シリアスな演技の中にも哀愁がただよう、等身大の主人公がぴったりな俳優、ニコラス・ケイジ。今回は彼が出演したアクション映画の中から、時系列に沿っておすすめの映画を紹介していきます。
目次
ザ・ロック【1996年】
あらすじ
「ザ・ロック」と呼ばれるアルカトラズ島の元刑務所に立てこもったのは、海兵隊のエリート、ハメル准将(エド・ハリス)でした。人質に取った観光客とサンフランシスコ市民を相手に、VXガスで無差別テロを起こすと脅迫し、身代金を要求したのです。これに対しFBIの科学研究員であるグッドスピード(ニコラス・ケイジ)と、ザ・ロックからの唯一の脱獄者であるメイソン(ショーン・コネリー)がSEALsとともに島へ乗り込んでいきます。
見どころ
ショーン・コネリーやエド・ハリスなどの名俳優との共演ですが、ニコラス・ケイジも引けを取らず、困難に立ち向かう実直なヒーローを抜群の演技力でこなしています。およそ20年前の映画とは思えないようなテンポの良い戦闘シーンが見どころ。出演者は他にデヴィット・モース、ザンダー・バークレーなど。『アルマゲドン(1998年)』、『トランスフォーマー』シリーズのマイケル・ベイ監督作品であることにも注目です。
コン・エアー【1997年】
あらすじ
元軍人のキャメロン・ポー(ニコラス・ケイジ)は酒に酔って絡んできたチンピラを殺してしまったことで服役しており、仮釈放のために飛行機で搬送されることに。その飛行機には運悪く、超凶悪犯のサイラス(ジョン・マルコビッチ)が乗っており、ハイジャックされてしまいます。もともと正義感の強いキャメロンは、囚人たちの目を盗み、何とか状況を好転させようと戦う決心をするのです。
見どころ
プロデューサーは『ザ・ロック』でも製作を務めたジェリー・ブラッカイマー。ニコラス・ケイジは、若さあふれる正義感の強いヒーローを演じています。どんな困難な状況に陥っても、希望を捨てずに立ち向かうことの大切さが伝わる作品です。地上からキャメロンを援護する連邦保安官にジョン・キューザック、凶悪犯グループにダニー・トレホ、スティーヴ・ブシェミなど、豪華キャストが出演しています。若かりしマルコヴィッチのダーティーな悪役ぶりも必見です。
フェイス/オフ【1998年】
あらすじ
FBIのショーン・アーチャー捜査官(ジョン・トラヴォルタ)は、息子を殺したキャスター・トロイ(ニコラス・ケイジ)を激戦の末に追い詰め逮捕します。しかし逮捕時の戦闘にて植物状態になってしまったトロイは、ロサンゼルスに爆弾を仕掛けていました。弟のポラックス(アレッサンドロ・ニヴォラ)に爆弾の場所を聞き出すために、アーチャーはトロイの顔を自分に移植し、刑務所に潜り込みます。しかしその後、トロイは蘇生し、残っていたアーチャーの顔を移植するのでした…。
見どころ
あらすじだけでゾワッとしてしまう話ですが、非常に緊張感あるサスペンスアクションに仕上がっています。『ブロークン・アロー(1996年)』、『レッドクリフ』シリーズのジョン・ウー監督がメガホンをとった作品です。ニコラス・ケイジとジョン・トラヴォルタの演技合戦とも言えるこの映画は、顔が入れ替わっても演技力の高さがあるために違和感なく鑑賞することができます。2人が入れ替わったことを突き止めるアーチャーの妻イヴは、数々の助演女優賞を受賞しているジョアン・アレンが演じています。
スネーク・アイズ【1999年】
あらすじ
混沌とした社会の中で落ちぶれた刑事サントーロ(ニコラス・ケイジ)。彼は、出世した親友であるケヴィン(ゲイリー・シニーズ)が警備責任者を担っていたボクシングイベントの試合中に、国防長官が暗殺されるというアクシデントに遭遇します。サントーロは、暗殺犯をとらえるべく捜査に乗り出すのでした。
見どころ
ニコラス・ケイジが、クズではあるが、人として最低限の正義感は持ち合わせているという微妙な役回りを演じる作品です。ワンカットでの(疑似)長回し撮影にも含まれる一人称視点の多用など、映像テクニックを次々に繰り出すことで、混沌としたストーリーを退屈せずに楽しむことができます。坂本龍一が楽曲を提供したことでも話題になりました。
60セカンズ【2000年】
あらすじ
凄腕の車泥棒だったメンフィスは、現在では足を洗って地元を離れていました。そんなある日、弟のキップに命の危機が迫っていることを知らされ、再び悪事に手を染めることになります。狙うは50台の高級車。今までどうしても盗むことができなかったシェルビー・マスタング(エレノア)もその中に含まれています。元恋人とのラブストーリーも相まったスリリングなミッションが、華麗に幕を開けるのでした。
見どころ
私生活でも車好きで知られるニコラスのクールな泥棒シーンは見どころです。恋人役のアンジェリーナ・ジョリーもこの映画では控えめなセクシーさで好感触。次々に出てくる艶やかな高級車を見ているだけでも楽しめますが、何よりカーマニアにとっては垂涎の的とも呼べる作品です。
ウインドトーカーズ【2002年】
あらすじ
日本軍との壮絶な戦闘で身も心も傷を負ったエンダーズ(ニコラス・ケイジ)でしたが、仲間のために戦場に戻ります。新しい任務は、暗号通信の役目を与えられたナバホ族の護衛と、彼らがいざという時に敵の手に渡るのを阻止することでした。
見どころ
戦争映画にありがちな過激すぎる描写は抑え、戦場に生きる兵士たちの心情をリアルに描いた作品です。『フェイス/オフ』のジョン・ウーが監督を努めます。敵に暗号を解読されないように、暗号担当のナバホ族を処刑するかどうかという葛藤のシーンは特に巧みに描かれており、手に汗握るような臨場感が味わえます。
NEXT【2007年】
あらすじ
ラスベガスのカジノでマジシャンとして生活していたクリス(ニコラス・ケイジ)は、2分先の未来が見える特殊能力の持ち主でした。予知夢に出てくる運命の女性と出会った彼のもとに、その能力を見抜いたFBIが接触。大規模テロの解決に協力してほしいと依頼します。
見どころ
特殊効果や主人公を襲うピンチの連続で、息もつかせぬ展開のままあっという間に時間が過ぎてしまうノンストップ映画です。未来が見えてしまうが故に抱える悩みがうまく表現されています。この時期からニコラスは、映画製作に関わることも多くなってきます。
バンコック・デンジャラス【2008年】
あらすじ
ジョー(ニコラス・ケイジ)は、仕事に関係した仲間まで始末するという冷酷な暗殺者です。徹底してルールを守り、必ず依頼を成功させてきました。ジョーは、現役最後のミッションをタイのバンコクで行うことに決めますが、ここにきてルールを破ってしまったり、魅力的な女性と恋に落ちたりと大波乱。思いもよらぬ展開になっていきます。
見どころ
俳優として色々な役回りを経験してきたニコラスのキャリアが結晶し、魅力的な演技を見せてくれます。当初は冷酷無比でクールな暗殺者でしたが、初めて向き合う大切な存在や命の儚さなどに触れ、徐々に険が取れて感情が変化していきます。ただの暗殺者ものの映画ではありませんので、哀愁たっぷりのシーンを存分にお楽しみください。
ゲットバック【2012年】
あらすじ
出所した元銀行強盗主犯のウィル(ニコラス・ケイジ)は娘に会いに行きますが、冷たくあしらわれてしまいます。しかしその直後、娘を誘拐したという電話が彼のもとへ入ります。内容は銀行強盗で盗んだお金を全部持ってこないと娘を殺すという脅迫でしたが、お金は燃やしてしまったためありません。ウィルは娘の命を救うため、再び銀行強盗を行う決心をするのでした。
見どころ
『コン・エアー』のサイモン・ウェスト監督と再タッグを組んで臨んだ本作品。ニコラスは切れ者の犯罪者という役柄ですが、同時に、娘のために命をかけて悪に立ち向かうヒーローも演じています。数々のピンチにあいながらも頭を使って切り抜ける機転は惚れ惚れしてしまうほど。インテリジェントな魅力のみならず、派手なアクションシーンやスリル満点のカーチェイスも楽しめる一挙両得な作品です。
トカレフ【2014年】
あらすじ
悪事から足を洗って成功したポール・マグワイヤ(ニコラス・ケイジ)には、仲間たちだけの秘密がありました。妻子にも恵まれ、事業にも成功した彼を突然の悲劇が襲います。突然一人娘が誘拐され、無残な姿で発見されたのです。復讐に燃えるポールは娘の命を奪った銃の種類を手掛かりに、事件の背景に潜む組織を割り出すのでした。
見どころ
心に秘密を抱えた父親が、悲しさを背負って戦う姿をニコラスが熱演しています。この頃にはもう、復讐の演技は彼の代名詞と言って差し支えないでしょう。カンフーのような華麗さとは違った、泥臭くも男の迫力満点なアクションシーンは貫禄すら感じる仕上がりとなっています。終盤での主人公の心の動揺、衝撃の真相も楽しみにご覧ください。
最後に
ただただカッコいいヒーロー役も似合いますが、何か心に傷を負っているような訳ありの男を演じさせるとピッタリ役にはまる、味のある俳優がニコラス・ケイジです。クールに仕事をこなすいい男もビシッと演じてくれます。
今回はアクション映画を集めてみましたが、日本のアニメやコミックヒーローにも強い思い入れがあるようで、特に自身の製作映画はそういった傾向が強く、そちらも魅力的です。現在も精力的に映画出演を続けているので、ファンにとっては新作が楽しみですね。
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