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芥川作家の原作を映画化!『勝手にふるえてろ』大九明子監督インタビュー

『勝手にふるえてろ』作品概要

2001年に『インストール』でデビューし、『蹴りたい背中』で第130回芥川賞を受賞した作家、綿矢りささんによる恋愛小説『勝手にふるえてろ』が待望の映画化!振り向いてくれない憧れの人(理想)と、自分を追いかけてくれるけど本命にできない人(現実)との間での葛藤、女性のリアルな感情が繊細に描かれている本作は、12/23(土)に公開となります。

脳内彼氏とリアル彼氏を持つ主人公のヨシカを演じる松岡茉優さんは、なんとこの『勝手にふるえてろ』が初主演作。脳内彼氏のイチ役にはダンスロックバンド「DISH//」でギター・ボーカルを務め、『君の膵臓をたべたい』『恋と嘘』などに出演して注目を集めている若手俳優・北村匠海さん、そしてリアル彼氏のニ役はロックバンド「黒猫チェルシー」のボーカルであり、映画監督としても活躍中の渡辺大知さんが演じ、脇を固めています。

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(c)2017 映画「勝手にふるえてろ」製作委員会

あらすじ

“脳内片思い”の毎日に“リアル恋愛”が勃発!?2人の彼氏(?)の間で揺れながら、傷だらけの現実を突き抜ける暴走ラブコメディ!24歳のOLヨシカは中学の同級生「イチ」(北村匠海)へ10年間片思い中!そんなヨシカの前に、突然暑苦しい会社の同期「ニ」(渡辺大知) が現れ告白される。「人生初告られた!」とテンションがあがるも、ニとの関係にいまいち乗り切れないヨシカ。ある出来事をきっかけに「一目でいいから、今のイチに会って前のめりに死んでいこうと思ったんです」と思い立ち、同級生の名を騙り同窓会を計画。ついに再会の日が訪れるのだが…。

『勝手にふるえてろ』大九明子監督インタビュー

本作で監督と脚本を務めたのは大九明子監督。劇中でヨシカが歌いあげる楽曲『アンモナイト』の作詞も行っており、過去の監督作品『恋するマドリ(2007年)』『東京無印女子物語(2012年)』などでは女性視点の描写に定評があります。早速お話をうかがって参りました!

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完成後に初対面!原作者、綿矢りささんとのやりとり

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『勝手にふるえてろ』を映画化するにあたって、原作者の綿矢さんとお話をする機会もあったと思いますが、映画の構成についてどんなお話をされましたか?

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いえ、「映画と小説は別物だと思うので楽しみにしています」と一任してくださっていました。実は撮影現場に一度見学に来られた時が初対面だったんです。その時はご挨拶だけでしたが。仕上がった後に改めてお会いできたのですが、映画のことを好意的に言ってくださり、すごく気に入っていただけたみたいです。

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映画化に関して、すごく理解のある方なんですね!

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「小説が映画化されると、内容は削られがちだけど、私の場合は増えて戻って来た!得した」とおっしゃってました。綿矢さんと主人公のヨシカ役の松岡さんとLINEグループを作って、すごく仲良くさせてもらってます。

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巧妙な対比!謎めいた金髪のウェイトレスの正体は…

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映画の中で登場した金髪のウェイトレスのインパクトがとても強かったのですが、原作には登場していなかったあの人物はどういったアイディアから生まれましたか?

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そこを訊いていただけたのは嬉しいです!趨里さん演じるあの金髪のフィギュアみたいな子は、ヨシカの理想の友達という設定で登場させました。現実世界で少し下に見ている来留美も大事な友達なんですが、オタク系のヨシカが本当に友達になりたいのはああいう子なんです。

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(c)2017 映画「勝手にふるえてろ」製作委員会

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彼氏の方にも理想と現実という対比がありましたが、友達にも同様の構図があったんですね。

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(c)2017 映画「勝手にふるえてろ」製作委員会

原作と映画で異なる、「勝手にふるえてろ」に込められた意味

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作品タイトルにもなっている「勝手にふるえてろ」というセリフは、原作の中ではクラスメイトに怯えていたイチに対してヨシカが言い放っていたような印象を受けましたが、映画では自分自身に向けられていましたよね。

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もともと綿矢さんの作品はいくつも読んでいたんですけど、この小説は拝読していなくて。原作を受け取ったとき、タイトルに一目惚れしてしまいました。「綿矢節、来た!」って思いましたね。

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私も綿矢さんのデビュー作『インストール』や、芥川賞受賞作の『蹴りたい背中』を読ませていただいたことがあるのですが、ガツンと来る独特な表現が多いですよね。比喩も個性的ですけど、それでいてスムーズに飲み込めて、共感できる。

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そうなんですよね。20年前に撮った『意外と死なない』という自主映画があるのですが、「若い女っていうのは『大変だ大変だ』って言いながら意外と死なない生きものだから、勝手にふるえてろ」という言葉が浮かんで。「意外と死なない」と「勝手にふるえてろ」って言葉がリンクして浮かんだんです。そのフレーズに引きずられてシナリオを書いたので、自分自身に向けている言葉だと早い時点で解釈していました。

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確かに、イチに言っているようでもあり、彼を鏡にして自分自身に向けているようでもある、深いセリフですね。

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よく考えると変な日本語ですもんね(笑)。切れ味の良い言葉を繰り出す、綿矢さんならではのタイトルだと思います。

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(c)2017 映画「勝手にふるえてろ」製作委員会

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綿矢さんの独特な世界観を残したまま、映像化されて更に分かりやすくなったのが今回の映画なのかなと思いました。女性が共感できる要素がたくさん詰まっている本作ですが、監督ご自身の恋愛観でヨシカに重なる部分はありますか?

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自分からアタックできないという部分は同じかもしれないですね。自分からは好きにならないようにしてしまうので、そういうところは似ているかもしれません。

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なるほど。追いかけられると逃げたくなるし、一方で、一緒にいても幸せになれないような手の届かない相手をつい追ってしまうのが女性の本能だと思うので、映画ではその表現が非常に活きていたと思いました。

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観てもらいたいのは、「ヨシカみたいなタイプ」?

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本作はどういった方に観てもらいたいですか?

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ひねくれ者の物語を、ヨシカみたいなタイプの方に向けて丁寧に作ろうという心積もりだったので、万人受けしなくて良いから、そういった方に一緒に笑ったり泣いたりしてもらえたらなと思います。

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(c)2017 映画「勝手にふるえてろ」製作委員会

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なるほど。

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ただ、ヨシカみたいなタイプの方は「どうせ私の好きな綿矢文学をめちゃくちゃにしたんだろ?」とか言ってなかなか映画館に来てくださらない可能性があるので(笑)。そういう人たちには「まぁ1回観てよ」って言いたいですね。たまたま観てみたら心に刺さるものがあったり、誰かにとって大事な映画になったりしたら嬉しいです。

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ずっと覚えていてもらえるような映画を目指しているということですね。

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はい。そのために、寿命の長い映画を作ろうということを常に思っていて、流行みたいなものはあまり入れないようにしているんです。10年経ってから見ても普遍的であるように、という点を心がけています。

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確かに当時の流行のものを取り入れた映画だと、10年後にはリアリティーよりも、懐かしさを覚える作品になってしまうかもしれません。考えてみたら、映画の中で見られる流行のものといえばLINEアプリぐらいでしたね。

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どう気をつけても携帯とかパソコンとか、そういったもので「時代」が現れてしまうのは避けられないので、更に流行のものを取り入れて映しこむことはしたくないなと思っています。

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(c)2017 映画「勝手にふるえてろ」製作委員会

恋愛とは得てして無様なもの

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全体的に原作を忠実に再現しているイメージがありますが、二が無理やりヨシカとセルフィーをして「画像送るからLINE教えて」と言う部分など、原作にないシーンはどのような意図で加えようと思いましたか?

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今だったら連絡先の交換はLINEかなと思って、自然に入れましたね。ここが非常に難しいところで、10年後も色あせたくはないけど、同時に今見ても嘘臭くない演出をしたいので、現代的なものの使いどころはいつも悩みます。

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その線引きは確かに難しそうですね。演技自体に関しては何かエピソードはありますか?

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二役の大知君が「QR」って言うシーンは、彼のアドリブなんです。「大知君、普段こうやって女の子とLINE交換してるのかな?」と思いましたけど、すごくイメージ通りの動きだったのでそのまま採用しました(笑)。カットした瞬間、松岡さんが「気持ち悪い!」って大笑いしたのを覚えています。

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(c)2017 映画「勝手にふるえてろ」製作委員会

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あそこはとても印象深いシーンでした。ぐいぐい来る二に対して引き気味だったヨシカが、結局その後、イチに対して同じことをするというのがすごく良かったです。

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気の無い人に対してそっけない態度を取ってカッコつけていても、自分が振り向いてもらおうと必死なら真似してしまう。そういう恋愛の無様さを表現しようと思いました。

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(c)2017 映画「勝手にふるえてろ」製作委員会

次に撮りたいのは女性じゃなく、おじさん!?

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監督として活躍されているほか、本作では『アンモナイト』の作詞にも挑戦されていますが、今後はどのような活動をなさるおつもりですか?

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デビュー作の『意外と死なない』から本作まで、ずっと女の人を描いてきたので、今度はおじさんが主人公の映画を撮りたいと思っています。

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そうなると、ガラリと雰囲気が変わりますね!若い男性は主人公の相手役で今までたくさん出てきていますけど、おじさんというところにスポットを当てるのは挑戦的で面白いですね。ぜひ拝見したいです。本日は貴重なお話、ありがとうございました。

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ありがとうございました。

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1-2大九明子監督
1968年、神奈川県横浜市出身。明治大学政治経済学部卒業。プロダクション人力舎スクールJCAの第1期生となり、数々のバラエティー、ライブに出演の後、制作者サイドに転身。1997年、映画美学校の第1期生となり、監督・脚本作品『意外と死なない(1999年)』でデビュー。新垣結衣主演『恋するマドリ(2007年)』、谷村美月主演『東京無印女子物語(2012年)』染谷将太主演『ただいま、ジャクリーン(2013年)』、高岡早紀主演『モンスター(2013年)』、優希美青・足立梨花W主演『でーれーガールズ(2015年)』などを手がける。松岡茉優とのタッグは、『放課後ロスト/倍音(2014年)』、TUBEのミュージックビデオ春夏秋冬4部作から生まれた映画『渚の恋人たち(2016年)』に続き3度目となる。

『勝手にふるえてろ』作品情報
■【監督・脚本】
大九明子

■【キャスト】
松岡茉優
渡辺大知(黒猫チェルシー)
石橋杏奈
北村匠海(DISH//)
古舘寛治
片桐はいり

■【原作】
綿矢りさ著『勝手にふるえてろ』文春文庫刊

■ 【配給】
ファントム・フィルム

■【主題歌】
黒猫チェルシー『ベイビーユー』(Sony Music Records)

映画『勝手にふるえてろ』は、12/23(土)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋ほか全国公開!公式サイトはこちら