また、作画はもちろん声優にもこだわっていて、「声優が選ぶ声優第1位」にも選ばれた山寺浩一、木村拓哉など著名な実力派から、場合によっては声優初挑戦の方まで、アプローチによって絶妙な人選を行うのも魅力と言えます。
今回は、そんな作り込まれたストーリーと配役で多くの世代から親しまれる宮崎駿作品のアニメ作品をまとめました。
目次
天空の城ラピュタ【1986年】
あらすじ
19世紀後半、産業革命期のヨーロッパ。母から受け継いだ青い石を理由に、少女シータ(横沢啓子)は政府の特務機関に捕らえられます。同じ狙いを持つ海賊ドーラ一家の飛行船襲撃により、シータは飛行船から落下。そのとき、青い石は光を放って少女をゆっくりと地上に降ろすのでした。その光景を地上から見ていた少年パズー(田中真弓)は、シータを守るため、やがてドーラ一家と組んで特務機関に立ち向かうことになります。
見どころ
巨大な計略に巻き込まれた少女を救うために少年が勇気を振り絞る、痛快な冒険活劇です。敵対する特務機関に所属するムスカ大佐(寺田農)が世界を思いのままに操ろうとする姿など、人間の卑賎な欲望がむき出しで描かれている点は、ジブリ映画においては異色と言えるかもしれません。勧善懲悪のしっかりした構成になっており、すっきりとした後味も人気の理由と言えるでしょう。
となりのトトロ【1988年】
あらすじ
昭和30年代前半、空気の綺麗な田舎に越してきた姉妹のサツキ(日髙のり子)とメイ(坂本千夏)は、森の中で不思議な生き物トトロ(高木均)と出会います。子どもの時にしか会えないらしいトトロは、2人にたくさんの驚きと感動を与えてくれました。ある日、体の弱いお母さんが体調を崩したと聞き、メイはお母さんが入院している病院に独りで向かうのですが…。
見どころ
豊かな自然や家族のように接してくれる人々、可愛らしいトトロに癒される、家族愛・人間愛に溢れた作品です。古い一軒家に引っ越して胸の高鳴りが抑えられない姉妹の姿には、子どもの頃の懐かしい思い出を刺激され、観ているだけで笑顔になってしまいます。草壁家に住む「まっくろくろすけ」やトトロの相棒的存在「ネコバス(龍田直樹)」など、不思議なキャラクターたちの活躍にも注目です。
魔女の宅急便【1989年】
あらすじ
魔法の力をもつキキ(浜辺美波)は、13歳で独り立ちする魔女のしきたりを守って黒猫の相棒ジジ(佐久間レイ)とともに海が綺麗な街コリコを訪れます。大都会の雰囲気に戸惑いながらも「空を飛ぶしか能がない」と魔女の宅急便として働き始めたキキ。仕事を通じて様々な人と交流していく中、飛行クラブに所属し人力飛行機の製作を夢見る地元の少年トンボ(梶裕貴)と出会うのでした。
見どころ
魔法という個性で人を笑顔にし、出会いの中で成長していくキキの姿を応援したくなる人間ドラマです。見慣れない土地とよそよそしい人々に囲まれて右も左も分からない中で、得意分野を生かして一から人間関係を築いていく姿は、学業や仕事などで家を離れる若者に勇気を与えてくれるでしょう。新生活を始める人に是非おすすめしたい作品です。
紅の豚【1992】
あらすじ
第一次世界大戦でエースパイロットとして活躍したポルコロッソ(森山周一郎)はそれ以降、軍隊や人が嫌いになり、自分に魔法をかけて豚の姿に変身してしまいます。そうしてイタリアのアドリア海で空中海賊退治に明け暮れていたポルコでしたが、彼は飛行艇乗りとして戦いながら、幼なじみで「アドリア海のマドンナ」の異名を持つマダムジーナ(加藤登紀子)に心を寄せていました。
見どころ
見た目は醜い豚であっても、少し不器用な性格を持て余しながら勇敢に戦う主人公には魅了されること間違いなしです。空賊に撃墜された愛艇の修理を、工房の孫娘で17歳の少女フィオ(岡村明美)に任せてからのやり取りにも、ポルコのハードボイルドな男らしさが表れています。恋敵カーチス(大塚明夫)との戦いで見せる泥臭さも含め、男の憧れるカッコよさが詰め込まれた教本のような作品です。
もののけ姫【1997年】
あらすじ
時は室町時代。蝦夷(えみし)の村を襲ったタタリ神によって呪いをかけられたアシタカ(松田洋治)は、呪いを解くために旅に出ることとなります。その道中でタタラ場という巨大な製鉄所に辿り着いた彼は、シシ神の森と人間との因縁について聞き、それが自身の運命と無関係ではないことを知るのでした。ある夜、大きな狼モロ(美輪明宏)によって育てられた「もののけ姫」ことサン(石田ゆり子)が村の統治者エボシ(田中裕子)を襲います。
見どころ
自然と人間の共存、タタラ場に見られる女権の大きさや皮膚病患者など、内包するテーマが多い作品です。村の子どもたちを守るために呪いを受け、森の住人と人間に対して中立であろうとし、真実を自分の目で確かめていくアシタカの姿に、「人が正しく生きる術」を学ぶことができます。アシタカと行動する大カモシカのヤックルも、賢くて可愛く魅力的なキャラクターです。
千と千尋の神隠し【2001年】
あらすじ
小学4年生の千尋(柊瑠美)たち家族は引っ越し先に車で移動中、山道に迷い込みます。突如目の前に現れたトンネルを抜けると、そこには草原が広がっていました。両親は見知らぬ土地で美味しい料理をたらふく食べ、千尋は町を歩き、そして両親の元もとへ戻ってくると、2人は大きな豚になっていて…。
見どころ
八百万の神々が住む世界で千尋が様々な存在に出会い、人生の複雑さを学んでいく成長の物語です。日本映画の興行収入ランキングは堂々の1位で、現在も破られていません。運命の出会いを果たした少年ハクの存在(入野自由)を始めとして、カオナシ(中村彰男)やボイラー室担当の釜爺(菅原文太)などサブキャラも魅力的。性格もビジュアルも個性的なキャラクターたちに囲まれ、不気味だった世界がいつの間にか親しみある場所に変わっていく不思議な冒険をお楽しみいただけます。
ハウルの動く城【2004年】
あらすじ
荒地の魔女(美輪明宏)によって90歳のお婆ちゃんに変えられたソフィー(倍賞千恵子)。家を出てあてもない旅に出た矢先、ハウルの動く城に遭遇し、なんとか乗り込みます。魔女によって心臓を狙われているハウル(木村拓哉)は紳士のような出で立ちでしたが、実は臆病者であり、必死に魔女から逃げていました。ソフィーはやがて、そんなハウルと心を通わせていきます。
見どころ
ファンタジックな世界観の裏で凄惨な戦争が続いており、シビアな命のやり取りと魔法とが混在した不思議な作風が見どころです。魔女やカルシファーとのやり取りで、本来は可憐な少女であるはずのソフィーが見た目通りの豪快なおばさん気質を発揮している点なども面白く観られます。ハウルの弟子である少年マルクルの声優として、『千と千尋の神隠し』で坊役を務めた神木隆之介が出演している所にも注目です。
風立ちぬ【2013年】
あらすじ
関東大震災や太平洋戦争で混乱期の日本。小さな頃からの憧れだった飛行機の設計に人生をかける堀越二郎(庵野秀明)は、菜穂子(瀧本美織)と出会います。軽井沢の地で運命的な再会を果たし2人は結婚するものの、菜穂子は当時「死の病」と呼ばれた結核に侵されていました。2人は束の間でも一緒に過ごすことを選択しますが、無情にも結核は悪化していき…。
見どころ
戦争に使われる運命を背負った美しい戦闘機、そして菜穂子の存在。かけがえのないものと抗えない現実に、涙なしでは見られない作品です。愛し合っていながら、病気によって毎日会えるわけではない2人の関係は、家族で過ごす時間の大切さも教えてくれます。最後に残るのは切なさだけでなく、「このままではいけない」と一念発起して物事に取り組むための力もくれる映画です。
番外編:風の谷のナウシカ【1984年】
あらすじ
巨神兵による「火の7日間」で、自然も文明も壊滅されてから千年。有毒な瘴気を吐き出す菌類の森「腐海」と「蟲類(オウム)」は、生き残った人々の生活を脅かしていました。しかしトルメキア王国に従属する、腐海のほとりにある「風の谷」だけは、海風で瘴気から守られています。そこに住む族長ジルの娘ナウシカ(島本須美)は、巨大な蟲と心をかよわせる不思議な力を持っていました。
見どころ
ジブリの代表作としてのイメージが強い本作ですが、実はスタジオジブリの前身となったトップクラフトが制作し、宮﨑駿が監督した作品。1人乗り飛行具「メーヴェ」を自在に操り、身をていして巨大な王蟲の群れを止めようとするアクションは必見!ナウシカにしか出来ないやり方で王蟲と向き合う姿に、自然との調和や生物との共存についても考えさせられる奥深いSFファンタジー作品です。
最後に
宮崎駿監督のアニメ作品には感情を揺さぶる力があります。また、物語は複雑にできていて、2度目3度目と観る度に新しい発見ができるのも人気の理由でしょう。周りの人とのお話のきっかけにもおすすめです。まだご覧になっていない作品を見つけた方は、ぜひチェックしてみてください。
スポンサーリンク