今回は、そんな満島ひかりの数多い出演作品の中から10作品を厳選してご紹介。映画における彼女の確かな存在感が際立つ作品ばかりです。
目次
愛のむきだし【2009年】
あらすじ
高校生・角田ユウ(西嶋隆弘)は敬虔なクリスチャンの家庭に生まれ、亡くなった母親の「マリア様のようなお嫁さんを見つけなさい」という言葉を胸に、神父である父テツ(渡部篤郎)と2人で暮らしていました。しかしある日、テツに愛人が出来たことで親子の関係が歪み始めます。テツはユウに懺悔を強要するようになり、父親との繫りを失いたくないユウは懺悔する罪を作るため、故意に盗撮を始めます。
そんな中ユウは、偶然出会った同じく高校生のヨーコ(満島ひかり)と恋に落ち、さらには新興宗教団体「ゼロ教会」に属するコイケ(安藤サクラ)の登場により、2人の運命は複雑に絡み合って行くのです。
見どころ
満島ひかりの出世作であり、「奇才」と呼ばれ高く評価を受ける園子温監督の代表作とも言える本作。見どころは何と言っても満島ひかりの演技力と、画面を通じて伝わってくるそのパワーです。撮影はかなり過酷で、満島ひかりは監督から怒鳴られてばかりいたそうですが、それによって溜った鬱憤のようなものが本作品の演技で爆発しており、観客は歓喜にも似たセンセーショナルな感情を覚えるでしょう。
満島ひかりは本作でキネマ旬報ベスト・テン助演女優賞、毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞、モントリオール・ファンタジア国際映画祭最優秀女優賞を受賞しました。
食堂かたつむり【2010】
あらすじ
倫子(柴咲コウ)は、祖母に教わった料理の数々を元にいつか料理店を開きたいと考えていました。そんな中、出会ったインド人の男性と恋に落ちて同棲。一緒にお店を開こうと頑張りますが、その彼氏が倫子のお金や家のものを持って姿を消してしまいます。
あまりのショックに口がきけなくなってしまった倫子。やむなく折り合いの悪い母ルリコ(余貴美子)の元へ帰り、実家のスペースを利用して「食堂かたつむり」を開くことにします。不思議な力がこもった倫子の料理は、訪れる人々の心を癒して行くのでした。そんなある日、同窓のミドリ(満島ひかり)が食堂かたつむりを訪れ…。
見どころ
小川糸の小説『食堂かたつむり』を基に製作された本作の見どころは、何といっても料理・食事のシーン。実生活でも料理好きという柴咲コウが挑んだ料理シーンは、神々しさを感じるほど静かに美しく撮られています。満島ひかりは食堂を訪れる客の1人・ミドリを演じており、出演シーンはあまり長くありませんが、謎めいた雰囲気で観客の記憶に残る演技を披露しています。
川の底からこんにちは【2010】
あらすじ
上京して5年経ち、仕事も5つ目で彼氏も5人目になり、燃え尽きたような日々を送っていた佐和子(満島ひかり)。ある日故郷でしじみ工場を営む父親の病気を知らされ、やむなく帰郷して工場を継ごうと奮闘します。しかし会社は経営難、従業員のおばさんたちには冷たく当たられ、佐和子はだんだん追い詰められていきます。挙げ句の果てに恋人にも浮気されてしまった佐和子は…。
見どころ
本作では満島ひかりが都会で「燃え尽き症候群」のようになった主人公・佐和子を巧みに演じており、映画の中盤で一念発起し頑張る彼女の人生を本当に生きているかのように感じられます。新鋭の若手映画監督として注目された石井裕也監督の演出やストーリー構成も新鮮で、辛口のユーモアに溢れています。
満島ひかりは本作でヨコハマ映画祭主演女優賞、エランドール新人賞を受賞しました。1度は観ておきたい満島ひかりの代表作品のひとつと言えるでしょう。
悪人【2010】
あらすじ
祐一(妻夫木聡)は長崎郊外の漁村で生まれ育ち、現在も同じ村で働く土木作業員。幼い頃母親に捨てられ、祖母・房枝(樹木希林)に育てられた祐一は心を閉ざし、恋人も友人もいない孤独な日々を送っていました。
同じく孤独感を抱えながら職場と家を往復する生活を送っていた光代(深津絵里)と出会い恋に落ちます。しかし光代が知らされたのは、祐一が彼女と出会う前に佳乃(満島ひかり)を殺していたという衝撃の事実でした…。
見どころ
全体に悲しい空気の漂う映画ですが、どのキャストの演技も素晴らしく感動を覚えます。特に妻夫木聡、深津絵里、満島ひかりの演技は際立っており、満島ひかりは本作で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞しました。
出会い系サイトを通じて複数の男性と関係を持つ女性・佳乃を演じる彼女は、本人とは全く共通点が見当たらないと言いながらも「実際にこういう人いるのかも…。」と観客に思わせるほどの演技を魅せています。
一命【2011】
あらすじ
江戸時代初頭、大名の御家取り潰しがあとを絶たず、困窮した浪人・千々岩求女(瑛太)。幼子を抱えた妻の美穂(満島ひかり)は病に侵されており、求女は妻を助ける薬を得ようと当時流行していた「狂言切腹」を実行するが…。
見どころ
満島ひかり、市川海老蔵、瑛太、役所広司など豪華キャストによる迫真の演技に加え、時代劇初となる3D効果を用いた映像も見どころ。瑛太と満島ひかり演じる夫婦の心の通い合いが画面を通して伝わって来るがゆえに、満島ひかりが夫を想い悲嘆にくれるシーンが心を打ちます。愛する人との繋がりを描いた感動の時代劇です。
夏の終り【2013】
あらすじ
染色家の知子(満島ひかり)は長年小説家の慎吾(小林薫)と不倫関係を続けていますが、仕事は順調、慎吾との関係も特に不満はなく安定している毎日でした。しかし知子が昔夫と子どもを捨てるきっかけとなった涼太(綾野剛)が訪ねてきたことで、知子は慎吾と涼太2人の間で揺れ動くようになります。奇妙な三角関係を続ける中、知子が下した決断とは…。
見どころ
瀬戸内寂聴の私小説が原作の本作の見どころは、やはり知子の揺れる女心を演じる満島ひかりの繊細な演技でしょう。艶っぽい印象を与える映像に仕上がっており、その効果が満島ひかりの細かい心の動きと表情のひとつひとつをより妖艶に見せています。人の心の不安定さ、危うさを表しているような音楽も印象に残る大人の恋愛映画です。
ハロー!純一【2014】
あらすじ
純一(加部亜門)はいつも仲間6人と一緒に行動している内気な小学生。ある日、見た目も話すことも派手な教育実習生のアンナ先生(満島ひかり)が純一のクラスに赴任してきます。
アンナ先生は授業中は恋人の話ばかりしており、休み時間には校庭裏でタバコをふかしたりととにかく自由奔放。そんな彼女に純一を始めとする子どもたちは初めは驚きますが、アンナ先生の真っ直ぐな優しさにだんだんと親しみを覚えていくようになり…。
見どころ
当時小学生は鑑賞料無料として公開された本作。小学生に映画を楽しんでほしいという目的で製作されたのが伝わってくる、エネルギーいっぱいの作品です。アンナ先生を演じる満島ひかりに「こんな先生に教わったら楽しい(楽しかった)だろうな!」と思ってしまうはず。生徒を演じる子役たちの演技も自然で微笑ましく、いつまでも覚えておきたい作品です。
愚行録【2017】
あらすじ
突然起こった一家殺害事件。被害者は何の落ち度もない完璧なエリート家庭に見えた田向家でした。1年が過ぎても犯人が特定しない事件の真相を探るため、週刊誌記者の田中(妻夫木聡)は取材を重ねて行きます。一家を巡る複雑な事情や人間関係が次第に明らかになっていき…。
見どころ
実体が掴めないストーリー展開もさることながら、田中の妹・光子を演じる満島ひかりの掴みどころのない演技は、謎めいていて少々恐怖を覚えるほどです。また、実写化は難しいとされていた原作のディテールを巧みに拾い上げ映画化した石川慶監督の実力も感じられる、ハードボイルドな作風に仕上がっています。
海辺の生と死【2017】
あらすじ
時は第2次世界大戦末期。駐屯のため、奄美群島の加計呂麻島に海軍特攻艇の部隊がやってきます。国民学校の教師・トエ(満島ひかり)は、部隊を率いる朔中尉(永山絢斗)の静かな出で立ちと人柄に密かに惹かれていました。ある日トエは朔中尉から1通の手紙を受け取り…。
見どころ
本作は作家の島尾敏雄、その妻で同じく作家の島尾ミホをモデルにした書籍が原作となっています。奄美大島を故郷の1つに持つ満島ひかりが、奄美の自然の力を身にまとったような主人公・トエを演じている様子は、まさに神がかっているよう。彼女の演技を媒介として、トエが朔中尉に向ける一途な愛が画面を通して痛いほど伝わってきます。1度観たらきっと忘れられない記憶に残る作品になるはずです。
モスラ2 海底の大決戦【1997】
あらすじ
沖縄の海に突如現れた怪獣・ダガーラ。ニライカナイの伝説の古代文明が環境保護を目的に生み出したシステムが暴走した結果、反対に環境破壊の猛毒を巻き散らすダガーラの姿となって現れてしまったのです。モスラと共にエリアス姉妹のモル(小林恵)とロラ(山口紗弥加)が駆けつけ、問題解決に乗り出しますが…。
見どころ
本作は満島ひかりの記念すべき映画デビュー作。彼女の初々しくも堂々とした演技が1番の見どころと言えるでしょう。満島ひかりは石垣島に住む少女・汐里を演じており、沖縄で育った彼女の纏う空気感が作品自体に爽やかさを与えています。
最後に
満島ひかり出演の様々な内容・ジャンルの10作品をご紹介してきました。満島ひかり自身の魅力が十二分に引き出されているのが良く分かる、充実したラインナップとなっているかと思われます。
内容やジャンルは異なれど、実は「人間とは何か」、「人間性とは何か」が隠れたテーマになっている作品ばかりですので、気になった作品があったらぜひご覧くださいね。
スポンサーリンク