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伝説のラッパー・2PACの生き様!『オール・アイズ・オン・ミー』試写会レビュー

音楽界だけでなくアメリカ全土に影響を与えたラッパー2PACの生き様を描いた、ファン待望の映画『オール・アイズ・オン・ミー』がついに12月29日(金)に公開されます。ニューヨークのスラム街に生まれ育ち、1996年9月にラスベガスで銃撃され謎の死を遂げるまで、常に危険と隣り合わせだった2PAC。ゴシップに包まれた伝説のラッパー、その知られざる真実とは…?

『オール・アイズ・オン・ミー』作品概要

「2PAC」とは?

25歳の若さでこの世を去った、通称ヒップホップ界のレジェンド。アルバム『ミー・アゲインスト・ザ・ワールド』、『オール・アイズ・オン・ミー』とミリオンセールを連発し、米メディアGeniusによると、2006年にMTVが発表した「偉大なヒップホップMCランキング」ではジェイZに次いで2位にランクインしています。数々の名曲を残し、エミネム、スヌープ・ドッグ、ドクター・ドレーなどの著名なアーティストを含め、世界中にファンを獲得しました。死後20年以上経った今も、誕生日や命日には彼に向けての投稿が相次ぎ、彼の逝去を悔やむ声も多く、また、その不可解な死の真相について長年議論されています。

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(c)2017 Morgan Creek Productions, Inc.

あらすじ

25歳の若さでこの世を去った、音楽界のレジェンド「2PAC」真実の物語
ニューヨークのスラムで生まれ育ったトゥパック・シャクール。ブラック・パンサー党員の母に連れられ住まいを転々としていた彼は、17歳の時カリフォルニアに移り住みました。ラッパーとなる夢を追い続け、2PACの名でソロデビューした彼ですが、ある日スタジオで強盗に襲われ被弾。一命を取り留めるも、この事件を仕組んだのはショーン“パフィ”コムズとノトーリアスB.I.G.だと思い込み、ヒップホップ界史上最悪の東西抗争が幕を開けてしまいます。そして遂に、ラスベガスで銃撃され25歳の若さで人生の幕を閉じることとなるのでした…。



『オール・アイズ・オン・ミー』作品レビュー

一昨年、同タイトルロゴのパロディTシャツやキャップが多数のショップで販売され、即完売するなど、音楽業界やファッション業界で話題をさらった『ストレイト・アウタ・コンプトン(2015年)』。『オール・アイズ・オン・ミー』はその2017年版との呼び声も高く、2PACの知られざる生涯が綴られています。

Demetrius Shipp Jr., Jamal Woolard and Cory Hardrict star in ALL EYEZ ON ME Photo: Quantrell Colbert
(c)2017 Morgan Creek Productions, Inc.

主役の2PACを演じるのは、「2PACにそっくり!」とネットでも話題のディミートリアス・シップ・ジュニア。元フィットネストレーナーの経歴を持ち、オーディションで4000人の中から選抜されました。本作の製作プロデューサーを務めるL.T.ハットンの話では、アシスタントに突然「どうお伝えしたら良いか分からないのですが、2PACがロビーに居ます」と告げられたのだとか。冗談だと思いつつ半信半疑でロビーまで足を運び、ディミートリアスを見てやはり本物の2PACだと思ってしまったそうです。

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(c)2017 Morgan Creek Productions, Inc.

容姿の酷似だけではなく、役作りのために2PACの音楽を聴き、ミュージックビデオやインタビュー映像、2PACの読んだ本まで熟読し、2PAC漬けの生活を送っていたというディミートリアス。2PACの喋りをコピーした自身の声を録音して確認し、トレーナーの元で演技指導やボイストレーニングを積んだそうです。数々の努力が結晶したとも言える2PACとしての演技は、全く違和感なく見ることができます。

AEOM23_411.tif (c)2017 Morgan Creek Productions, Inc.

そして「偉大なヒップホップMCランキング」で2PACに次いで3位にランクインした、2PACの抗争相手「ビギー」ことノトーリアスB.I.G.役には、ジャマール・ウーラードが抜擢されています。2009年に公開された、ビギーの生涯を描いた映画『ノトーリアスB.I.G.(2009年)』でもビギー役を演じ、体重を20kgも増やして挑んだことで話題となりましたが、今回も圧倒的な存在感を放っています。

Jamal Woolard stars in ALL EYEZ ON ME Photo: Quantrell Colbert
(c)2017 Morgan Creek Productions, Inc.

さらに黒人民族主義運動・黒人解放闘争を行っていた政治組織「ブラックパンサー党」に所属している2PACの母アフェニ・シャクールを務めるのは、米ドラマ『ウォーキング・デッド』のミショーン役としても知られるダナイ・グリラ。他にも、彼のマネージャーとなるレイラ・スタインバーグ役を同ドラマのマギー役でお馴染みのローレン・コーハンが演じています。

Danai Gurira stars in ALL EYEZ ON ME Photo: Quantrell Colbert
(c)2017 Morgan Creek Productions, Inc.

キャストも豪華ですが、本作を語るにあたって外せないのは、なんといっても2PACの名曲の数々。1995年にリリースされた『California Love feat. Dr.Dre』や『Dear Mama』を始め、ヒップホップ好き、中でもギャングスタ・ラップ(ハーレム等の黒人街を中心に、1980年代中盤に誕生したジャンル)好きな方にはたまらない名曲がたくさん使用されています。あまりの名曲の数々に、映画館にいるのも忘れて体が揺れそうになるほど!

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(c)2017 Morgan Creek Productions, Inc.

ニューヨーク生まれでありながら、17歳の頃にカリフォルニアに移住し、西海岸を代表するラッパーとなった2PAC。銃撃事件によって、かつての友人であり東海岸を代表するラッパーのビギーと対立し、史上最悪と言われる「ヒップホップ東西抗争」を巻き起こしてしまいます。ヒップホップには地元にリスペクトを送る風潮がありますが、デビュー当時「MCニューヨーク」の名で活動していた2PACは、奇しくも生まれ育った故郷と対立することになるのです。

Dominic L. Santana and Demetrius Shipp Jr. star in ALL EYEZ ON ME Photo: Quantrell Colbert
(c)2017 Morgan Creek Productions, Inc.

女性に捧げるロマンティックな歌詞から、ストリートにはびこるドラッグや貧困に言及したもの、ギャングの抗争によって亡くなっていった仲間たちに捧げる曲まで、リアルな歌詞に定評がある2PAC。本作にはその生き様が詰め込まれており、2PACを知らない方でも彼の世界に惹き込まれてしまうこと間違いなしです。ヒップホップの歴史を知りたい方であれば一度は目を通すべき作品と言えるでしょう。

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ニューヨークのハーレム125丁目(筆者撮影)

筆者も音楽活動の傍ら、2PACが幼少期を過ごしたニューヨークのハーレムには何度も滞在した経験があります。現在はいくらか治安が良くなっていますが、10数年前、初めて訪れた当時はサイレンが朝まで鳴り響き、刺傷事件や発砲事件、路上のホームレス、無職のドラッグ・アルコール中毒者などがはびこっていました。2PACが生まれた70年代のハーレムは、さらに過激だったと言われています…。

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ニューヨークのハーレム125丁目(筆者撮影)

一部で今もなお残る、根深い人種差別や格差問題などがリアルに描かれた映画『オール・アイズ・オン・ミー』。2PACやヒップホップのことにフォーカスされてはいるものの、一歩踏み込んで社会問題を考えるきっかけをくれる映画でもあります。普段ヒップホップや黒人映画に関心が薄いという方も、一見の価値ありです!

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ニューヨークのハーレム125丁目(筆者撮影)

予告編動画


ALL EYEZ ON ME YouTubeチャンネルより

■【スタッフ】
監督:ベニー・ブーム

■【キャスト】
ディミートリアス・シップ・ジュニア(2PAC役)
ジャマール・ウーラード(ノトーリアスB.I.G.役)
ダナイ・グリラ(アフェニ・シャクール役)
カット・グレアム(ジェイダ・ピンケット=スミス役)
ドミニク・サンタナ(シュグ・ナイト役)
ハロルド・ハウス・ムーア(ドクター・ドレー役)

2017 / アメリカ / 139分
原題:ALL EYEZ ON ME
提供:パルコ / ユニバーサルミュージック / REGENTS / ビーズインターナショナル
配給:パルコ / REGENTS
宣伝:ビーズインターナショナル / REGENTS

協力:ユニバーサルミュージック

映画『オール・アイズ・オン・ミー』は12月29日(金)より、新宿バルト9ほかにて全国ロードショー!公式サイトはこちら