今回は、芸術作品がテーマの映画の中から、ミニシアターで取り上げられた10本を紹介します。芸術作品を紹介しているものや芸術家の生き様を取り上げたものなど、史実をもとに構成されており気軽に芸術に触れることができるので、ぜひ観てみてくださいね!
目次
カラヴァッジョ 天才画家の光と影【2010年】
あらすじ
16~17世紀に活躍したイタリア人画家カラヴァッジョ(アレッシオ・ボーニ)の作風は、見たものをありのままに表現する写実的なもの。そんな彼は賞賛を受ける一方で、売春婦をモデルとして起用するなど、キリスト教社会から批判を受けていました。敵を作りやすく喧嘩っ早かったカラヴァッジョは、ある日殺人を犯してしまいます。
見どころ
画家カラヴァッジョのこだわりは、作品に光と陰を巧みに使うこと。作中でも、初めて入ったアトリエにて窓からの光を確認してみたり、明かり取りのために屋根へ穴を開けたり、彼のこだわりが垣間見られるシーンがあるので必見です。また、ローマに残る史跡・教会で撮影されており、当時の背景をリアルに感じられるのも本作の魅力となっています。
真珠の耳飾りの少女【2004年】
あらすじ
オランダ人画家・フェルメールの家で、家政婦として働くことになったグリート(スカーレット・ヨハンソン)。タイル絵師だった父親譲りの絵画の才能から、フェルメール(コリン・ファース)の信頼を得たグリートは、絵画のモデルになることに。そのことを知ったフェルメールの妻が2人の関係を疑い、家には不穏な空気が流れ始めます。
見どころ
原作はトレイシー・シュバリエの同名小説。当時まだ18歳だったスカーレット・ヨハンソンの透明感と美貌は、グリートという女性の魅力を引き立てています。オランダの穏やかな生活風景が映し出されているのも、この作品の楽しみとなっています。
ヴァチカン美術館4K/3D 天国への入口【2015年】
テレビ東京公式YouTubeアカウント(@TVTOKYO)より
あらすじ
歴代ローマ教皇が収集した美術品を展示するヴァチカン美術館の、成り立ちと主要な作品を紹介する映画です。レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロなどの作品の特徴や時代背景を丁寧に解説。芸術にまつわる名言を交えながら、ギリシャ時代、ルネサンス期をはじめ、近現代まで幅広い作品を取り上げています。
見どころ
本作で取り上げられる作品は有名なものばかり。芸術作品をあまり知らない方でも、1つは見たことのある作品が出てくるかもしれません。また、美術館建物自体も大変見ごたえがあり、特に2重らせん構造となっている通路は、美術作品ではないにも関わらず、美しいフォルムを成しています。
クリムト【2006年】
あらすじ
19世紀末を中心に、活躍していたオーストリア人画家・クリムト(ジョン・マルコヴィッチ)。既に名声を得ていたクリムトでしたが、裸婦を多用するなど過激な画風からウィーン芸術界では異端児扱いをされていました。パリ万博での受賞をきっかけに、クリムトの周りには怪しげな人たちが現れ始めます。
見どころ
水ばかり飲むクリムト、偽物のクリムト、唐突に登場する中国人の子どもたち、など不思議なシーンが多いこの作品。これらを象徴することは何なのか、鑑賞後に探索しするのが本作の醍醐味です。また、パリ万博を再現した映像の中には、"ジャポニスム"と呼ばれる日本の文化に影響された作品も出てくるので注目してみてください。
エゴン・シーレ 死と乙女【2017年】
あらすじ
20世紀初頭ウィーンで活動した画家エゴン・シーレ(ノア・サーベトラ)。献身的な妹ゲルテ(マレシ・リーグナー)や画家仲間に紹介されたモデル・ヴァリ(ファレリエ・ペヒナー)に支えられ、多くの傑作を生み出していました。そんな中、シーレはモデルとの関係を"幼児性愛者"と世間から非難され、次第に立場を失っていきます。
見どころ
28歳の若さでこの世を去った画家エゴン・シーレの伝記ドラマ。同時代を生きたクリムトの作品も登場しています。シーレとクリムトが活動拠点としていたウィーンの分離派会館が、金色の月桂樹のドームをもつ独特な建物として映し出されているのも必見です。
ブリューゲルの動く絵【2011年】
あらすじ
16世紀オランダで活躍した画家ブリューゲル(ルトガー・ハウアー)。寓話や農民の生活をテーマにした作品を多く手掛けていた彼は、いつも通り平和な風景を描いていました。ある日、そこに赤い服を着た兵士が現れたことによって、彼の生活は一変していきます。
見どころ
ブリューゲルの代表作「十字架を担うキリスト」を元に映像化された作品です。当時の生活に聖書の物語が絡み合っていくストーリー展開となっています。また、『カラヴァッジョ 天才画家の光と影』のパーティーシーンでは、ブリューゲルの息子が登場しており、芸術家同士の繋がりを知ることができるのも芸術映画の魅力です。
FOUJITA【2015年】
角川映画公式YouTubeアカウント(@映画 KADOKAWA)より
あらすじ
20世紀初頭、パリで名声を得た日本人画家・藤田嗣治(オダギリ・ジョー)。パリでの生活を謳歌した後、1940年に帰国。第2次世界大戦に向けた不穏な空気が漂う中、嗣治は"戦争協力画"を発表し、日本の画壇でかなりの地位を得ていくことになります。
見どころ
穏やかなタッチの作風からはかけ離れた、藤田嗣治の本来の破天荒な姿を見ることができる作品。そんな嗣治をオダギリ・ジョーが熱演しており、中谷美紀、加瀬亮など、演技派俳優も出演しています。小栗康平監督がこだわった映像の美しさには、多くの観客が魅了されました。
≒草間彌生 わたし大好き【2008年】
あらすじ
世界的に知られる日本人芸術家・草間彌生。そんな彼女が描くモノクロシリーズ「愛はとこしえ」の全50作の制作過程を1年半に渡って追ったドキュメンタリー作品です。真っピンクなかつらと水玉の服といった奇想天外な風貌に隠されている、彼女の創作に対する熱い思いに迫っていきます。
見どころ
草間彌生の芸術に対するパワーの源を知ることができる作品。自分の力を信じて作品を創り続ける彼女の前向きさに、背中を押されることでしょう。2017年10月には、新宿で「草間彌生美術館」がオープンしたので、映画と合わせて実物も鑑賞してみてください。
キューティー&ボクサー【2013年】
あらすじ
ニューヨークを拠点とする現代美術家・篠原有司男と、同じく芸術家の妻・乃り子の活動を追ったドキュメンタリー映画。自由奔放な有司男に振り回されながらも、創作活動を続ける乃り子。そんな2人の芸術家夫婦が展覧会を開くことになります。
見どころ
絵具を含んだボクシンググローブで紙を殴り、絵を描く"ボクシング・ペインティング"で知られる篠原有司男は、福山雅治と共演したCMでも話題になりました。そんな有司男の迫力満点のボクシング・ペインティングを堪能することができる作品。サンダンス映画祭では、ドキュメンタリー部門監督賞を受賞しています。
バンクシー・ダズ・ニューヨーク【2016年】
あらすじ
謎のストリートアーティスト・バンクシーが、ニューヨークで展覧会を開催することに。場所は公開されず、ニューヨークのどこかの路上に毎日1点ずつ作品を残していきます。その作品を見つけるために駆け回る人々のドキュメンタリー映画です。
見どころ
場所を公開せずに、作品の写真のみをSNSに投稿するという発想は、斬新ながらとても現代的。宝探し感覚でファンを魅了するなど、型破りな発想を持つバンクシーの大胆な行動が印象的な作品です。社会を巻き込む彼のカリスマ性に魅了されること間違いなし。
最後に
以上、芸術をテーマにした映画作品を10本紹介しました。
現在は、『ゴッホ~最期の手紙~』が公開中、さらに12月には『謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス』が公開予定です。(2017年11月15日現在)この記事をきっかけに、ぜひミニシアターにも足を運んでみてくださいね!
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