そんな劇場版『クレヨンしんちゃん』シリーズを、公開年順に一挙にご紹介!前編では1996年〜2004年の12作品を、その見どころとともにお届けします。どの作品も一見の価値ありなので、見逃しているものがないか是非チェックしてみてください。
目次
- 1 映画クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王【1993年】
- 2 映画クレヨンしんちゃん ブリブリ王国の秘宝【1994年】
- 3 映画クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望【1995年】
- 4 映画クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険【1996年】
- 5 映画クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡【1997年】
- 6 映画クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦【1998年】
- 7 映画クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦【1999年】
- 8 映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル【2000年】
- 9 映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲【2001年】
- 10 映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦【2002年】
- 11 映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード【2003年】
- 12 映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ【2004年】
- 13 最後に
映画クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王【1993年】
あらすじ
いつもと変わらぬ慌ただしい日々を送る野原一家。しかし、しんのすけがチョコビのおまけとして幻のアクション仮面カードNo.99を手に入れてしまったことをきっかけに事態は一変。野原一家は海辺で見つけたアトラクションのせいで、ハイグレ魔王(野沢那智)が今まさに人々を支配しようとしている時空へ飛ばされてしまうのでした。
見どころ
劇場版第1作目にして、唯一の夏休みシーズン公開となった作品。最初の作品というだけあって、TVアニメシリーズ同様の日常的なエピソードから、次第に異世界に迷い込んでいくまでが丁寧に描かれています。非日常の世界観も珍しくない今となっては新鮮に感じられる描写であり、展開に引き込まれます。
映画クレヨンしんちゃん ブリブリ王国の秘宝【1994年】
あらすじ
福引でブリブリ王国5泊6日の旅を手に入れ、大喜びの野原一家。しかし行きの飛行機で、すべては悪の組織ホワイトスネーク団の陰謀だったことが発覚します。その目的はなんと、しんのすけを手に入れること。しんのすけと瓜二つのスンノケシ王子(川田妙子)や強靭な肉体を持った敵ミスターハブ(中田浩二)などが登場し、野原一家の命がけの大冒険が始まります。
見どころ
しんちゃん映画と言えば、往年の名作をモチーフにした作品が多数あり、本作も『インディ・ジョーンズ』シリーズを思わせる遺跡探検ものといった仕上がり。また、劇場版ではお馴染みにもなりつつある「強いおねーさん」の走りとしてルル(紗ゆり)が登場しており、カッコいいアクションを披露します。その後の映画シリーズで一般化した要素が多く盛り込まれた、ロールモデル的な作品です。
映画クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望【1995年】
あらすじ
タイムパトロール隊員のリング・スノーストーム(佐久間レイ)が、たまたま野原家の庭の地中深くに迷い込んでしまいます。事態を収拾するために野原一家は戦国時代にタイムスリップすることに。剣士の吹雪丸(浦和めぐみ)とともに野原一家は雲黒斎(加藤精三)の討伐に挑みます。
見どころ
しんちゃん映画初となる時代劇もの。吹雪丸といったキャラクターを起点に、『クレヨンしんちゃん』映画とは思えないような見事な剣の戦いを見せてくれます。主役のしんちゃんもゲストキャラクターに負けじと、"タスケテケスタ"の呪文で変身して参戦。大人しんちゃんの活躍シーンも見逃せません。
映画クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険【1996年】
あらすじ
群馬に建設された遊園地ヘンダーランド。実は、そこはオカマ魔女率いる悪の組織の拠点であることが発覚します。遊園地で出会った人形の女の子トッペマ(渕崎ゆり子)の力や彼女から預かった魔法のトランプの力を借りて、しんちゃんは単身、ヘンダーランドに乗り込むのでした。
見どころ
笑えて泣けるエンターテイメントとしては、歴代のしんちゃん映画の中でも屈指の出来栄えと言えるでしょう。一番の見どころはクライマックスで待つ、熱くて笑える、ただしナンセンスな最終決戦。『クレヨンしんちゃん』という作品の良さを映画スケールでバランスよくお楽しみいただける秀作です。
映画クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡【1997年】
あらすじ
魔神ジャークの復活の鍵となる光る玉を、しんのすけの妹・ひまわりが飲み込んでしまったことで、ひまわりは悪の組織に狙われる羽目に。野原一家はひまわりを救おうとし、期せずして珠由良(たまゆら)族と珠黄泉(たまよみ)族の戦いに巻き込まれていくのでした。
見どころ
本作より、しんのすけの妹・ひまわりが登場。監督もこれまで務めていた本郷みつるから、原恵一にバトンタッチしました。前作のファンタジックな雰囲気から一転して、銃や肉弾戦で魅せるアクションシーンが盛りだくさんとなっています。
映画クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦【1998年】
あらすじ
ふたば幼稚園の宴会で屋形船に乗っていたばかりに、しんのすけやその仲間たちは秘密結社"ブタのヒヅメ"に囚われてしまいます。"ブタのヒヅメ"を追う国連直属の秘密組織SMLや、それを追ってやってきたひろしやみさえなども参戦し、物語は"ブタのヒヅメ"のサイバーテロを阻止するための戦いへと進んでいきます。
見どころ
前作同様、ガンアクションや格闘シーンが盛りだくさんなところはもちろん、本作には原恵一監督による「泣けるしんちゃん映画」の片鱗も見られます。じんわりと沁みる結末は、ぶりぶりざえもんを演じた今は亡き塩沢兼人さんに対してのはなむけにも思え、それも本作の魅力です。
映画クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦【1999年】
あらすじ
風呂嫌いの悪の組織YUZAMEに対抗するべく活動する、温泉を守る秘密組織・温泉Gメン。ついに彼らは伝説の温泉"金の魂の湯"を発見しますが、それは野原家の地下にあったのです。そんな理由から、ある日突然野原一家は拉致されてしまい、国を巻き込んだ大きな戦いに巻き込まれていくのでした。
見どころ
温泉がテーマという、しんちゃん映画の中でも異色の一作。時折シリアスな敵役も登場する劇場版クレヨンしんちゃんですが、本作のボスキャラは最もくだらない理由で悪の道に落ちたと言えるでしょう。他にも『ゴジラ』のオマージュなど癖の強い演出が見られ、一味違ったバランス感を楽しめる映画です。
映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル【2000年】
あらすじ
アクション仮面の映画完成記念豪華客船ツアーにやってきた野原一家、及びカスカベ防衛隊たち。しかし、その客船を謎のサルたちが占拠してしまいます。運よくサルたちの襲撃を免れた子どもたちは、囚われてしまった大人たちを救うべく、サル軍団の本拠地と見られるジャングルの奥深くへ潜入するのでした。
見どころ
『アクション仮面VSハイグレ魔王』では少しファンタジックな立ち位置だったアクション仮面が、本作では地に足の着いた現実的なヒーローとして熱い戦いに身を投じる、新たな試みの一作。魔法やSF要素がなくても、しんちゃん映画が作れちゃうんだ!という驚きを感じることができます。
映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲【2001年】
あらすじ
20世紀のアイテムや企画が盛りだくさんに用意された20世紀博。大人たちはその懐かしさに夢中になるあまり、しんのすけを含む子どもたちを徐々に放っておくようになります。そしてある晩の放送をきっかけに、ついに大人たちは子どもたちを置いて20世紀博へ行ったきり戻って来なくなるのでした。危機感を覚えたカスカベ防衛隊の面々は、大人たちを迎えに行く決心をします。
見どころ
数多くの映画賞を受賞し、しんちゃん映画において金字塔を打ち立てた名作です。「泣けるしんちゃん映画」の代名詞とも言える作品ですが、実はちゃんとギャグも盛りだくさんで、クライマックスまではしっかり笑える映画となっています。世紀末生まれの『クレヨンしんちゃん』だからこそ描けた背景と、これからの時代を生きる人々に向けられたメッセージには、何度観ても心を揺さぶられます。
映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦【2002年】
あらすじ
ある日、家の庭から天正二年にタイムスリップしてしまったしんのすけは、春日家の家臣・井尻又兵衛(屋良有作)と廉姫(小林愛)に出会います。後に合流した野原一家の言から、廉姫の政略結婚をめぐっての合戦が起きてしまいます。果たしてしんのすけたちは元の世界へ戻れるのでしょうか…?
見どころ
前作と並んで「泣けるしんちゃん映画」として名前がよく挙がる本作。『BALLAD 名もなき恋のうた(2009年)』として実写化も果たしています。しんちゃんとは思えないような恋愛物語がストーリーの主軸にあり、重たいラストとそれを前にしたしんのすけの表情には、涙が止まらなくなること請け合いです。
映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード【2003年】
あらすじ
最高級焼肉を晩ご飯に控えた野原家。そこへやってきた謎の男の登場をきっかけに、なぜか野原一家全員が凶悪犯一味として指名手配されてしまいます。慌てて散開する野原家は、追ってくる一味の拠点が熱海にあることを知り、それぞれ熱海に集合するのでした。果たして野原一家は晩ご飯までに家に帰れるのでしょうか!?
見どころ
感動作の色が強くなってきたしんちゃん映画を豪快に混ぜ返し、笑いに舵を切った映画が本作。これでもかというアイディアを立て続けに盛り込み、今までのしんちゃん映画になかった痛快な型を編み出すことに成功しています。原恵一に代わって、『ガールズ&パンツァー劇場版(2015年)』の水島努が監督が務めました。
映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ【2004年】
あらすじ
ある廃映画館に迷い込んだカスカベ防衛隊。不思議な映画を眺めているうちに、しんのすけを除く他のメンバーは行方不明になってしまいます。居なくなった場所が映画館だと気づいた野原家は、再び映画館を訪れるのですが、気づくとそこは荒野の世界になっていました。
見どころ
前作とは一転したシリアスな雰囲気で、西部劇をテーマに、カスカベ防衛隊に強くスポットを当てた映画。いつもは大人のお姉さんに惹かれていたしんのすけが、年齢の近いつばきちゃん(齋藤彩夏)との恋愛に目覚めるのが新鮮です。少し切ないラストを迎える味わい深い1作となっています。
最後に
以上、12作品を前編としてご紹介しました。1990年代から少しずつ性格や登場キャラクターを変化させてきた『クレヨンしんちゃん』。90年代から00年代にかけての劇場版は特にその変化を色濃く感じることができるので、そういった縦軸も意識して観ると面白い発見があるかもしれません。2005年〜2017年にかけての作品は後編からどうぞ。
スポンサーリンク