『KUBO/クボ二本の弦の秘密』レビュー。アメリカ人が描く古き日本の世界

1 『KUBO/クボ二本の弦の秘密』作品概要
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『KUBO/クボ二本の弦の秘密』作品概要

『KUBO/クボ二本の弦の秘密』が11月18日（土）に日本公開となります。本作は、『ティム・バートンのコープスブライド（2005年）』、『コララインとボタンの魔女（2009年）』などを手掛けたスタジオライカが送る新作ストップモーションアニメです。古き日本をモチーフとした世界観が繊細に描かれており、今年度のアカデミー賞やゴールデン・グローブ賞、「アニメ映画界のアカデミー賞」との呼び声高いアニー賞などにノミネートされています。

あらすじ

三味線の音色で折り紙に命を与え、意のままに操るという不思議な力を持つ少年・クボ。幼い頃、闇の魔力を持つ祖父に狙われ、助けようとした父親は命を落とした。その時片目を奪われたクボは、最果ての地まで逃れ母と暮らしていたが、さらなる闇の刺客によって母さえも亡くしてしまう。追っ手である闇の魔力から逃れながら、父母の敵を討つ準備を進めるクボは、道中出会った面倒見の良いサルと、ノリは軽いが弓の名手のクワガタという仲間を得る。やがて、自身が執拗に狙われる理由が、最愛の母がかつて犯した悲しい罪にあることを知る―。

『KUBO/クボ二本の弦の秘密』作品レビュー

世界中の83もの映画賞にノミネートされ、27の映画賞を受賞した長編アニメーション映画『KUBO/クボ二本の弦の秘密』。数々の傑作を生み出してきたストップモーション技術の最高峰・スタジオライカによって、情緒溢れる日本の風景や伝統文化が息を飲む美しさで描かれています。

人形や美術を1コマ1コマ動かして撮影するストップモーションアニメは、製作に長い時間と細やかな作業が求められる技法。今作はなんと、1秒間の映像のために24枚もの写真を撮影しているそうです。

三味線を奏でることによって折り紙に生命を宿し、意のままに動かすことができるという不思議な力を持っているクボ。前半はその能力を用いて大衆の前で人形劇を披露する姿や、病気の母サリアツとの洞窟での生活などがゆったりと映し出されます。

そして後半に待ち構えているのは、一転してスピーディーに描かれる戦闘描写。邪悪な魔力を持つ祖父や、クボの叔母にあたる姉妹との戦いは、普段アニメを見ない方にもおすすめできる圧巻のスケールです！

アメリカで製作された本作ですが、実は筆者は予告編を見て、日本の映画だと思ってしまいました。三味線や折り紙、着物や古民家の造形など、日本的な要素が忠実かつ違和感なく盛り込まれてたからです。しかしそれもそのはず、本作を手がけ、次回作に『トランスフォーマー』シリーズ最新作が決定しているトラヴィス・ナイト監督は、黒澤明監督や宮崎駿監督を敬愛する大の日本マニアだそうです。

敵味方に関わらず、主要キャラが親戚関係にある者ばかりという設定も、奇妙ながら目を引いてしまうこの映画の魅力です。片目を失くし、両親まで亡くし、決して幸せな境遇とは言えない中、血縁者同士での戦いに身を投じるクボの芯の強さは見る者を勇気づけてくれます。

果たしてクボの出生の秘密は…？そして彼が執拗に狙われる理由とは…？アメリカから見た古き日本の世界に、ぜひ足を踏み入れてみてください！

予告編動画

ギャガ公式YouTubeチャンネルより

【スタッフ】
監督：トラヴィス・ナイト

【ボイスキャスト】
アート・パーキンソン（クボ）
シャーリーズ・セロン（サル）
マシュー・マコノヒー（クワガタ）
ルーニー・マーラ（闇の姉妹）
レイフ・ファインズ（月の帝）

原題：Kubo and the two strings
2016／アメリカ／カラー／シネスコ／5.1chデジタル
字幕翻訳：石田泰子

11月18日（土）新宿バルト9ほか全国ロードショー！公式サイトはこちら。