今回は、あまり知られていない『それでも、生きてゆく』から、世界で絶賛された国民的ドラマ『おしん』まで、時代を問わず心にじんわり響いてくるおすすめの国内ヒューマンドラマ10選をご紹介します。
目次
それでも、生きてゆく【2011年】
あらすじ
15年前に起きた幼女殺人事件は、当時未成年だった三崎文哉(風間俊介)が犯人として逮捕されました。長い年月を経ても被害者家族は事件を忘れられず、加害者家族も世間からの冷たい風当たりと嫌がらせによって事件を忘れさせてもらえません。文哉の妹・三崎双葉(満島ひかり)は状況を打破すべく身元を隠して被害者家族に会いますが、名前を変えて出所していた兄の状況を知り、被害者家族とともに兄を探すことを決めます。
見どころ
決して軽いテイストのドラマではなく、メインキャストである被害者家族・加害者家族全員がもがき苦しんでいます。人気脚本家・坂元裕二の野心作であり、ギャラクシー賞などを多数受賞しています。閉塞感漂うストーリーだからこそ、若い男女特有のぎこちなさや時折吹き出してしまうようなユーモアが光っており、瑛太、満島ひかり、大竹しのぶ、柄本明など実力派俳優が感情をぶつけ合う演技は必見です。
大地の子【1995年】
あらすじ
陸一心(川上達也)は第2次世界大戦で日本が敗れると満州で中国人に引き取られ、残留孤児として養父母に育てられます。中国人として生きようとする一心ですが時代は許してくれず、差別を受け無実の罪で囚人になってしまいます。7年目にして釈放されますが、日本で行方を探していた実の父・松本耕次(仲代達矢)が製鉄所所長として上海に派遣され運命的な再会を果たすと、2人の父の存在に一心の心は揺れていきます。
見どころ
NHKが終戦50周年・放送70周年記念番組として制作した日中共同作品。今は亡き社会派作家・山崎豊子による同名小説が原作です。中国と日本の間でアイデンティティーを揺さぶられる一心は、激動の時代も後押しし波乱万丈な運命へと追い込まれていきます。感謝してもしきれない養父に対し、恨みすら覚えている実父。国をまたいだ葛藤を乗り越え希望を見出そうとする一心の姿に胸がいっぱいになります。日本人も中国人も懸命になって生きていた戦後の荒波を、戦争を知らない世代へと引き継いでゆく名作です。
北の国から【1981~2002年】
あらすじ
黒板五郎(田中邦衛)は東京で質素ながらも幸せな家庭を築いていました。しかし妻の不倫をきっかけに、五郎は息子の純(吉岡秀隆)と娘の蛍(中嶋朋子)を連れて生まれ故郷である北海道富良野へ帰郷します。田舎の暮らしを嫌がる子ども2人を尻目に、五郎は貯金がないことから電気・水道・ガスのない廃屋で生活していくことを一方的に宣言。一家は大自然の中で奮闘していきます。
見どころ
第1回放送から完結までの21年間、連続ドラマの24話の他にスペシャル版12話が作られた長寿ドラマ。物欲に翻弄されがちな現代社会の中で、お金より大切なものがあると訴えかけてくる傑作です。原作・脚本は業界の重鎮・倉本聰によるもの。俳優陣の自然ながらも熱い演技は見応えがあり、富良野の映像風景も秀逸な仕上がりとなっています。吉岡秀隆、中嶋朋子の子役時代も見逃せません。
永遠の仔【2000年】
あらすじ
親の虐待を受けながら幼年期を過ごした久坂優希(中谷美紀/邑野未亜)、長瀬笙一郎(渡部篤郎/勝地涼)、有沢梁平(椎名桔平/浅利陽介)は、養護施設に預けられたことで精神病棟で出会い一緒に育ちます。親友となった3人は秘密を共有しながら懸命に社会へ溶け込もうとし、優希は看護師、笙一郎は弁護士、梁平は刑事になって再会を果たします。やがて、癒えない心の傷を抱えながら生きている彼らに新たな事件が降りかかり、過去の秘密が暴かれていくのでした。
見どころ
人気作家・天童荒太の代表作である同名小説が原作。現代社会における親子関係の暗い部分や精神疾患にスポットを当てた傑作です。父から性的虐待を受けていた優希、母親が男を連れ込むたびに押入れに閉じ込められる生活を送っていた笙一郎、母から煙草を体中に押し付けられていた梁平。成人しても障害を引きずるほどのヘビーな役柄を熱演する俳優たちに注目です。
ふぞろいの林檎たち【1983~1997年】
あらすじ
とある四流大学に通う、仲手川良雄(中井貴一)、岩田健一(時任三郎)、西寺実(柳沢慎吾)の3人は親友で、学歴の低さに劣等感を抱きながら暗い日々を送っていました。恋愛、就活、人間関係、どれも上手くいかないなか、似た悩みを持った看護学生の水野陽子(手塚理美)と宮本晴江(石原真理子)が現れ3人を一蹴。彼らはそれを機に、前向きな人生を歩もうと少しずつ成長していきます。
見どころ
山田太一が原作と脚本を務めており、人気を博したことで第4部まで続きました。今やベテラン俳優となった中井貴一を中心として、有名俳優陣の若かりしころの演技にぜひご注目下さい。デビュー5年目のサザンオールスターズが歌う主題歌『いとしのエリー』も実に作風にマッチしています。落ちこぼれたちの甘酸っぱく悩み多き青春物語は、学歴社会に疲れた多くの現代人をノスタルジックな気分に浸らせてくれるはずです。
白い巨塔【2003~2004年】
あらすじ
浪速大学病院に勤務する財前五郎(唐沢寿明)と里見脩二(江口洋介)。財前は癌手術を得意とし、次期教授を狙う野心家の外科助教授。一方の里見は出世に興味がなく患者第一主義で研究好きな内科助教授。2人は同窓で何でも言い合える間柄でしたが、大学内で出世レースが激化する中で財前が医療ミスにより遺族から告訴され、里見は正義感から遺族側に寄り添うことを決め病院側と争うことになります。
見どころ
原作の同名小説は作家・山崎豊子の代表作で、本作は4度目のテレビドラマ化。大学病院の知られざる隠蔽体質、出世欲に狂ったエリートたちのエゴ、生命の尊厳など幅広いテーマが重厚に語られていく人間ドラマです。財前と里見は正反対の性格ですがお互いを認め合う友人でもあり、奇妙な友人関係の進展に引き込まれていきます。
家なき子【1994~1995年】
あらすじ
小学生の相沢すず(安達祐実)は酒乱の義父・悟志(内藤剛志)から暴力を受ける生活を送っています。実母は重病で入院中、相談する人もなく全て自分で解決するしかありません。愛する母に手術が必要なことを知ったすずは、費用を捻出するため犯罪に手を染め、困難な状況を脱出するためにできることは全てやっていきます。
見どころ
小学生の台詞としては衝撃的な「同情するなら金をくれ!」がその年の流行語大賞に選ばれるなど、一大ブームを巻き起こしています。第1回ザテレビジョンドラマアカデミー賞を受賞し、その後も勢いは止まらず続編ドラマや映画が作られました。義父の暴力や貧富の格差など、今なおニュースで取り上げられる普遍的なテーマを扱っています。当時12歳だった安達祐実の出世作としても有名です。
ひとつ屋根の下【1993~1997年】
あらすじ
足の故障で実業団マラソンを辞めた6人兄弟の長男・柏木達也(江口洋介)は、7年前に両親を亡くし弟妹5人は親戚に預けられたため生き別れになっていました。達也は自身の結婚を報告するため弟妹を探し訪ねますが、冷たい反応にショックを受けます。しかし半身不随・自閉症になって施設にいた四男を引き取り一緒に生活を始めると、他の家族たちも達也を少しずつ認め始めます。家族は次々に降りかかる困難を、力を合わせて乗り越えていくのでした。
見どころ
脚本はヒットメーカーとして知られる野島伸司。ザテレビジョンドラマアカデミー賞を受賞したほか、達也の決めセリフ「そこに愛はあるのかい?」が大流行し、最終話の最高視聴率は37.8%を記録しています。家族崩壊からの再生、兄弟愛、ひたむきさを忘れずに生きる若者たちの力強さに涙を誘われます。ロン毛の江口洋介を中心に、福山雅治、山本耕史、いしだ壱成、酒井法子など、今なおテレビを賑わす俳優陣の若かりしころの姿も楽しめます。
3年B組金八先生【1979~2011年】
あらすじ
東京都区立桜中学に勤める坂本金八(武田鉄矢)は、国語教師で3年B組の担任。クラスには優等生から不良まで様々なタイプが集まっています。山田麗子(三原じゅん子)による同級生リンチ、いじめ問題など、多感な生徒が起こす様々な問題。金八先生はそのすべてを体当たりの指導で解決に導き、生徒とともに成長を重ねながら卒業式を迎えます。
見どころ
日本民間放送連盟賞など複数の賞を受賞した傑作ドラマです。女子中学生の妊娠や出産、不登校、親子の絶縁など当時としては過激な題材を扱い、学園ドラマの金字塔を打ち建てました。「人という字は…」の名台詞に始まり、金八先生の幾つもの熱い説教は今なお衰えず、人の心を動かす力を持っています。第1シリーズから最終シリーズまでの32年間、ジャニーズ系アイドルなどもこぞって出演し、キャスティングでも話題を集め続けました。
おしん【1983~1984年】
あらすじ
明治時代、主人公のおしん(小林綾子)は山形の貧しい小作農家、6人兄弟の三女として生まれます。食事もままならない貧乏9人家族で、おしんは進学を楽しみにしていたところ子守奉公に出されてしまいます。厳しい現実の中、関東大震災や大戦の煽りを受けながらも奉公先で商売のノウハウを覚え、彼女は恋愛や兄弟の死なども経験し、激動の時代を生き抜いていくのでした。
見どころ
世界65カ国以上で放送されている国民的ドラマ。最高視聴率の62.9%は、テレビドラマ史上最高記録です。原作と脚本は女流脚本家の重鎮である橋田壽賀子。小林綾子後のおしん役は、田中裕子(16~45歳)、乙羽信子(50~83歳)といった実力派が演じています。どんな厳しい状況でも耐え忍び、懸命に生きるおしんの姿には、きっと心を揺さぶられることでしょう。
最後に
今回は感動を届けてくれる国内ヒューマンドラマ10選をご紹介しました。中でも認知度の低い『それでも、生きてゆく』は、俳優陣の緊張感みなぎる演技とシナリオの重厚感に驚かされることでしょう。ドラマを観て感情を動かせば、ストレス解消にもなりますし、うまくいかずに悩んでいた問題も進展するかもしれません。ご覧になったことのない作品があった方は、ぜひチェックしてみて下さい。
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