今回は、最新の音楽も好きだけれど、少し懐かしい名曲やを抑えておきたい!という方は絶対に観ておきたいロードムービー洋画10選をご紹介します。
目次
オー・ブラザー!【2001年】
あらすじ
1930年代のアメリカ南部を舞台に、監獄から逃げ出したエヴェレット(ジョージ・クルーニー)含む3人の珍道中を描きます。無一文の男たちは、エヴェレットがかつて隠したという大金を目指すことに。その道中、ひょんなことからお金目当てで「ずぶぬれボーイズ」と名乗り、1曲レコーディングをするのですが、そのレコードがまさかの大評判、本人たちも知らぬ間に人気者となっていきます。一方、エヴェレットが大金を隠したその場所は人造湖の建設地となっており、あと4日で水没することが判明。一行は先を急ぐのでした。
見どころ
ジョージ・クルーニー主演作。ブルース、カントリーなど、知る人ぞ知るルーツミュージックがふんだんに流れ、アメリカ大自然の映像が目を楽しませてくれます。ひとすじ縄ではいかない、ブラックユーモアの効いた痛快なエピソードがふんだんに盛り込まれ、ギリシャ神話『オデュッセイア』をベースとしたストーリーが小気味良く展開していきます。サウンドトラックは全米で700万枚超の大ヒットを記録し、2002年度グラミー賞最優秀アルバム賞も受賞しています。
ブルース・ブラザース【1981年】
あらすじ
刑務所から出所したばかりのジェイク(ジョン・ベルーシ)と弟のエルウッド(ダン・エイクロイド)。2人は身寄りのない教会育ちですが、その教会が金銭苦から閉鎖に追い込まれていることを知り、一夜限りのライブで大もうけして教会を救おうと画策するのでした。破天荒な2人が、警察やカントリーバンド、謎の女など様々な敵に追われながら、昔のバンドメンバーを再集結させる奇妙な旅を始めます。
見どころ
トレードマークとして有名な黒スーツにサングラス姿の2人が、荒唐無稽に大暴れするソウルミュージック満載のコメディです。80年代時点ですでに時代遅れとされていたブルースやR&Bをこよなく愛する型破りな彼ら。行く先々で出会うのは、レイ・チャールズ、アレサ・フランクリン、ジェームズ・ブラウンといったブラックミュージックのスターたちです。監督はマイケル・ジャクソンの楽曲『スリラー』のMVを手がけたジョン・ランディスが務めており、古き良きサウンドを楽しみたい方にはおすすめです。
オズの魔法使【1954年】
あらすじ
カンザスの農場で暮らす少女ドロシー(ジュディ・ガーランド)は、飼い犬のことで叔母さんともめて家を飛び出した矢先、やってきた竜巻にまきこまれ、空へ飛ばされてしまいます。着地した先はマンチキン国という不思議な世界。元の世界へ帰るにはエメラルドの都に住む「オズの魔法使い」を頼るしかないと聞き、ブリキ(ジャック・ヘイリー)、かかし(レイ・ボルジャー)、ライオン(バート・ラー)、飼い犬トトと一緒に「黄色いレンガ道」を辿る旅に出かけるのですが…。
見どころ
数々の映画で引用されてきた名作であり、ミュージカル映画の金字塔。名曲『虹の彼方に』を筆頭に、美しくキャッチーな音楽の数々が胸を打ちます。モノクロームだったカンザスの映像から、カラフルなマンチキン国へ切り替わった瞬間は名演出として必見でしょう。マイケル・ジャクソンのヒット曲『スムーズ・クリミナル』の元ネタであるブリキ男の傾斜するダンスなども見られ、エンターテイメントのバイブルとして押さえておきたい名作中の名作です。現実逃避したくなった方は、極彩色の世界観に没入してみませんか?
ワイルド・アット・ハート【1991年】
あらすじ
支配的な母親のもとで暮らすルーラー(ローラ・ダーン)と、エルヴィス・プレスリー好きのキレやすい男セイラー(ニコラス・ケイジ)。婚約関係にある2人でしたが、セイラーはひょんな事から殺人を犯してしまい服役します。ようやく出所しますが、ルーラーの母マリエッタ(ダイアン・ラッド)が2人の結婚を許さないことは明白でした。母に雇われた私立探偵から逃亡し、自身を縛っている過去からも遠ざかろうと、2人は車を走らせます。
見どころ
ドラマ『ツイン・ピークス』の名匠デヴィッド・リンチが手掛けた、90年代の代表作。靴のかかとを3度鳴らしたり、毒母が「悪い魔女の姿で追いかけてくる幻影」として描かれたりと、先述した『オズの魔法使い』のオマージュが2人に重くのしかかる呪縛を表現しています。古き良きもの、理想の時代のレガシーとして登場するプレスリーの楽曲『Love Me Tender』も印象的。毒々しい全体のトーンと裏腹に、意外にもエンディングが爽快な、1990年カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作品です。
マイ・プライベート・アイダホ【1991年】
あらすじ
場所や状況に関わらず堪えがたい眠気におそわれるナルコレプシーを患うマイク(リバー・フェニックス)と、名家の出身のスコット(キアヌ・リーブス)。社会の最底辺で男娼として生きる親友同士の2人ですが、その出生は正反対でした。スコットは20歳の誕生日とともに、男娼をやめ、実業家として父の仕事を継ぐつもりでいます。一方、幼くして両親を亡くし、父が誰なのかもわからず、心に傷を抱えるマイクは、スコットを伴って出生の秘密を解き明かす2人旅に出かけるのでした。
見どころ
『スタンド・バイ・ミー(1987年)』で一躍スターとなったリバー・フェニックスと『スピード(1994年)』、『マトリックス(1999年)』などでアクションスターとして知られるキアヌ・リーブスの共演作。一見ショッキングな同性愛、ドラッグに溺れる生活を描きながらも、居場所のない孤独感や、愛されたいのに愛されない寂しさなど、そのテーマは胸を打つ普遍的なものです。始まりも終わりもわからない長い道のりと、美しいスライドギターの調べは、まさにロードムービーの趣意と言えるでしょう。
イージー・ライダー【1970年】
あらすじ
「キャプテン・アメリカ」と名乗る男ワイアット(ピーター・フォンダ)とビリー(デニス・ホッパー)。ドラッグで得た大金を持って、ハーレーダビッドソンを走らせアメリカ横断の旅をする2人でしたが、旅の途中で警察に留置されることになり、弁護士のハンセン(ジャック・ニコルソン)に助けられます。エリートでありながら馬のあう弁護士ハンセンを伴って、3人でニューオーリンズの謝肉祭を目指そうとしますが、南部で保守的・排他的な人々と出会うことで、旅の雲行きは怪しくなっていきます。
見どころ
60年代末期の世相を、サイケデリックな映像と牧歌的な景色×ロックで描く異色の青春映画。ハーレーダビッドソンに乗った2人のビジュアルはあまりに有名です。アメリカ横断を通して、世代間ギャップやベトナム戦争への落胆など、当時の若者像を描写しています。ハイウェイの美しい景色と、ふんだんに用いられるジミ・ヘンドリックス、ザ・バンド、ザ・バーズといった当時最新の音楽。「ヒッピーって何?」、「サイケデリックって何?」といった疑問を抱く現代人に、60年代末期の雰囲気を体感させてくれる、シュールでありながら心の琴線に触れる名作です。
ペーパー・ムーン【1974年】
あらすじ
母を交通事故でなくした少女アディ(テータム・オニール)を叔母の所まで車で送ることになった詐欺師の男モーゼ(ライアン・オニール)。親子ほどの年の差の2人が、二束三文の聖書を高額で売りつける詐欺を働きながら、1930年代のアメリカ中西部を旅します。頭の回転の早い少女アディの絶妙な仕事ぶりで、順調に金を稼いでいきます。しかし、酒の違法売買で一気に大金を得ようと計画したことが裏目に出てしまい、警察から追われ、お金も底をつきる最大のピンチが訪れます。
見どころ
タバコさえ吸う早熟な9歳の少女と、その日暮らしの男というデコボコ・コンビを描いた、笑えて泣ける傑作ロードムービー。主演の2人が実際の親子ということに驚かされる本作は、古めかしい映画のようでありながら1973年に製作されています。あえてモノクロで、丁寧に撮影されたシャープな映像は必見。名曲『ペーパー・ムーン』をはじめとした30年代の音楽とともに疾駆するクラシックカーも隠れた魅力ですが、なんといっても1973年度アカデミー助演女優賞を史上最年少で受賞したテータム・オニールの演技を楽しんでほしい作品です。
ダウン・バイ・ロー【1986年】
あらすじ
ラジオDJのザック(トム・ウェイツ)、ジャック(ジョン・ルーリー)、英語が苦手なイタリア人ロベルト(ロベルト・ベニーニ)。刑務所で出会ったタイプの違う3人は脱獄に成功しますが、無一文で森や沼地をさまよう日々が待っていました。寒さや飢えで仲間割れしそうになりながらも、ロベルトのユーモラスな発想でなんとか切り抜けていく3人。とうとう一軒の小さなレストランを見つけます。食べ物などを都合してくれるよう交渉するため、単身店内に入って行くロベルトと、それを物陰から見守る2人でしたが…。
見どころ
映画『ライフ・イズ・ビューティフル(1999年)』で世界的名優となったロベルト・ベニーニが出演しているのみならず、フランシス・フォード・コッポラ監督の諸作品で味わい深い存在感をみせていたミュージシャン、トム・ウェイツが初主演を務め、音楽も提供しています。堂々巡りの息苦しい生活の中で、ふと、人生が監獄のように感じてしまう瞬間がありませんか?人生の先行きにヒントが欲しい時に鑑賞していただきたい、スタイリッシュなモノクロ映像で綴られた作品です。
愛しのタチアナ【1994年】
あらすじ
1960年代フィンランドの片田舎。珈琲中毒の仕立て屋バルト(カティ・オウティネン)は母親との些細ないざこざをきっかけに、彼女を小部屋へ閉じ込めてしまい、そのまま家を飛び出してしまいます。刺激のない町と繰り返す日常から脱出しようと、アメリカかぶれの車の修理工レノイ(マッティ・ペロンパー)を誘い2人でドライブへ。途中のモーテルで冴えない女性2人と出会い、彼女たちを港まで送る珍道中が始まります。
見どころ
美男美女が出てこないのにキュンとする、62分のモノクロ作品です。田舎の冴えないおじさんが必死に集めたアメリカのレコード、革ジャン、車などからは溢れるアメリカ愛が感じられますが、それらがまったく似合っていない様子は哀愁を誘い、「そして日々は続く」と言わんばかりのビターな幕切れには大人の悲哀が漂います。トホホなエピソードの数々と、分かる人にはぐっと来るロックンロールや場末感を抱かせるダンス音楽。アキ・カウリスマキ監督作の神髄とも言える、最小限の会話と無表情は、入り込めば心地よく、クセになる世界観です。
テルマ&ルイーズ【1991年】
あらすじ
アメリカ南部のレストランで働く独身のルイーズ(スーザン・サランドン)と高圧的な夫を持つ主婦テルマ(ジーナ・デイヴィス)。親友の2人は憂さ晴らしのドライブを計画します。はめを外した2人は、通りがかったバーで夜を楽しむのですが、世間知らずのテルマが悪い男に襲われる危機に直面し、目撃したルイーズは銃の引き金を引いてしまいます。取り乱した2人はルイーズの愛車「サンダーバード」に乗りこみ、メキシコを目指した逃避行を始めるのでした…。
見どころ
『ブレード・ランナー(1982年)』や『エイリアン(1979年)』を手がけたリドリー・スコット監督作品で、ロードムービーにはめずらしい女性2人の逃避行です。テルマが放った銃弾は、90年代に入っても女性に抑圧的だった一部の男性たちへの痛烈な反抗を感じさせます。BGMは激しいアメリカンロックが中心ですが、CMなどで使用されることも多い、ジョニー・ナッシュの名曲『I Can See Cleary Now』が後半ユーモアたっぷりに流れます。
最後に
脱獄、犯罪からの逃避行、不思議の国など、現実離れしているようで実は誰にでもあてはまる心情を、ご機嫌な音楽と旅路で描いているロードムービーの世界。今回ご紹介出来なかった『パリ、テキサス(1985年)』や『俺たちに明日はない(1968年)』など、このジャンルはまだまだ名作の宝庫です。なかなか旅行になんて行けない!という方は珠玉の旅映画で、脳内トリップしてみてはいかがでしょうか?
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