『彼女が目覚めるその日まで』作品概要
若くして突然原因不明の病に見舞われた、ニューヨーク・ポスト紙の記者スザンナ・キャハラン。そんな彼女の衝撃の実話を映画化した『彼女が目覚めるその日まで』が12月16日(土)に公開されます。本作は壮絶な体験を綴ったノンフィクション小説『脳に棲む魔物』を、クロエ・グレース・モレッツ主演、シャーリーズ・セロン製作総指揮で映画化したもので、第41回トロント国際映画祭にも出品されています。後に「抗NMDA受容体脳炎」と特定されたこの病は、映画『エクソシスト』に着想を与えた臨床像だとも言われています。
(c)2016 ON FIRE PRODUCTIONS INC.
あらすじ
憧れのニューヨーク・ポスト紙で働く21歳のスザンナ・キャハランは、一面を飾る記者になる夢へと突き進んでいた。付き合い始めたばかりのミュージシャンの恋人スティーヴンを両親に紹介し、仕事も恋も順調だ。ところが、“それ”は突然やって来た。物忘れがひどくなり、トップ記事になるはずの大切な取材で、大失態を犯してしまう。幻覚や幻聴に悩まされて眠れず、遂には全身が痙攣する激しい発作を起こして入院するが、検査結果は「異状なし」。日に日に混乱し、会話も出来なくなったスザンナを見て、精神科への転院をすすめる医師たち。だが、両親とスティーヴンは、スザンナの瞳の奥の叫びを感じていた―。
『彼女が目覚めるその日まで』試写会レビュー
本作はニューヨーク・タイムズのベストセラーノンフィクションに輝いた、スザンナ・キャハランの著書『脳に棲む魔物』が原作。憧れのニューヨーク・ポスト紙で記者として働き、付き合い始めたばかりの恋人のスティーヴンに支えられ、充実した日々を送っているスザンナでしたが、ある日突然、原因不明の症状に見舞われてしまいます。
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物忘れ、目眩、手足の麻痺、幻聴や幻覚、急な躁状態で大声をあげたかと思えば、被害妄想で周囲を罵倒するなど、不可解な言動や行動が増え、両親も頭を抱える毎日。更に、念願の就職先でせっかく舞い込んできた大きな仕事でも大失態を犯してしまい、会社の上司や同僚からの信用も失ってしまいます。
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全身が痙攣する酷い発作を起こし、入院を余儀なくされたスザンナですが、精密検査を繰り返しても異常なしとの診断。医師たちは「てんかん」や「アルコール依存症」の可能性を告げ、半ばさじを投げますが、両親やスティーヴンは真実が明かされるまで決して諦めません。しかし、それぞれの願いも虚しく、スザンナは錯乱状態から日に日に衰弱し、唇も麻痺してやがて会話できない状態となってしまいます。遂に医師たちは「双極性障害」「統合失調症」などの診断を下し、精神科への転院を勧めるのでした。
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絶望的な状況の中で、両親と恋人のスティーヴンはスザンナの瞳の奥に存在を残す「スザンナ自身」を信じ、諦めることなく医師たちに更なる検査の実施をかけ合います。スザンナが暗い闇の底から抜け出し、本来の人格を取り戻してくれることを信じて…。
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主人公のスザンナ役にはもともとダコタ・ファニングがキャスティングされていたのだそうですが、スケジュールの問題で降板。当時まだ18歳だったクロエ・グレース・モレッツを迎え、彼女に合わせてスザンナの年齢設定も24歳から21歳に変更されたのだとか。クロエは原作者のスザンナ本人から話を聞き、役作りをしたのだそうです。正体不明の病に徐々に蝕まれていくというイメージの難しい役どころではありますが、堂に入った演技を見せています。特に人格が崩壊し周囲を罵倒するシーンや発作が起きるシーンは、あまりの迫力に圧倒されてしまいました。
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医学に精通していなければ、医師に「精神的なもの」だと診断されてしまったら、それを鵜呑みにしてしまいそうなもの。しかしスザンナの両親やスティーヴンは、為す術のない状況下でも最後まで本来のスザンナ自身を信じて諦めません。無償の愛情は観る者の胸を締め付け、ストーリーは涙を誘う衝撃のラストへ向かっていきます。
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この作品を通して「抗NMDA受容体脳炎」が世間にもっと認知され、こういったやるせない誤解で苦しむ人たちが少しでも減ることを願います。原因不明の病に犯された少女と、最後まで諦めずに闘い続けた家族の、切なくも心温まる闘病物語。あなたも、大切な誰かとご覧になってみてはいかがでしょう。
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予告編動画
■【スタッフ】
監督:ジェラルド・バレット
■【キャスト】
クロエ・グレース・モレッツ
トーマス・マン
キャリー=アン・モス
リチャード・アーミティッジ
原作:「脳に棲む魔物」スザンナ・キャハラン著・澁谷正子訳(KADOKAWA 刊)
配給:KADOKAWA
字幕翻訳:松浦美奈
2016/カナダ・アイルランド/英語/カラー/5.1ch/スコープ/89分/G/
12/16(土)より、角川シネマ有楽町他にて全国公開!公式サイトはこちら。
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