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『スター・ウォーズ』や『ブレードランナー』など、今SF映画が熱い!

2017年12月15日(金)に全国公開される『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』。公開を楽しみにしている人も多いのではないでしょうか? 

2017年はこの作品だけではなく『ブレードランナー2049』、『メッセージ』などSF映画の当たり年。近年SF映画が盛り上がっている背景を考察したいと思います。

ファンタジーとSFが交差する『スター・ウォーズ』シリーズ

スター・ウォーズ映画公式Instagramアカウント(@starwarsmovies)より

「遥か昔。遥か彼方の銀河系で…」という語りからはじまる『スター・ウォーズ』シリーズは、ライトセーバーと呼ばれる光の剣によるアクションや、様々な惑星を移動しながら大きなスケールで家族の物語が語られていることが特徴です。

このシリーズは最新映像技術によるSF的世界観でファンを驚かせながら、中世の騎士物語や日本の侍文化などをもとにしたファンタジー的な魅力があります。特に"フォース"と呼ばれる超常的な力は、人間が持つ精神性と関わる"奇跡"のような力で、宗教的ですらあります。

この"フォース"の善い面と暗黒面を巡る物語はそのまま人間の成長の物語としても魅力。人間の精神性に深く踏みこんだSFとして、『スター・ウォーズ』シリーズは世界中で熱狂的なファンを獲得しているのかもしれません。

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は前作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒(2015年)』の続編。旧3部作でジェダイマスターになった主人公ルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)が、続3部作の新たなヒロインであるレイ(デイジー・リドリー)とどう関わるのかとても楽しみですね。



『メッセージ』、『ブレードランナー2049』に見るSF映画

2017年はドゥニ・ヴィルヌーヴが監督した『メッセージ』や『ブレードランナー2049』が映画ファンの間で話題になりました。

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メッセージ映画公式Instagramアカウント(@arrivalmovie)より

『メッセージ』ではテッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」を大胆に翻案し、突如あらわれた異星人との言語学的な交流を映像化するという試みに驚かされました。

また『スター・ウォーズ』とは違った観点を持つ新しいSF映画の金字塔、『ブレードランナー(1982年)』の続編『ブレードランナー2049』も今年2017年の公開でした。リドリー・スコット監督が生み出した独自の未来像を、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が大きくヴァージョンアップした新しい映像表現が、作品を観る者を驚かせます。

両作に共通するのは、新しい映像表現で観客を驚かせながら、「人間とは何か?」、「人間はどこへ向かうのか?」という本質的な問題に対して踏みこんでいることです。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は、『メッセージ』で言語というものを大きなテーマとして扱いました。そして『ブレードランナー2049』では、"レプリカント"と呼ばれる、大企業によって作られたアンドロイドたちの物語を通じて、社会の問題を鋭く描き出しています。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は虚構を通じて人間を深く描いていると言えるでしょう。『インターステラー(2014年)』、『インセプション(2010年)』で映画界の巨匠になった、クリストファー・ノーラン監督のヴィジョンに並び斬新な映像センスの持ち主です。

進化し続ける映像と物語のマジック

ブレードランナー 2049映画公式Instagramアカウント(@arrivalmovie)より

前述のとおり、近年のSFは技術的な部分だけではなく、人間の精神性に踏みこみ新しい物語を提示しています。

例えば『メッセージ』で描かれた、異星人との未知なる言語による会話シーンでの表現手法は感嘆に値します。また『ブレードランナー2049』のAIホログラムのジョイ(アナ・デ・アルマス)の表現や、レプリカント用の記憶作家・アナ・ステライン博士(カーラ・ジュリ)の研究室でのシーンは、これまでの映画で観たことがない革新的なものです。

こうした手法から、「AIがどこまで人間に近づくか?」、「人はどこまでヴィジョンを生み出し続けることができるのか?」 といったテーマが作品から垣間見えます。

また近年のSF映画では『インセプション』の夢の世界の表現や、『インターステラー』で描かれた異次元世界の表現など、21世紀における映像の革新を感じられるシーンがたくさん生まれています。

他にも子どもたちへのメッセージ色が強い『トゥモローランド(2015年)』では、斬新なユートピア的世界が描かれています。『エクス・マキナ(2015年)』は、女性型AI・エヴァ(アリシア・ヴィキャンデル)が人間という生物と同然のものとなったというAIの超越性を描いています。

これらの映像は、技術的な面が優れているというだけではなく、人間というものを巡る哲学や精神性など、「人間とは何か?」という問題を鋭く語りかける新たな物語性を獲得していることが特徴です。

映画は昔から魔法のように新しい映像を生み出してきました。今、SF映画が魅力的なのは深い精神性が描かれる作品が増えていることに理由があるのかもしれません。

最後に

今、SF映画に求められている表現は、驚きだけではなく、「これから何十年、何百年という先に何が起きるのか?」という新しいヴィジョン。クリストファー・ノーラン監督やドゥニ・ヴィルヌーヴという監督のSF映画に、現実を超えた新しいヴィジヨナリーの才能を感じるのは筆者だけでしょうか?

映画や小説、漫画はフィクションです。でも想像の世界だからこそ先に未来を提示することができます。今ある現実とは別の可能性が映画の中にあります。SFの中にある新しい構想から未来を考える。テクノロジーが発展している現代だからこそ、先見的なヴィジョンと人間に迫る深い精神性が強く求められているのかもしれませんね。