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見逃してない?2017年アカデミー賞受賞作をおさらい

見逃してない?2017年アカデミー賞受賞作をおさらい

2017年の第89回アカデミー賞は、実に波乱の多い展開となりました。現場のミスで危うく違う作品へ賞が授与されそうになったり、「イスラム圏7か国出身者の入国を禁止する」というトランプ大統領の令を受けて、外国語賞を受賞した監督や俳優がボイコットを起こすといった出来事も。

そんな、映画好きにとっては例年以上に目を離せない回となった今年のアカデミー賞。今回は各部門を一挙ご紹介します!日本でもほとんどの作品が公開されているので、まだご覧になっていない方はぜひチェックしてみてください。

ムーンライト【2017年】

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あらすじ

マイアミで暮らす内気でいじめられっ子の少年シャロン(アレックス・ヒバート)は、家庭では麻薬常習者の母親ポーラ(ナオミ・ハリス)から育児放棄され、孤独な毎日を送っていました。シャロンに優しくしてくれるのは、偶然知り合った麻薬ディーラーで町でも顔のきく男フアン(マハーシャラ・アリ)とその妻(ジャネール・モネイ)、そして幼馴染であり男友達のケヴィン(ジャハール・ジェローム)のみ。やがてシャロンは高校生になり、ケヴィンに友達以上の感情を抱きますが、それは彼をますます生きづらくする道でした・・・。

見どころ

いわゆるセクシュアルマイノリティの人間関係を描いたLGBTがテーマの作品ですが、普遍的に描かれており、誰しもの胸を打つストーリーとなっています。美しい映像に、情感たっぷりの劇伴も相まって、いまだかつて見たことのない恋愛映画が誕生しました。

■作品賞
アカデミー賞では、作品賞は最後に発表されます。当時、予想としては『ラ・ラ・ランド(2017年)』が最有力となっており、作品賞の発表も同じく『ラ・ラ・ランド』だったことから、会場は大いに沸き立ちます。ところがすぐに、スタッフが発表する作品のタイトルが入った封筒を渡し間違えたていたことが発覚!作品賞は新進気鋭の黒人監督、バリー・ジェンキンスが手がけた『ムーンライト(2017年)』だったのです。

■助演男優賞:マハーシャラ・アリ
今作でシャロンの理解者であるフアンを演じたマハーシャラ・アリが、本編出演時間わずか30分ほどにもかかわらず助演男優賞を受賞したことも、異例ということで大きな話題となりました。

麻薬のディーラーを生業としていながら、性格的にはアウトローな側面を垣間見せない、思いやりのあるキャラクターです。短い出演時間の中で、主人公をより引き立てつつも埋没しない存在感を発揮しています。

■脚色賞
もともと『ムーンライト』には制作前から存在する原案があり、『In Moonlight Black Boys Look Blue』という脚本を書いた劇作家のタレル・アルビン・マクレイニーが脚色賞を、監督のバリー・ジェンキンスと共に受賞しました。
ちなみに「In Moonlight Black Boys Look Blue」とは、作中でフアンがシャロンに語る話に登場するセリフでもあります。

ラ・ラ・ランド【2017年】

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あらすじ

女優志望のミア(エマ・ストーン)はオーディションに落ちてばかり。ある日、意気消沈しながらピアノの音色に誘われて入ったバーで、しがないジャズピアニストのセバスチャン(ライアン・ゴズリング)と最悪な出会いを果たします。後日、ミアはあるパーティ会場にてイヤイヤながらポップスを演奏するセバスチャンと再会。衝突してばかりの2人は、やがて互いの才能や夢を応援していくようになり、ついには恋に落ちますが…。

見どころ

往年のミュージカル映画の魅力が詰まった今作で、ノミネートも受賞も最多タイとなった今作。最大の見所は、冒頭から繰り広げられる圧巻のミュージカルシーン!主演の登場を待たずして展開される美しい歌とダンスの世界に、一気に引き込まれます。

■監督賞
公開前から監督と主演のライアン・ゴズリングの来日があり、日本の業界著名人もこぞって太鼓判を押していたミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』が監督賞を受賞しました。受賞した監督のデミアン・チャゼルは当時32歳であり、今回で最年少監督記録を86年ぶりに塗り替えるという快挙を成し遂げています。

■主演女優賞:エマ・ストーン
ヒロインのミアを演じたエマ・ストーンが主演女優賞を受賞。実はエマ・ストーンは過去にライアン・ゴズリングと『ラブ・アゲイン(2011年)』でも競演をしており、息のあった演技やダンスシーン、さらに歌まで披露するなど、彼女の魅力がふんだんに詰まった作品でもあります。

『ラ・ラ・ランド』は他にも主題歌賞や撮影賞など受賞し、最多部門で賞を獲得した作品となりました。

マンチェスター・バイ・ザ・シー【2017年】

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あらすじ

ボストンの郊外で人との関わりを避けて孤独に生きる男リー(ケイシー・アフレック)は、故郷であるマンチェスター・バイ・ザ・シーから届いた兄(カイル・チャンドラー)の訃報を受けて帰郷します。しかしリーには厭世的に生きる理由となった重い過去があり、帰郷したことで彼はその過去との対面を余儀なくされます。

見どころ

決して派手な作品ではありませんが、主人公リーの繊細な演技が目を引きます。人々の抱える過去に対してまっすぐ向き合ったヒューマンドラマとなっており、ラストでリーが過去と対面したことで辿り着いた答えに、ハッとさせられます。

■主演男優賞:ケイシー・アフレック
主演男優賞も、批評家の予想は『ラ・ラ・ランド(2017年)』のライアン・ゴズリングか、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のケイシー・アフレックの接戦となっていましたが、今回はケイシー・アフレックに軍配が上がりました。
『ラ・ラ・ランド』のようなスケールは決してない作品名だけに、彼の演技力が証明される結果となり、その実力は『ラ・ラ・ランド』を見て、ゴズリングが男優賞を受賞すると断言した人が、後に『マンチェスター・バイ・ザ・シー』を見て断言を撤回するという事態まで起きるほどでした。

■脚本賞:ケネス・ロナーガン
ケネス・ロナーガンは元々脚本のみを担当することも多く、『ギャング・オブ・ニューヨーク(2002年)』でも高い評価を得ています。
なんとケネス・ロナーガンは実際にマンチェスター・バイ・ザ・シーを訪れたことはなかったんだとか。

ちなみに本編にも通行人として一瞬だけ出演しています。服装も普通に撮影現場の感じ丸出しなので、ちょっと面白いですね。

フェンス【劇場未公開】

フェンス
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あらすじ

1950年代のアメリカ・ピッツバーグを舞台に、元プロ野球選手でいまはゴミ収集員として働くトロイ(デンゼル・ワシントン)と妻ローズ(ヴィオラ・デイヴィス)。
トロイは過去の栄光と同時に、自分が黒人であるからその座を貶められたとして、今も現状を恨んでいます。自分と馬の合わない息子にも執拗に厳しく接するトロイは、次第に周りの人々からも距離を取られてしまうようになります。

みどころ

舞台を基に製作されたため、会話劇を中心にストーリーが展開していくのですが、舞台版でも引き続き演じているキャストの確かな演技力を目の当たりに出来る作品です。時代に取り残されていくトロイの姿は、今の日本でもうかがえる"父権の衰え"のようなものと重なり、年代によっては激しく共感させられます。

■助演女優賞:ヴィオラ・デイヴィス
舞台でも演じられる『フェンス』では、映画同様妻、ローズをヴィオラ・デイヴィスが演じているだけに納得の助演女優賞ともいえます。
肝っ玉の据わった母親像と同時に、トロイの不貞に対して涙ながらに叱咤するシーンは胸打つこと必至です。

ちなみに彼女は『ダウト あるカトリック学校で(2008年)』でも同賞にノミネートし、『ヘルプ 心がつなぐストーリー(2011年)』では主演女優賞にノミネートされるなど、着実にキャリアを積んできただけに拍手を送るにふさわしい受賞となりました。

セールスマン【2017年】

セールスマン
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あらすじ

小規模劇団に所属する、普段は教師の夫とその妻。「セールスマンの死」の舞台に向けて練習をする日々に、引っ越したばかりの部屋に男が押し入り、妻が襲われます。夫は警察に通報しようとするも、妻は早く忘れようと、表沙汰にすることを拒否。次第に夫婦の間には溝が生まれ、事件は思わぬ方向へ転がりだします。

みどころ

一見、妻の巻き込まれた事件で犯人を見つけることに取り付かれたようになる夫の話かと思えば、話はそんな領域を軽々と越えてきます。被害者と加害者の線引きさえもあいまいにしていくストーリー展開に脱帽です。

■外国語映画賞
イラン映画として外国語賞を受賞しましたが、当時トランプ大統領が発足した大統領令に強い反感を示し、会場参加を監督や主要キャストまでボイコットするという、異例の事態が起きます。そもそもこのアカデミー賞総出で反トランプを掲げているところもあり、そこへ追い風を与えるような展開が話題を呼びました。

なんだか作品まで政治的な内容に聞こえてしまいそうですが、本編に一切政治要素はなく、ミステリー以上に、夫婦やその取り巻きに起こる取り返せないすれ違いが非常に印象的な作品です。

監督のアスガー・ファルハディは『別離(2012年)』でも、同賞を受賞したり、カンヌ国際映画祭では脚本賞を受賞するなど、世界中から注目される監督です。

ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅【2016年】

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あらすじ

魔法動物学者ニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)は、未知の幻獣を求め、世界中を旅しますが、ニューヨークにたどり着いた際、魔法のトランクに詰め込んでいた魔法動物たちが逃げ出す事態に。アメリカでは魔法生物を扱うことを禁じていたことから、ニュートンはお尋ね者となってしまいます。

さらに秘密結社・新セーレム救世軍の魔法生物根絶の暗躍にもニュートンは巻き込まれてしまい…?

みどころ

ハリー・ポッターシリーズとは別の時間軸を描く作品ですが、同シリーズの魅力を存分に含んだだけでなく、舞台がアメリカになっているところなどもポイント。

エディ・レッドメイン演じるスキャマンダーのキャラクターも、見れば見るほど愛嬌が増してきます!

■衣装デザイン賞
今作で衣装デザイン賞を受賞したコリーン・アトウッドは、他にも『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち(2017年)』や、『アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅(2016年)』などファンタジー色の強い作品を手がけています。一方、武骨な作品に定評のある、マイケル・マン監督の『ブラックハット(2015年)』も手がけており、その幅広いデザインが高く評価されるのもうなずけます。

ズートピア【2016年】


ズートピア映画公式Instagramアカウント(@disneystudiojp)より

あらすじ

どんな動物も快適な暮らしができる環境が整えられた世界。各々の動物たちには決められた役割がありますが、ウサギの女の子ジュディ(ジニファー・グッドウィン)は、大きくて強い動物だけがなることができる"警察官"に憧れていました。

警察学校をトップの成績で卒業し、史上初のウサギの警察官として勤務することになったジュディですが、任される任務は満足のいくものではありませんでした。そんなある時、キツネの詐欺師ニック(ジェイソン・ベイトマン)と出会い、彼とともにあるカワウソの行方不明事件を追うことになりますが…。

みどころ

ディズニー作品というだけあって、その完成度はバツグン。見た目は子ども向けですが、動物だけの社会や、おのおのの適正職業など、細かい設定に目を向ければ大人も十分に楽しめる要素がてんこ盛りです!

■長編アニメーション映画賞
ノミネート作にあったジブリ映画『レッドタートル ある島の物語(2016年)』をおさえて、見事ディズニー映画が長編アニメ賞を受賞!

ポップな内容に見せかけて、意外にも刑事と詐欺師のバディものという、大人も子どもも楽しめるストーリーに多くの方が魅了されたはず。
ちなみにライオンハート市長の本国声優は、あの『セッション(2015年)』で全ての音楽学校生徒を、恐怖と絶望のどん底に突き落とした鬼講師・フレッチャーを演じたJ・K・シモンズが担当しています。

最後に

前年度のアカデミー賞からだいぶ印象の変った受賞者の顔ぶれ(特に助演賞は両者とも前年度では一人も出なかった黒人キャストが獲得しています)や、社会情勢の変化が浮き彫りとなった第89回。

そして今年度も魅力溢れる作品が勢ぞろいしていることは間違いないので、ひとつでも気になる作品があればぜひチェックしてみてください!賞を獲っているだけあって「見たけど時間の無駄だった!」なんて思うことはないはずですよ!

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