彼の優しげな表情から織りなす温かみある演技は、現代映画の財産のひとつと言っても過言ではありません。今は亡き名優、ロビン・ウィリアムズの名作10選をご紹介します。
目次
レナードの朝【1991年】
あらすじ
レナード(ロバート・デ・ニーロ)は11歳の時、やがて全身が硬直していくという難病と診断されます。その後30年間を半昏睡状態で病院のベッドの上で過ごしていた彼のもとに、医師のセイヤー(ロビン・ウィリアムズ)が赴任してきます。セイヤーがレナードに新薬の投与を試みたところ、彼の意識が回復するという奇跡が起こるのです。
見どころ
人付き合いを好まず研究に没頭する医師という役柄が、一般的に知られている茶目っ気ある柔和なロビン・ウィリアムズの印象とは異なる作品です。またレナードに寄り添うセイヤーの姿に、命の尊さを見せつけられた気がして涙が止まりません。
原作は実在の精神科医オリバー・サックスの著書によるもので、著者の実体験にもとづく内容です。監督はトム・ハンクス主演『ビッグ(1988年)』のペニー・マーシャル、脚本は『シンドラーのリスト(1994年)』を手掛けたスティーブン・ザイリアン。
ポパイ【1981年】
あらすじ
船乗りポパイ(ロビン・ウィリアムズ)は生き別れた父を捜す旅の途中、楽しい天国と称される港町にやってきます。その町でポパイはオリーブ(シェリー・デュバル)と出会い、彼女のことを気にかけるように。一方、オリーブは悪徳保安官ブルーノ(ポール・スミス)とムリやり婚約させられたことに思い悩み家出をしてしまいます。
見どころ
ロビン・ウィリアムズの映画デビュー作品です。破天荒なポパイ役をそっくりそのままロビン・ウィリアムズが演じており、ポール・スミス扮するブルーノとの対決も必見。また、美しい港町や登場人物たちの衣装なども忠実に再現されています。
原作者はアメリカの漫画家エルジー・クリスラー・シーガー。そして監督は『ザ・プレイヤー(1993年)』、『ゴスフォード・パーク(2002年)』のロバート・アルトマン、脚本は『愛の狩人(1972年)』のジュールス・ファイファーが務めています。
フック【1992年】
あらすじ
猛烈な仕事人間である40歳の弁護士ピーター(ロビン・ウィリアムズ)は、一家でロンドンにいる妻の祖母ウェンディ(マギー・スミス)のもとを訪れます。しかしその夜、子どもたちが何者かによって誘拐されてしまうのでした。
そこには「ピーター、君の子どもが助けを求めてる。 ジェームズ・フック」と手紙が残されていて、ピーターは子どもたちを救うべくネバーランドへ向かうことに。
見どころ
世界中から愛される永遠の少年ピーター・パンをロビン・ウィリアムズが演じることにより、さらに魅力が増した作品に仕上がっています。ティンカーベル役のジュリア・ロバーツの愛らしさも見物です。
原作者はイギリスの童話作家ジェームス・マシュー・バリー。監督はスティーブン・スピルバーグ、音楽を『ジョーズ(1975年)』、『スター・ウオーズ(1978年)』シリーズで有名なジョン・ウィリアムズが担当しています。
ジュマンジ【1996年】
あらすじ
少年アラン(アダム・ハン=バード)は偶然見つけた"ジュマンジ"というボードゲームで遊びます。しかしそれは駒が止まると指示が文字として浮かび上がり、それが現実世界でも起きてしまう恐ろしいゲーム。その結果、アランはジャングルに飛ばされてゲーム盤の中に閉じ込められてしまうのでした。
26年後、空き家となったアランの家に引っ越してきたジュディ(キルスティン・ダンスト)とピーター(ブラッドリー・ヒアース)の幼い姉弟。2人がジュマンジを発見して遊んでいると…。
見どころ
ゲームに振り回される主人公を、ロビン・ウィリアムズは持ち味のコミカルさを存分に活かし演じています。どこか少年っぽさを持ち合わせるロビン・ウィリアムズの役へのハマり具合は見事。
当時最新のCGを駆使したリアルな動物たちが登場するシーンは迫力もありつつ、どことなく可愛らしさがあります。現在、女優として活躍するキルスティン・ダンストの子役時代を観ることもでき、続編となる『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル(2018年)』が公開を控えています。
グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち【1998年】
あらすじ
幼少期に受けたトラウマが心に暗い影を落とし、孤独な非行青年となっていたウィル(マット・デイモン)。しかし彼は天才とされる頭脳の持ち主でした。
その天才的頭脳に目をつけた数学者ランボー(ステラン・スカルスゲルド)は、大学時代の友人である精神分析医ショーン(ロビン・ウィリアムズ)にウィルのセラピストを頼みます。依頼を引き受けたショーンもまた最愛の妻を亡くし孤独で人生に希望が見いだせずにいました。
見どころ
ロビン・ウィリアムズが演じたショーンは最愛の妻を失ってから、新たな一歩を踏み出せずにいました。お互いに傷を抱えているウィルとショーンが共にトラウマを乗り越え成長していくヒューマンドラマ。ウィルに問いかけるショーンの澄んだ眼差しは印象的です。本作品でロビン・ウィリアムズはアカデミー助演男優賞を受賞しました。
パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー【1999年】
あらすじ
自殺未遂を起こし精神病院に収容されたハンター・アダムス(ロビン・ウィリアムズ)。ハンターは患者でありながら"笑うこと"の医学的効果に目覚め、医師を志すことを決めます。
しかし努力の末バージニア大学医学部へ入学した型破りなハンターに対する周囲の反応は冷めたものでした。とりわけハンターが恋心を抱く同級生のカリン(モニカ・ポッター)からは毛嫌いされてしまう始末。しかし、ハンターの成績は優秀、そして患者への思いやり溢れる治療法に皆、次第に心を開き始めます。
見どころ
実在の医師ハンター・ドハーティ・アダムスの役柄は、まさにロビン・ウィリアムズにしか出来ないと言っても過言ではないでしょう。患者を笑わせるユーモアな医師を得意の即興を活かし演じています。
またカリン役のモニカ・ポッターの可憐でありながらツンっとした役柄も魅力的。舞台となる医科大学のキャンパスの雰囲気も明るく素敵な場所に描かれており、医療という難しいテーマを扱っていながらドラマとしても観やすい作品です。
奇蹟の輝き【1999年】
あらすじ
かつて事故で子どもを亡くした過去を持つクリス(ロビン・ウィリアムズ)は、同じく事故で自らの命を落としてしまいます。そしてクリスの目に映る天国は、その言葉にふさわしい美しく神秘的な場所でした。
一方、現実にひとり取り残されたアニー(アナベラ・シオラ)は絶望感から自殺します。そして自殺をしたことによりアニーは地獄へ落とされてしまうのでした。クリスはアニーを救おうと天国から離れることを決意するのです。
見どころ
愛する人を思う気持ちと切なさをロビン・ウィリアムズが見事に演じている、死後のファンタジーラブストーリー。油絵を基調とし、CGで再現した天国の描写はただただキレイのひと言。また、ロビン・ウィリアムズの持つ優しい雰囲気とマッチしている作品でもあります。そんな本作はアカデミー賞で視覚効果賞を受賞しています。
聖なる嘘つき、その名はジェイコブ【1999年】
あらすじ
ナチス戦下のある日、ゲットー(ユダヤ人が住まわされた居住地区)に住むジェイコブ(ロビン・ウィリアムズ)は、偶然にもドイツ軍司令部のラジオを耳にします。その内容は「近くまでソ連軍が進攻してきた」という、ドイツ軍からの解放を望むゲットー内の人たちにとって希望あるものでした。
ジェイコブがこの情報をゲットー内の仲間たちに話すとたちまち噂が広まり、ジェイコブがラジオを持っていると勘違いまでされてしまいます。仲間たちから情報を求められるジェイコブは、さらに希望を与えるための嘘をつくことに…。
見どころ
戦時中のゲットー内という設定に、ユーモラスを交えて話を展開させる主人公ジェイコブをロビン・ウィリアムズが好演。ジェイコブの嘘によってゲットー内は束の間の明るさを取り戻します。絶望の状況下で、ゲットー内の希望の光の一端を嘘により守り続けるジェイコブの奮闘にも注目してください。
邦題にもある"聖なる嘘つき"という言葉が、作品の後半になるにつれて脳裏に浮かんでくること間違いありません。また本作は、ロビン・ウィリアムズ自身が製作総指揮を務めています。
アンドリューNDR114【2000年】
あらすじ
近未来、妻子を持つリチャード(サム・ニール)は自宅に家事用ロボットのアンドリュー(ロビン・ウィリアムズ)を迎え入れます。ある日、リチャードの娘リトル・ミス(エンベス・デイヴィディッツ)から馬の置物を渡されたアンドリューは、上手く受け取れることができずに壊してしまうのでした。
ショックを受けるリトル・ミスに、アンドリューは本を見て木から作った馬を彼女にプレゼントします。それを見たリチャードはアンドリューに多くの教育を施すのでした。アンドリューは徐々に知能の高さを示していき、ついに自らの意思を抱くまでになります。
見どころ
全身をロボットスーツに包み、人間への純粋な思いを表現するロビン・ウィリアムズの名演技に拍手を贈らずにはいられないでしょう。アンドリューを家族として受け入れるリチャードの心がとても温かく、アンドリューはこの家族の元にきて良かったなと思えるのです。人間とは?生きること死ぬことはどういうことなのか?など色々と考えさせられる作品。
ナイトミュージアム【2007年】
あらすじ
失業中でニューヨークに暮らす冴えない中年男ラリー(ベン・スティラー)は、息子ニック(ジェイク・チェリー)に促され職業斡旋所に向かいます。そこで、ニューヨークの自然博物館での警備の仕事を得ることになります。警備初日、なんとラリーの目の前で恐竜の骨格が給水機から水を飲んでいました。さらに、蝋人形のはずのセオドア(ロビン・ウィリアムズ)が突然しゃべりだし…。
見どころ
夜になると博物館のあらゆるものが動きだし話しだします。観ている人たちに不可思議でワクワクする思いを抱かせながら物語は展開していきます。老若男女が楽しめる作品に間違いないでしょう。
ロビン・ウィリアムズ演じる蝋人形のセオドアが、同じ人形の娘に淡い恋心を抱いているところは微笑ましいです。また本作品には『ナイト・ミュージアム2(2009年)』、『ナイト・ミュージアム/エジプト王の秘密(2014年)』続編があります。
最後に
2014年、ロビン・ウィリアムズは自らの命を絶ちました。彼のファンのみならず、世界中の映画界に衝撃が走ったことは記憶に新しいと思います。しかし、ロビン・ウィリアムズが成した映画界への貢献は永遠のものです。現代映画に比類なき存在感を放ってきた俳優ロビン・ウィリアムズの功績はこの先も揺るがないでしょう。今回ご紹介した10作品を観るとロビン・ウィリアムズの十作十色の姿が見えてきます。どれも名作といえるので、ぜひご覧ください。
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