今回は、そんな坂元裕二が脚本を務めたドラマからおすすめの作品を10選ご紹介します。
目次
東京ラブストーリー【1991年】
あらすじ
中途採用で東京勤務の生活を始めた長尾完治(織田裕二)は、高校時代の親友で医大生の三上健一(江口洋介)、完治と三上の憧れの女性・関口さとみ(有森成美)とともに同窓会に参加します。そこに三上が偶然道でぶつかったことをきっかけに同窓会に誘った完治の同僚・赤名リカ(鈴木保奈美)も加わり、4人の交流が始まりました。リカに惹かれ始める完治ですが、さとみへの想いも断ち切れず、4人の恋愛感情は交錯していきます。
見どころ
柴門ふみのマンガが原作であり、月9やトレンディドラマの代名詞とも呼ばれる名作です。ドラマを見たことがない人でも、リカの「カンチ、セックスしよ!」というセリフは、耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。2016年には、25年後の完治とリカを描いたマンガが発表されたことも話題になりました。
カルテット【2017年】
あらすじ
音楽家としての夢をなかなか叶えられずにいた4人の男女、早乙女真紀(松たか子)、別府司(松田龍平)、世吹すずめ(満島ひかり)、家森諭高(高橋一生)はカラオケボックスで出会い、カルテットを結成します。軽井沢で共同生活を始めた彼らでしたが、実はそれぞれ別々の思惑を持って真紀に近づいたのでした。共同生活の中で真紀の人柄に惹かれ始める彼らでしたが、真紀には夫殺しの疑いがかかっていました。
見どころ
真紀に片思いをする別府、別府へ想いを寄せるすずめ、そんなすずめを好きになってしまう家森と、切ない恋愛模様が繰り広げられます。それぞれが抱える秘密や、誰が最後まで嘘をついているのかなど、次第に変化していくスリリングな展開から目が離せなくなります。演技派として名高い主要キャスト4名はもちろん、吉岡里帆の怪演も話題を集めました。
いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう【2016年】
あらすじ
幼い頃に母を亡くし、北海道の養父母のもとで生活する杉原音(有村架純)と、東京の運送会社で働く曽田練(高良健吾)。未来に希望を抱けずにいた2人は友人の仲條晴太(坂口健太郎)の北海道旅行をきっかけに出会いました。やがて東京へ出てきて夢を見つけた音は、練と互いに惹かれ合います。しかし福島の祖父の元へ帰省した練は突然、音の前から姿を消してしまうのでした。
見どころ
家族の死など辛い現実に直面することで人生を諦めていた若者たちが、大切な人との出会いをきっかけに、苦しみながらも人生を切り開いていく様子が描かれています。時折、王道月9とは一線を画したハードな面を垣間見せるストーリー設定が印象的です。しかしだからこそ、登場人物が幸せをつかみ取ることを心から願う視聴者の声も多かったよう。手島葵の歌う主題歌『明日への手紙』も、物語にぴったりだと話題になりました。
問題のあるレストラン【2015年】
あらすじ
大手飲食サービス会社に勤める田中たま子(真木ようこ)は、女性へのハラスメントが横行する職場に嫌気がさしたことで、退職を決意。高学歴だが融通の利かない新田結美(二階堂ふみ)と、男性社員からセクハラを受けていた川奈藍里(高畑充希)の元同僚2人など、男性に傷つけられてきた仲間たちとともに「ビストロ フー」をオープンします。男性社会を見返してやろうと元職場の近くに店を構えますが、度重なる嫌がらせと戦うことに…。
見どころ
男社会に立ち向かうことをテーマの一つに据えた女性応援ドラマですが、ライバル店のシェフ同士という立場なのに好意を寄せ合ってしまう門司誠人(東出昌大)とのロマンスにも注目です。高畑充希演じるぶりっ子キャラも彼女の演技の幅を物語っており、見応えがあります。
最高の離婚【2013年】
あらすじ
濱崎光生(瑛太)は、東日本大震災の夜に一緒に歩いて帰った取引先の女性・結夏(尾野真千子)と結婚。しかし神経質な光生とがさつな性格の結夏は、喧嘩ばかりで気持ちが次第にすれ違っていきます。昔の恋人・上原灯里(真木よう子)との偶然の再会に浮き足立つのも束の間、光生は結夏から一方的に離婚届を提出されてしまうのでした。
見どころ
ほぼ毎話繰り広げられる光生と結夏の夫婦喧嘩は、爆発する感情の熱量と、セリフ量やスピード感に驚かされます。お互い好きなのに素直になれず、すれ違いから起こる喧嘩の白熱ぶりは必見。性格が正反対な2組の夫婦によって、綺麗事ではない結婚のカタチが描かれており、すっかり一様ではなくなった昨今の結婚事情に切り込んでいると言えます。桑田佳祐によるエンディング曲にあわせて踊る、メインキャスト4名のセクシーなダンスも見逃せません。
Mother【2010年】
あらすじ
室蘭の大学で渡り鳥の研究をしていた鈴原奈緒(松雪泰子)は、突然の研究所の閉鎖によって、近隣の小学校で教師として働き始めます。子どもに苦手意識を抱いていた奈緒ですが、教え子の道木怜南(芦田愛菜)が酷い虐待を受けていることを知り、彼女を誘拐して母親になることを決意するのでした。
見どころ
「母性は女を狂わせる」がキャッチコピーの、社会派サスペンス作品。強い母性と愛情を持ち、怜を手放したくない奈緒と、2人を引き離そうとする周囲との息もつかせぬ攻防が展開されていきます。初回の、虐待を受けながらも実の母と離れることに涙を流す芦田愛菜の演技が話題を呼び、当時5歳だった彼女の名を世間にとどろかせた出世作となりました。
Woman【2013年】
あらすじ
2人の子を持つ青柳小春(満島ひかり)は、夫の青柳信(小栗旬)を事故で亡くし、シングルマザーとなりました。厳しい現実から小春は生活保護を申請しますが、そこに20年前に自分を捨てた実母の植杉紗千(田中裕子)が援助を申し出てきます。過去の遺恨から紗千に反発する小春でしたが、そんな矢先、小春に重い病気が発覚してしまいます。
見どころ
家族とは何か、命をかけて守りたいものとは何かについて考えさせられるヒューマンドラマです。愛しているのに子どもにきつく当たってしまったりといった苦悩が鮮烈に描かれており、子どもを持つ視聴者から、人ごとのようには感じられないとの声が多く挙がりました。民放ドラマ初主演作となった本作をきっかけに、満島ひかりは『それでも生きてゆく(2011年)』など多くの坂元裕二作品に出演することになります。
anone【2018年】
あらすじ
自分のことを「ハズレ」と呼ぶ辻沢ハリカ(広瀬すず)は、清掃のバイトをしながらネットカフェで寝泊まりする生活を送っています。入院している男の子カノン(清水尋也)とのチャットアプリでのやり取りだけを楽しみにしている彼女は、カノンに外の世界のことを話してあげるのでした。そんなある日、幼少時代の祖母(倍賞美津子)との幸せな思い出がある町"柘"を訪れたことで、ハリカの忘れていた記憶が呼び覚まされ…。
見どころ
本作は『Mother』、『Woman』のスタッフが再集結して製作されています。ハリカとカノンの過去に紐づくキーフレーズでもある「大切な思い出って、支えになるし、お守りになるし居場所にもなる」というセリフには、多くの人が共感できるのではないでしょうか。これまで明るいヒロイン役のイメージが強かった広瀬すずが、陰を持った主人公を演じ、役づくりのために髪をバッサリと切ったことも話題になりました。
あなたの隣に誰かいる【2003年】
あらすじ
松本梓(夏川結衣)と松本欧太郎(ユースケ・サンタマリア)の夫婦は、娘とともに郊外の住宅街にある一軒家で暮らし始めました。平凡で幸福な生活を思い描いていた松本家でしたが、医療用のマスクを被って生活する向かいの住人や、互いの生活を見張り合う不可解なルールなど、奇妙な出来事に違和感を覚え始めます。そして隣人・澤村数馬(北村一輝)がかつての浮気相手に瓜二つであることは、最も梓を動揺させるのでした。一家の暮らしの歯車は、次第に狂い始めます。
見どころ
奇妙な出来事の点と点がやがてつながり線となり、命を狙われる展開へと転がっていく、手に汗握るサスペンスホラーです。見どころは何と言っても、松本家に付きまとう北村一輝のサイコパスじみた演技でしょう。2004年に死去したいかりや長介が、事件の真相を追う元判事役として、最後に出演したドラマとなっています。
ラストクリスマス【2004年】
あらすじ
大手スポーツ用品メーカーに勤める春木健次(織田裕二)は、海外出張で取引先の青井由季(矢田亜希子)と出会います。彼女に清楚な印象を抱いていた健次でしたが、やがて彼の隣に引っ越してきた由季の本性は、元レディースのヤンキーでした。反発し合いながらも、2人は徐々に距離を縮めていきます。
見どころ
『東京ラブストーリー』以来の織田裕二×坂元裕二のタッグ作品となった、月9らしい王道ラブストーリー。前半は元ヤンらしい奔放さで織田裕二と軽妙な掛け合いを行う由季ですが、持病の再発により健次への愛情と将来への不安で揺れ動きます。2面性を見事に演じた矢田亜希子の演技に注目するとともに、明るく始まった恋愛群像劇が感動のラストへと収束するシナリオの妙も楽しめる作品です。
最後に
王道ラブストーリーから社会派作品まで幅広いシナリオを手掛けているにも関わらず、時代を超え、様々な形でドラマファンからの支持を集めている坂元裕二。ぜひ、脚本家にも注目しつつ素敵なドラマライフを楽しんでください。
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