「灯油買ってくる」と言って外出し3日くらい音信不通になった母。さすがに捜索願いを出そうと思ったら電話があり「いま温泉旅行きてるからさぁ。来週にはかえるわ!」と。
後日、車椅子男性が「貴方のお母さんに泊まりがけで自殺を止めてもらった」とお礼に来た。
灯油は僕が買った。
— 由太郎 (@yutarou11) September 19, 2018
お、お母様...!?一体どういうことなのでしょうか。
投稿者である由太郎さんがその裏に「隠された真相」を綴っています。
【真相①】
当時、僕は中学三年生。進路も決まった冬の事。父は小規模ながら事業しており、母はその助手といった立ち位置。
父は営業で留守が多く、自宅の向かいに借りてた事務所の番をするのは専ら母でありました。
両親不在が多く、家事は一通りできる鍵っ子という存在が僕でした。— 由太郎 (@yutarou11) 2018年9月20日
②
父がいつもの通り1週間は出張。雪も深くなって灯油の残りが気になる季節。ポリタンク3つのうち2つはカラになっていました。東北の片田舎、買うには車が必要で、母しか運転できません。
「事務所の灯油も見てくる。あと買いにいってくるね」と玄関をたった母の一言から伝説が始まります— 由太郎 (@yutarou11) 2018年9月20日
事務所の扉を開けると電話が鳴り響いたそうです。携帯電話が一般流通するのはもっと後の時代。
飛び込みの仕事か?と慌てて電話を取った母。すると受話器の向こうから「…おねえちゃん。いまどんな×××××××(自主規制)」卑猥な言葉が聞こえたそうです。
— 由太郎 (@yutarou11) 2018年9月20日
④
普通ならマッハで叩き斬る電話を「白だよ!あんたなんてイタズラしてんだい!」と怒鳴りつけたらしいです。
驚いたのは電話の向こうです。
まさか、反撃が来るとは思わなかったそうです。慌てて受話器をおこうとしたら電話機ごと床に落としてしまいました。— 由太郎 (@yutarou11) 2018年9月20日
⑤
母は受話器の向こうからガタゴトと音がする中、特徴的な車椅子のギィギィという音を拾っていました。
男が電話を切る前に、「ちょっと、あたしの話を聞きなぁ!!」と叫んでいたそうです。
後にこの台詞は電話主の生死を分けた“ちょっと待ったコール”と呼ばれます。— 由太郎 (@yutarou11) 2018年9月20日
⑥
結論を書いてしまえば、車椅子の男性はある一流企業に務める下半身不随の方でした。ハンデを背負いながらも努力し一般の方よりも成績をあげても、周囲の差別は止まず自死を選びます。そして真面目一徹の人生、最後の1度くらい不真面目にイタズラしてやろうと電話帳から適当にうちを選んだのでした。— 由太郎 (@yutarou11) 2018年9月20日
⑦母には野生のカンのようなものがあり、車椅子の音を聴き逃しませんでした。「あんた、辛いんだろ?」からの口八丁で30分後には相手の住所を吐かせ、「あたしが行くまで死ぬんじゃないよ」と隣県にある彼の自宅まで車を飛ばします。考えるととんでもなく無謀です。噛み付く鉄砲玉とはよく言いました
— 由太郎 (@yutarou11) 2018年9月20日
⑧
母と男性の自宅へ行き、何をしたのか。答えは“何もしなかった”そうです。
正確には妖怪ぬらりひょんみたいに、突然座り込んでまるで家の主人のように偉そうに振舞っただけと聞きます。帰るのが面倒だ、疲れただのいい、勝手に寝たりして、男性としてもたいへん面食らったそうです。— 由太郎 (@yutarou11) 2018年9月20日
⑨
緊張も溶けた三日目。むしろ自白しないともう話すことがないと諦めた男性はポツリポツリと動機を話しました。
母はふんふん聞くだけだったそうです。ここでようやく三日間置き去りにした僕を思い出したらしく、自宅に電話をくれます。
「由太郎、いまちょっと温泉旅行にきててさ。」
「へ?」— 由太郎 (@yutarou11) 2018年9月20日
「母さん、今どこなの?」
「(名前なんだっけ?うんうん、Tね)あー、O花沢のT温泉だよ!来週には帰るから家の事は頼んだよ」がちゃん。ツーツーツー。
「…灯油は?」
何かに夢中になって、1日2日留守にするのは当たり前の両親。ですが、この時ほど驚いたことは…いや結構ありますね…。— 由太郎 (@yutarou11) 2018年9月20日
⑪
それは12月30日。母は車椅子の男性と共に帰宅します。「T温泉ホテルのTさんだ!」「息子さん、お母さんを借りてすみません。──実は」30日の夕刻。疲れて寝てしまった母に代わり僕は片道20分の道のりをあるいていました。
人助けに夢中になった母が灯油を買い忘れたからです。
おしまい
— 由太郎 (@yutarou11) 2018年9月20日
なんという運命の巡りあわせ...!
そしてお母様の行動力に脱帽してしまいます。
【追記】
後に母は語ります。
「Tはな、自分で勝手に生きることを選んだんだよ」後にTさんは語ります。
「私はあなたのお母さんに助けられたんだよ」どちらが正しい事を言っているか、僕には分かりません。ただ、Tさんは僕の前では決して泣き言を言わず、その後何年も付き合う縁となりました。
— 由太郎 (@yutarou11) 2018年9月20日
【後書きにかえて】
長い話にお付き合い頂いていありがとうございました。いかんせん文章力がないので母の獅子っぷりが伝えられたか。
1度だけ、なんであんな無茶な事したかを聞いたところ「なんとなく」とかえってきました。
僕も多くを気負うことなくなんとなく人生を歩めたら、と苦笑いです。
— 由太郎 (@yutarou11) 2018年9月20日
その「なんとなく」な気持ちで人ひとりの命が救えてしまうんですから本当に素晴らしいお母様ですよね!
こちらの一連のツイートを見た人々から以下のようなコメントが届けられています。
ステキな話をありがとうございました…一気に読んでしまいました…亡くなられた後まで、こんなにも鮮明に残り存在感があって....由太郎さんにも受け継がれているように思います。
— ももポン (@NzUn6) 2018年9月20日
映画化いつですか?
— カウゾーa.k.a.れんちょん(S.T works company) (@cosigoji) 2018年9月19日
稀に見るスーパー母ちゃんでほっこりしました、天国ではみんなで本当に温泉行ってると思います、天国でもお元気で…((* ॑꒳ ॑* ))
— ソラ (@sora_skri) 2018年9月20日
一生の間でどんな人と出会えるのか。全ての出会いを大切にしたくなりますね。奇跡的な邂逅をするのは明日か遠い未来か、あるいはもう起こっているのかもしれません。
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