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羽海野 チカ×神山 健治の豪華タッグ!『東のエデン』の魅力

『ハチミツとクローバー』(以下、ハチクロ)や『3月のライオン』で有名な漫画家・羽海野チカがキャラクターデザインを務め、監督に『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX』シリーズ(以下、攻殻SAC)で名を馳せた神山健治を据えて制作されたオリジナルSFアニメ『東のエデン』。

本作は、神山監督と羽海野チカの代表作それぞれを意識して作られており、ハチクロに見受けられる甘酸っぱいロマンス、攻殻SACの緊張感のある政治的なストーリーの両方が含まれている異色作です。今回は、そんな『東のエデン』の魅力をたっぷりと紹介します。

東のエデン【2009年】

東のエデン
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あらすじ

全裸で拳銃と携帯を手に、ホワイトハウスの前で立ち尽くしていた記憶喪失で大量の偽名を持つ男・滝沢朗(木村良平)。そして、ホワイトハウスの噴水に向かってコインを投げたことで警察に聴取を受けていた森美咲(早見沙織)。彼らは、アメリカの警察から逃げるようにして、共に日本への帰国路につくことになります。

滝沢は帰国するなり、アメリカでも携帯に道標を示してくれた、JUIZ(玉川紗己子)と名乗る女性からの着信を受けます。彼女は、彼がセレソンシステム有効圏内に入ったこと、彼には82億円を使い切る義務があること、そしてその資金を元手にして彼の望みを何でも叶えてくれることを告げました。

Juizの手腕を試すべく、混雑する空港で「ここからすぐに出してくれ」と滝沢が申し出ると、カートに乗った男が彼を迎えに現れ、いとも簡単に空港を離れることに成功。滝沢は、そんな不思議な携帯電話「ノブレス携帯」や「セレソン」について調べるため、そして記憶がないの自分のルーツを求めて、パスポートに書かれた住所へ向かっていくことになります。

見どころ

掴みどころのない王子様「滝沢朗」
今や人気声優となった木村良平が躍進するきっかけとなったキャラクター「滝沢朗」。『東のエデン』シリーズ通しての主人公であり、その奇天烈な発想と行動は見る者を引き込みます。一見無茶をしているようでも、彼の行動には理屈がきちんと伴っており、決して向こう見ずな男ではないのが彼の魅力です。

作中では、彼自身がその風変わりな行動に解説を添えることもありますが、説明のない場面でも状況ごとに最善の行動を取っています。物事をスマートに解決し、困っている人にそっと手を伸ばす姿は、まさしく現代の王子様です。

資本金100億!12人で競い合うセレソンゲーム
本作には、滝沢と同じ「セレソン」と呼ばれる人間が複数登場します。彼らは、「Mr.Outside」と名乗る人物から、日本を正しい方向に導くという使命を請け負う代わりに、物理的に可能なことであれば願望を叶えてくれる魔法の携帯電話「ノブレス携帯」を与えられています。

そんな彼らによって行われる日本変革の競い合いは「セレソンゲーム」と名付けられ、境遇も人格もバラバラなセレソンは各自の方法で日本を変えるべく奔走することになります。序盤からセレソンによる影響がたっぷりと作品世界に反映されており、彼らがしたことを思い返しながら再び視聴すると、最初は歯牙にもかけなかったような1カットにも深い意味合いを発見できます。



東のエデン 劇場版Ⅰ The King of Eden【2009年】

東のエデン 劇場版Ⅰ The King of Eden
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あらすじ

日本各地へのミサイル攻撃、そして滝沢朗(木村良平)の失踪から3カ月。JUIZ(玉川 紗己子)は、滝沢の告げた「俺を王様にしてくれ」という願望を叶えるために彼の記憶を消して渡米させ、総理大臣にするべく暗躍していました。

一方、大学のサークルでしかなかった「東のエデン」は、彼らが独自に開発した携帯画像検索エンジン"エデンシステム"を目玉として、「東のエデン株式会社」を設立していました。その社員の一人となった森美咲(早見沙織)は、ノブレス携帯に残された手がかりを追って、滝沢を捜索すべく単身渡米。しかし、そこには彼女を監視する謎の影があったのでした。

見どころ

王子様を探すお姫様「森美咲」と「滝沢朗」の変化した関係性
今作では、TV版のヒロイン森美咲が中心となって、「アメリカで危機に陥る」「記憶のない滝沢と出会う」「彼の機転によって助けられる」など、TV版を意識したストーリーが展開します。TV版との違いは"咲の心情"。記憶の無くす前と同じように、破天荒で親しみやすい滝沢には、咲との思い出はありません。危機に追いやられる記憶のない滝沢と、健気に彼を守ろうとする咲、そんな2人の切ない関係性は必見です。

謎の女・JUIZの新たなる一面
自身をセレソンのコンシェルジュと名乗り、セレソンの願いを聞き届ける窓口としての役目を務めるJUIZ。
その正体は、TV版のラストで明かされることとなりましたが、今作では彼女の違った一面を垣間見ることが出来ます。JUIZは、今作でとあるセレソンと口喧嘩をし、不機嫌な声色でセレソンの要望を却下、さらには半ば挑発するような言動を繰り返します。職務に忠実だった彼女に起きた異変に注目です。

東のエデン 劇場版Ⅱ Paradise Lost【2010年】

東のエデン 劇場版Ⅱ Paradise Lost
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あらすじ

急逝した総理大臣・飯沼誠次郎の私生児として帰国した滝沢朗(木村良平)。彼は、空港で待っていた飯沼総理の妻・飯沼千草(秋元千賀子)に激しく糾弾され、飯沼誠次郎後援会に身柄を囚われてしまうこととなります。そこで彼は、一緒にいた森美咲(早見沙織)に、記憶が戻りつつあることと母を探してほしいということを伝え、一旦の別れを告げるのでした。

咲と別れた直後、滝沢は立ち寄ったトイレでニート失踪事件の被害者・弘瀬悠大(井上剛)と遭遇。弘瀬は滝沢に掴みかかりますが、影武者として後援会に出頭することを頼まれると態度を一変させ、協力を承諾するのでした。

見どころ

解き明かされる「滝沢朗」のルーツ

東のエデンの顔とも言える人物「滝沢朗」の奇天烈な言動は健在。今作では序盤からその奇抜な発想を十二分に活かして窮地を切り抜けていきます。さらに、一部回復した幼少時の思い出以外の、今まで一切明かされることのなかった過去が明かされます。

出生の秘密。自然と他者からものを譲り受けることの出来た理由。セレソンに選抜されるまでの経緯。日本を変革するために、滅私奉公してきた滝沢朗のヴェールに包まれていた正体は必見です。

東のエデンメンバーに迫る影

前作までは、セレソンゲームを引っ掻き回す邪魔者として、ノブレス携帯を持つ滝沢のみに白羽の矢が立っていました。しかし、今作では彼をバックアップし続けてきた「東のエデン」にもセレソンによる毒牙が迫ります。その過程で、彼らの使っていた部室に秘められた歴史も明らかに。窮地に立たされても決して諦めない「東のエデン」面々の活躍が見られます。

遂に終わりを迎えるセレソンゲーム
セレソンゲームも遂に終焉を迎えます。「日本を変革する」以外の方法で、ゲームを終わらせようとする1人のセレソン。そして、あくまで日本をより良い方向に導くことでゲームに決着をつけようとする滝沢朗。互いに相容れない2人が導き出した結論とは何なのか。優しい王様になろうとした滝沢朗のJUIZへの最後の申請は涙なしには見られません。

『東のエデン』の声優紹介

滝沢朗/木村良平

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木村良平公式Instagramアカウント(@ryouhey_drunk)より

主人公滝沢朗の声優を務めるのは、本作『東のエデン』がテレビアニメ初主演となった木村良平。

彼が演じると、どのキャラクターでもどこか身近に感じられるという"共感性"が多くの人に評価され、2012年には第6回声優アワードにて助演男優賞を受賞しています。

また、『黒子のバスケ(2012年)』の黄瀬涼太、『ハイキュー!!』シリーズの木兎光太郎、『ReLIFE(2016年)』の夜明了など数多くの人気アニメで活躍し注目されています。

森美咲/早見沙織

「早見沙織のふり〜すたいる♪」公式Twitterアカウント(@hs_frst)より

ヒロイン森美咲の声優を務めるのは、透明感のある声が特徴の早見沙織。

『それいけ!アンパンマン(2011年)』のカップケーキちゃん、『四月は君の嘘(2014年)』の井川絵見、『魔法つかいプリキュア!(2016年)』のはーちゃんなど幼女から成人女性まで幅広く声優をこなす彼女は、歌手としても活躍。

声優デビュー後、数々の主題歌やキャラクターソングを担当しており、2015年には自身のラジオ「早見沙織のふり〜すたいる♪」内にてアーティストデビューを発表しています。

『東のエデン』をもっと楽しむための小ネタ

神山健治監督の手がけるアニメシリーズとの繋がり

『東のエデン』シリーズは、神山監督が過去に手がけたSFアニメ『攻殻機動隊Stand Alone Complex』シリーズと世界観を共有しています。序盤の飛行機事故には、攻殻SACにおいて重要な意味を孕んでいます。他にも、攻殻SACに登場する技術の原型が登場するなど、2つのシリーズが繋がっていることが随所で確認できます。

ハチクロ読者は2倍楽しい!羽海野チカによるキャラクターデザイン

本作のキャラクターデザインは、羽海野チカの代表作『ハチミツとクローバー』に登場する中で、設定や役回りの方向性が類似したキャラクターがモデルとなって作られています。例えば滝沢朗のモデルは、破天荒な性格からハチクロの主役の一角である「森田忍」。ぜひ誰が誰をモデルに作られているのか比較してみてください。

最後に

ビッグネームの2人がそれぞれの持ち味を活かして作り出した名作アニメ『東のエデン』。作画は最初から最後まで安定しており、劇場版2作の作画書き込み量には目を見張るものがあります。高品質に仕上がっている本シリーズは、SFアニメや少女漫画が好きな方に特におすすめの作品です。