しかし今回あえておすすめしたいのは、そんな『ストレンジャー・シングス』に勝るとも劣らない、深い人間ドラマが描かれる骨太なミステリードラマたちです。
目次
マインドハンター【2017年】
あらすじ
舞台は1970年代のアメリカ。若きFBI捜査官ホールデン(ジョナサン・グロフ)は、増え始めた「理解不能な犯罪」の謎を解く鍵は「犯罪者の心理を知ること」だと感じていました。人質事件の交渉失敗を転機に、ホールデンは同じ考えを持つ古株捜査官ビル(ホルト・マッキャラニー)と共に全米のFBIを回り、全く認知されていない「犯罪心理学」の必要性を訴えていきます。
見どころ
主演は『glee/グリー(2009年)』のジェシー役で一躍有名になったイケメン俳優ジョナサン・グロフ。周囲の無理解・理不尽と戦う真面目な熱血漢を演じる彼の演技に注目です。アメリカの各地を旅するロードムービーの要素もあり、70年代の空気を満喫できます。歴史好き、未解決事件好きの人はぜひ観てほしい作品です。
ザ・ミスト【2017年】
ザ・ミスト公式Instagramアカウント(@themist)より
あらすじ
緑豊かな田舎町に住むアレックス・コープランド(ガス・バーニー)は、あまり目立たない普通の女子高生。親友のエイドリアン(ラッセル・ポズナー)と行ったパーティーでの事件でひどく傷つき、父ケビン(モーガン・スペクター)と母イヴ(アリッサ・サザーランド)も険悪になっています。そんな時、突如町を覆った謎の霧。霧の中の「何か」に襲われ死んでいく人々。離れ離れになってしまったコープランド家は再会のためにそれぞれ行動していきます。
見どころ
映画『ミスト(2008年)』と同じスティーブン・キングの小説『霧(1980年)』を原作としたドラマです。ちょっとグロテスクなシーンも多いので、ホラー要素が強めかもしれません。『PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット(2011年)』でヨゴロフを演じたセクシーなモーガン・スペクターが、優しい父親を演じています。異常事態でも深く繋がる家族の愛や友情に胸が熱くなります。
THE SINNER【2017年】
ジェシカ・ビール公式Instagramアカウント(@jessicabiel)より
あらすじ
夫と息子を持つ平凡な主婦コーラ・ベンダー(ジェシカ・ビール)。彼女は家族と訪れたビーチで突然、見ず知らずの青年を刺し殺してしまいます。本人にも殺した理由がわからないまま裁判は有罪として進み、誰もが彼女を非難。熱心に事件を担当する刑事ハリー・アンブローズ(ビル・プルマン)によって、次第に彼女の嘘や秘密が明らかになっていき、事件は思わぬ展開に…。
見どころ
私生活では夫で歌手のジャスティン・ティンバーレイクとラブラブのジェシカ・ビールが、謎の過去も持つ危うげな主人公を熱演。原作はドイツの大ヒット小説『記憶を埋める女(1999年)』。先の読めない展開にモヤモヤしますが、最終話を観ればきっと胸がスッとすること間違いなしです。
13の理由【2017】
あらすじ
同級生のハンナ・ベイカー(キャサリン・ラングフォード)が自殺した後、クレイ・ジェンセン(ディラン・ミネット)の元に、カセットテープと地図が入った箱が届きます。録音されていたのはハンナの声で、なぜ自分が今から自殺しようとしているのか、その理由が吹き込まれていました。聞いたら次の人に回すように指示されたテープは、すでに同級生中に回った様子。クレイは地図を片手に指示された場所を回りながら、ハンナの語る、友情や愛情がもろく崩れて行く様を聞いていきます。
見どころ
あのセレーナ・ゴメスが製作総指揮を務める本作。現代のティーンにありがちな悩みがリアルに描かれ、思わず共感したくなる作品です。主人公ハンナ・ベイカー役には全く無名のオーストラリア女優キャサリン・ラングフォードが起用されていて、彼女の今後の活躍にも期待大です。
THE OA【2016】
あらすじ
盲目だったプレーリー・ジョンソン(ブリット・マーリング)が失踪して7年、彼女はなぜか目が見えるようになって帰宅します。プレーリーは自分のことを「OA(オーエー)」と名乗り、ある計画のためにスティーヴ・ウィンチェル(パトリック・ギブソン)をはじめ、仲間を5人募集しました。5人は町のはずれにある空き家に集まり、毎晩OAの回想と奇跡の体験を聞くことになります。
見どころ
原作、製作総指揮は主役のブリット・マーリング。彼女は『ザ・イースト(2014年)』などでも脚本や監督を務める多彩な女性です。カルト的とも思えるエッジの効いた表現で、まさに奇跡を描こうとした野心的で刺激的な作品。一気見のために時間を確保することをお勧めします。
センス8【2015】
センス8公式Instagramアカウント(@sense8)より
あらすじ
ロンドン、インド、韓国、メキシコなど、世界中の様々な国に住む8人の男女。それぞれの生き方も立場も仕事も、何もかもまったく違うのに、ある日急に8人ともが、不思議な体験をするようになります。お互いがどこにいるかが見え、感応者として目覚めはじめるのです。感応者を狙う謎の組織から逃れるため、生き残りをかけて力を合わせていきます。
見どころ
監督は『マトリックス(1999)』のウォシャウスキー姉妹。韓国やインドなど、世界各地での撮影が話題となりましたが、残念ながら第2シーズンで打ち切りが決定。しかしこの6月、ファンの声に後押しされ2時間の最終回スペシャルが製作されると発表されました。未視聴の方は、2018年の最終回公開までにぜひ本編をチェックしてみてください。
ファーゴ【2014】
あらすじ
ミネソタにある雪深い小さな町で保険会社に勤務する、小心者のレスター・ナイガード(マーティン・フリーマン)は、毎日妻に嫌みを言われ、幼馴染からも未だにいじめられていました。病院でたまたま愚痴った相手ローン・マルヴォ(ビリー・ボブ・ソーントン)に「いじめっ子を殺してやる」と言われ、レスターは何の気なしに頼んでしまいます。しかしローンは実の殺し屋。本当に殺人事件が起きてしまうのです。
見どころ
なんと言っても痺れるほどダークなブラックユーモアが見どころ。パンチが効きすぎていて、笑っていいのか迷ってしまうほど。どこか憎めない冴えない登場人物たちの中に、お気に入りの1人が見つかるかもしれません。『SHERLOCK(2010)』で英国アカデミー賞助演男優賞を受賞したマーティン・フリーマンの、コメディアンとしての真髄を見ることができます。
THE BRIDGE/ブリッジ【2011】
あらすじ
スウェーデンとデンマークを繋ぐ橋の上で、女性の死体が発見されました。担当するのは両国の刑事、スウェーデンのサーガ・ノレーン(ソフィア・ヘリーン)とデンマークのマーティン・ローデ(キム・ポドゥニア)。個性的なサーガと、おおらかなマーティンの凸凹コンビは次第に信頼を築き、次々起こる難題に立ち向かっていきます。
見どころ
アメリカとメキシコでリメイクされた『ブリッジ~国境に潜む闇(2013年)』の本国版です。背景は常に北欧独特のどんよりとした曇り空。そしてオープニング曲(クワイアー・オブ・ヤング・ビリーヴァーズ「Hollow Talk」)がその風景にぴったりマッチしていてとても美しく、なんとも言えない物悲しい気持ちにさせてくれます。変人のサーガがだんだん可愛く見えてくる、ソフィア・ヘリーンの素晴らしい演技にも注目です。
刑事ジョン・ルーサー【2010】
あらすじ
優秀な刑事だけれども頭にきやすいジョン・ルーサー(イドリス・エルバ)は、連続殺人犯を過失から死なせてしまい休職。復帰後、老夫婦と飼い犬が殺され、第一発見者はその娘のアリス・モーガン(ルース・ウィルソン)という事件を担当します。すぐに犯人に気づいたジョンですが、確信はあってもどうしても証拠が出ません。それは犯人からの挑戦状だったのです。
見どころ
本作でゴールデン・グローブ賞にノミネートされたイドリス・エルバの力強い演技が見どころです。本国イギリスでは今年6月に第5シーズンが決定したと報じられる人気作品。元妻ゾーイ役のインディラ・ヴァルマはNetflixオリジナルドラマ『パラノイド(2016)』で主役の勇ましい刑事役を演じているので、そちらもお見逃しなく。
リバー【2015】
あらすじ
検挙率8割という優秀な刑事ジョン・リバー(ステラン・スカルスガルド)には、死者と会話できるという秘密があります。死んだ人間がしばらく自分のところにいて、まるで生きてるように会話できるのです。周囲から見れば、独り言を話す変人。唯一の理解者だった相棒のスティービー(ニコラ・ウォーカー)が殺された事件を追いかけながら、様々な事件を、死者と会話することで解決していきます。
見どころ
『マイティ・ソー(2009年)』から『アベンジャーズ』シリーズでエリック・セルヴィグ教授を演じたステラン・スカルスガルドが、渋い演技を見せています。社会とうまくいかない寂しげな背中は思わず支えてあげたくなります。幽霊たちの演出にはドキッとさせられるものの、ちょっとしたホラーとしての要素も楽しめます。
ブラックミラー【2011】
Netflix Japan公式YouTubeチャンネルより
あらすじ
イギリス首相のマイケルは困惑していた。夜中に叩き起こされた彼を待っていたのは国民の絶大な支持を得ているスザンナ妃の誘拐事件。マイケルは誘拐犯の要求に頭を抱える。なんと首相である自分に豚と性交渉をし、その様子を大々的にメディアで放送しろというのだ。一緒に送られてきたビデオにはスザンナ妃が間違いなく写されており、悪戯ではありません。マイケルは犯人は誰かと考えるが分からない。はたして彼が選んだ選択とは!?
見どころ
これから10年以内に起きそうな出来事をミステリータッチで描いたエピソードが魅力な本作。日本の作品で例えるなら世にも奇妙な物語が一番近いです。1話完結型の構成ですからサックリ見られるのも魅力です。それでも内容は濃く、60分を超える作品もありますから短編映画のような感覚で楽しめます。現在、シーズン5までリリースされているNetflixを代表する人気作でもあるので是非ご覧ください。
ダーク DARK【2017】
Netflix Japan公式YouTubeチャンネルより
あらすじ
ドイツの田舎町ヴィンデンで一人の男が自殺する。その息子ヨナスは大きく心を痛めたながらも、なんとか学校に通うのだった。そんなある日、ヨハスは友人と一緒に町はずれの森に出かけることになる。最近自殺した学生の隠していたドラッグが森の洞窟に置かれてているらしい。しかし奇妙な出来事が起こり、一緒に行ったミッケルが行方知れずに。そして翌日、森から体の一部を焼かれた子供の遺体が発見される。
見どころ
ドイツ産の尋常じゃない重苦しさがあるドラマ。海外で一二を争う映画批評サイトのRottentomatoで最高評価100%を獲得し、ネットでも大いに話題になりました。見どころは張り巡らされた伏線と、その回収になります。4家族の長い歴史が複雑に絡み合った物語は視聴者の大半が頭を悩ますほど難解。しかしそれが深い物語を生み出し、見ごたえのある作品に仕上がっています。
ザ・ソサエティ【2019】
Netflix Japan公式YouTubeチャンネルより
あらすじ
アメリカ・コネチカット州にある小さな町の住人は奇妙な悪臭に悩まされていました。ある日、業者に悪臭対策を行うので、その間子供たちはキャンプへ行くことになります。バスでキャンプ地に送られる子供たち。しかし着いた先はスタート地点の駐車場。周りはすっかり夜。子供を降ろしたバスは立ち去ります。自宅へ帰る子供たち。しかし町には自分たち以外誰もいません。それどころか隣町に続く道が途中で途切れて森になっています。混乱する子供たち。次第に不満が積もり、ついには殺人事件まで発生する。
見どころ
異世界モノくらい荒唐無稽な入り方をするストーリーですが、人間が極限状態の中で善意と悪意に揺れる様子が上手く描かれており中身の詰まった作品です。社会生活を満足に経験していない高校生たちが、管理する者も無く突然自活することを求められたらどうなるだろう?その答えのひとつが本作。若者が苦悩して答えを模索するドラマが好きな方なら、きっと楽しめます。
エイリアニスト【2018】
Netflix Japan公式YouTubeチャンネルより
あらすじ
街を少し路地に入れば貧困であふれていた1896年のニューヨーク市で殺人事件が起きます。被害者は娼館で働く少年。異常な殺され方で発見された遺体を見てニューヨーク市警は腕利きの精神科医ラズロ・クライスターに助けを求める。わずかなヒントから事件解決の糸口をつかもうとするラズロ。19世紀の最新テクノロジーとプロファイリングで犯人像を浮かび上がれせる。それで見えてきた犯人とは!?
見どころ
満足な街灯も無い19世紀の薄暗い街で起きる猟奇殺人を優れた頭脳を持つ主人公が解決する探偵モノが本作のベースです。魅力は19世紀の街並み。特に貧民街の夜の様子は雰囲気があります。ランプで照らしても室内の4隅まで明るくはなりません。暗がりから何かおぞましいものが顔出しそうな緊張感が画面から感じられます。そして指紋やプロファイリングなどの最新技術の活用法も見ものです。現代劇とは違った使われ方がされています。現代劇とは一味違う雰囲気の推理モノを楽しみたいなら是非お試しください。
最後に
途中で観るのをやめたくなるような重いテーマの作品も多いですが、最後まで観ると人間らしい正義や愛を感じることができる、骨太な海外ミステリードラマを14本選んでみました。
興味がある方は、ぜひ年末に視聴してみることをオススメします!
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