」
「最近はあまりないけど、深夜に無性に包丁を研ぎたくなる衝動にかられたこともあります」
「趣味も刃物なんですか?」
「これも、最近はあまりしてないけど野宿とか」
「おまわりさんこの人です」
「あ、ジープとか大型バイクで旅行とかもしてます」
「あー(あの元傭兵のコメンテーターに似てる)」
そもそも、研いで包丁の切れ味はどれほど変わるものなのか?
今回、プロに研いでもらえるということで、様々なものを持参してきているのだが、まずは筆者の自宅にあった普通の包丁を見てもらうことにした。
「あ、うち(貝印)の包丁ですね」
「これ貝印製だったんですか?3年くらい前にホームセンターで買って、メーカーを意識せずに使っていました。だとしたら、どうなってるんですか?貝印さん。私が定期的に研いでいるのに切れないんですよ。ちょっとトマト切るので見てくださいよ」
「ほら、グジュってなった。見ての通り切れないんです。ちゃんとYouTubeで、サビたボロボロのナイフを蘇らせる動画を参考に研いだのに」
「研げてないですね。見たところ、確かに定期的に研いではいるようですが、側面だけを研いでいただけで、切れ味に最も重要な先端の小刃という部分が研げていないんです。せっかくですから研ぎ方を教えますよ」
「まず研ぎ石と包丁の角度は15度。包丁の背中側に小指1本分の隙間が目安です。指を添えてブレないように、それで研ぎ石全体を使うように前後させましょう」
「押す時に研いじゃっていいんですか?刃先がつぶれそうです」
「鋭くするために削っているのですから問題ないです。すでに切れない包丁なので刃先の心配をする意味もないです。押し付けず自然な力加減で包丁を前後させてください」
「日本昔話で見た山姥スタイルですね。でも、終わりの目安が分からないんですが、どれくらいやればいいんですか?」
「研げたかの目安は、研いだ反対側の小刃を3本の指の面で撫でてみて、髪の毛一本分くらいのバリ(引っかかり)を確認できれば、研げた合図です」
「あーなんかありますねこれ」
「次に反対側も同様に研ぎます。その後、このバリを折るようなイメージで新聞紙にこすりつけてください。それでバリの感覚がなくなったら完了です」
「バリを感じなくなりました!」
「では、先ほどのトマトを切ってみましょうか。ちゃんと研げていれば、包丁を横からスーと動かすだけでも切れるはずですよ」
「通販番組でやってたやつだ!うちの子じゃないみたい!」
「高い包丁でも安い包丁でも、しっかりと研げばある程度までは切れるようになるんです。高い包丁の優れているところは、主にその切れ味の持続期間。焼き入れや素材など製造コストをかけた高い包丁はそこが違います」
「自分でやってこれだけ切れるようになるなら、プロである林さんにお願いすればとんでもない切れ味になったりしますか?斬られているのに斬られたことに気付かず、時間差で真っ二つになるみたいな」
「例えば、包丁を鏡のようになるまで研いだり、包丁の側面と小刃までを一直線に研いで切れ味をさらに上げたりは出来ますが、研ぎ師は基本的に包丁が持っているパフォーマンスを最大限まで高めることしかできません。俺が研げばパフォーマンス以上の切れ味を出せる!なんておっしゃっている研ぎ師さんがもしいたら、その根拠をお教え願いたいくらいですね」
「じゃあ、刃物じゃなかったら?」
「???」
〇〇をプロに研いでもらったら
長くなりましたが、ここからが本番。
研ぎのプロに包丁を研いでもらったら、そりゃあ切れ味抜群になるでしょう。ならば、本来モノを切る目的にないものを研いでもらったら、一体どうなるのか。
用意したものがこちら。
「自信ありますか?」
「このレベルのものは研いだことがないので、やってみないと分からないですね」
エントリーNo.01「バターナイフ」
「まずは、バターナイフです。名前にナイフとついているものの、本来はパンにバターを塗るためのもの。これを研いで切れ味抜群の刃物にすることなんてできるのでしょうか?」
「まあ、やってみましょう。手研ぎだと時間がかかるので、機械を使って研いでいきますね」
「それはいいんですが・・・、あれは・・・何ですか?」
「写していいやつですか?あれですよね?あの・・・生首的な?趣味でそっちの方の切れ味の研究もやられていたりするんですか?」
「・・・」
「どうぞ」
「バターを切っているみたいにスルスル切れます!トマトじゃないみたい」
エントリーNo.2「靴ベラ」
「次は、靴ベラをお願いします。既に刃物ではないんですが、なんとなく刀っぽい形状をしていたので持ってきました」
「ステンレス製ですし、まあ問題ないと思います」
刃先の具合を真剣な表情で確認する林さん。日本刀のように見えるが靴ベラである。
「どうぞ。時間があれば、ここからさらに切れ味の追及をしたいところです」
空港検査もすり抜けそうなくらい、パッと見どこが変わったのか分からない靴ベラ。
実際に切ってみると。
「あぶな!マチェーテだ!見た目は普通の靴ベラなので、うっかり玄関に置いといたりして、握っちゃったものなら手の平えらいことになりますね」
エントリーNo.3「タンブラー」
「飲み口の円形部分どうですかね」
「この曲線をどうするか。あとは中が空洞になっているので、穴を空けないように研ぐ必要がありますね」
「どうぞ。保温効果も維持したままです」
「絶対に普段使いできないタンブラーが出来上がりました」
エントリーNo.4「ドラゴンが巻き付いた剣のキーホルダー」
「観光地要素もくそもないのに、少年たちが買わずにはいられないやつです。少年たちの夢を叶えてあげてください」
「表面は金属ですが、問題は内側が何でできてるか次第ですね。あとドラゴンの尻尾が邪魔ですね」
「どうぞ。巻き付いたドラゴンの尻尾が邪魔でした」
「これで鉛筆削ってたら、クラスでヒーローになれそうです」
エントリーNo5「ノートPC」
「さて・・・」
「ついに来ましたね・・・というか、聞いてないんですけど。電子機器ですよね、それ。もったいないし、研いじゃダメですよ」
「プロに研いでもらうには何がいいかな。そう考えていた時、気付いたんですよ。お前が今キーボード叩いているPCは金属製だろうと。ということで急遽持ってきてしまいました。スペック低くて使えないやつですし、電源の処理もしてるので安全上も問題ありません」
「そういうことなら・・・」
・
・
・
「どうぞ。これ以上やると液晶が割れそうなので、自信ないです」
果たして・・・。
「ビジネスだけでなく料理にも使える2way仕様になりましたね」
結論、研ぎのプロはすごい。
包丁のプロが、あなたの自宅の刃物をキレ味抜群に!
無茶な依頼にもかかわらず、持参したもの全てをモノに刃物属性を付与した研ぎのプロ林さん。そんな、林さんらプロフェッショナルたちに自宅の包丁研ぎ直しを依頼できるサービスが10月25日(月)より行われている。
貝印は刃物メーカーとして圧倒的なシェアを誇る企業で、自宅にあるアレもコレも実は貝印製だったりする。
例えば、林さんの作業場にあった生首らしきものは、美容師練習用のマネキン。
貝印ではハサミやカミソリなども販売しており、これは理美容ハサミの切れ味チェックのために使用していたもの。
そんな、刃物を知り尽くした貝印のプロフェッショナルが、あなたの包丁を研ぎ直ししてくれるのだ。依頼の仕方も簡単で、自宅に届いた梱包キットで包丁を梱包して投函するだけ。
先着100名までは、なんと無料で依頼することができるので、是非自宅にある貝印製の包丁を依頼してみてはいかがだろうか。
また、貝印さんのご厚意により、貝印の「関孫六 いまよう 三徳 165mm」を抽選で3名様にプレゼントするキャンペーンをクレイジー公式Twitterにて実施中。
プレゼントキャンペーン🎉/
貝印(@kai_corporation)の「関孫六 いまよう 三徳 165mm」を抽選で3名様にプレゼント🔪
応募方法は、フォロー&リツイート
ぜひ下記記事をチェックしてください!https://t.co/2Hd6Gl2TUp#プレゼント #キャンペーン #懸賞
応募期間は、11月30日23:59まで pic.twitter.com/GAmezzIB1F— 笑うメディア クレイジー (@curazycom) November 22, 2021
いつの間にか切れ味が悪くなっていた自宅の包丁が、パフォーマンスを最大限に発揮できる状態で返ってくる研ぎ直しサービス。皆さんにもプロフェッショナルの技を実感してもらいたい。
対象は貝印製の包丁だけなので、くれぐれもノートPCは送らないように。
※本企画は研ぎのプロが安全性に配慮して検証を行っています。刃物製品以外に刃付け・研ぎ直しをする行為は危険を伴いますので、絶対に真似をしないでください。
※オンライン研ぎサービスでは貝印製該当刃物商品のみ対応可能です。
特設ページ:貝印の包丁研ぎ直しサービス | 貝印公式オンラインストア
提供:貝印株式会社 | kai corporation
スポンサーリンク
スポンサーリンク
サイトーさんの記事
楽しくて大好きです!
ありがとうございます!ありがとうございます!ありがとうございます!!!
パソコンを持ってくるあたりが斜め上すぎて笑える
研いでもらったはいいですが、危なくて社内におけないんですよね・・・
pcはその後も使えたんですか!?
もちろん!使えます!
流石研師マイスター、どんな職人でも今日や明日には満足出来るまでに成れないんだなぁ!何の基礎知識も無く若い頃から台所に入りまな板を台に家中の刃物を磨いで、親にすぐ切れんようになると不満を言われ、又々必死で磨ぐと片寄った力が入り砥石事態が凸凹ガタガタに成ってしまい、情けなく磨ぐことをしなくなった、やはり研師と呼ばれる人でなければ、趣味や推挙ではどうする事も出来ない技だ!
名人は、回転砥石を使われおられましたが
仕上げの砥石は何番#を、使用されてますか?