アメリカの一般視聴者投票で選ばれるアワード「ピープルズ・チョイス・アワード」において、4年連続「最も好きなクライム・ドラマ賞」を受賞したネイサン・フィリオンとスタナ・カティックは『キャッスル ~ミステリー作家のNY事件簿』で主演を務め揺るぎない人気を得ました。また、『メンタリスト』で主役を務めるサイモン・ベイカーは、型破りな捜査方法で犯人を追うコンサルタントを演じ、エミー賞、ゴールデングローブ賞など主演男優賞にノミネートされています。
今回は、そんな刑事ドラマの中でも多くのファンを獲得してきた作品を10作厳選してご紹介いたします。
目次
キャッスル ~ミステリー作家のNY事件簿【2009〜2016年】
あらすじ
人気ミステリー作家のリック・キャッスル(ネイサン・フィリオン)の小説を模倣した猟奇的殺人事件が起こったことで、NY市警の刑事ケイト・ベケット(スタナ・カティック)はキャッスルに協力を仰ぎます。スランプで悩んでいたキャッスルは、事件の背景と美人でクールなケイトに興味を持ち、捜査協力という名目でベケットに張りつくことにしますが…。
見どころ
ミステリードラマとしては珍しいコメディタッチで描かれている本作。セレブ作家でお茶目なキャッスルのキャラクターが魅力的で、娘のアレクシス(モリー・C・クイン)や母親にはめっぽう弱いという一面も素敵です。生真面目なベケット刑事とのラブロマンスにもドキドキしながら、シリアスパートとのメリハリを楽しむことができます。
キリング/26日間【2011〜2013年】
あらすじ
シアトルの閑静な街。湖に沈んでいた車から17歳の少女が遺体で発見され、殺人刑事課のサラ・リンデン(ミレイユ・イーノス)と新任のスティーブン・ホールダー(ジョエル・キナマン)が捜査を担当することに。遺体は選挙事務所のキャンペーンカーから発見されたため、次期シアトル市長候補、ダレン・リッチモンド(ビリー・キャンベル)に疑惑の目が向けられます。
見どころ
1話=1日で全26話=26日間のストーリーという構成になっています。そのため、1話完結型のドラマでは味わえない、丁寧な描写が魅力です。実力派俳優の鮮烈な演技に、回を追うごとに虜になっていきます。エミー賞では主要6部門にノミネート。ヒロインであるサラ・リンデンを演じたミレイユ・イーノスは主演女優賞にノミネートされました。新米刑事役のヨエル・キナマンはリブート版『ロボコップ(2014年)』や『スーサイド・スクワット(2016年)』にも出演しています。
THE FALL 警視ステラ・ギブソン【2013〜2016年】
あらすじ
北アイルランドのベルファストで、頭髪がブルネットの人物だけを狙う連続殺人事件が発生。地元警察の要請で、ステラ・ギブソン警視(ジリアン・アンダーソン)が捜査にあたります。一方昼は死別カウンセラーとして働き、妻と2人の子どもを愛する良き夫ポール・スペクター(ジェイミー・ドーナン)は、夜になると獲物を物色して殺す殺人者としての顔があったのでした。
見どころ
犯人が誰かのみに焦点を当てた単なる推理ドラマではなく、犯罪者の心理や動機がじっくりと描かれている作品。追う者と追われる者の心理戦は必見です。主演は『Xファイル(1995-2016年)』のスカリー捜査官でお馴染みのジリアン・アンダーソン。連続殺人犯役は『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ(2015年)』が大ヒットして、続編の『フィフティ・シェイズ・ダーカー(2017年)』も公開されたばかりのジェイミー・ドーナンです。
メンタリスト【2008〜2015年】
あらすじ
トリバー家の娘が行方不明になり、遺体となって発見されます。捜査にあたるテレサ・リズボン(ロビン・タニー)とパトリック・ジェーン(サイモン・ベイカー)が現場に到着すると、近所の少年が容疑者として捕まったところでした。パトリックは母親の父親に対する接し方や、暮らしぶりなどから判断して、娘の父親が犯人だと確信しますが、真相を尋ねると、様子がおかしくなった父親に向けて、母親が銃を発砲してしまうのです。
見どころ
パトリック・ジェーン(サイモン・ベイカー)はカリフォルニア州捜査局CBIの捜査コンサルタントとして捜査に協力し、コールド・リーディングと心理学を用いた読心術で人の心を巧みに操り、事件の解決に挑みます。本作でエミー賞、ゴールデングローブ賞、全米俳優組合賞など数々の主演男優賞にノミネートされている、実力とスター性を兼ね備えたサイモン・ベイカー。彼の演じる癒し系ヒーローに夢中にさせられること請け合いです。
ブラックリスト【2013〜2017年】
あらすじ
FBI本部に最重要指名手配を受ける超A級犯罪者、レイモンド・"レッド"・レディントン(ジェームズ・スペイダー)が自ら出頭してきます。新米のFBI捜査官エリザベス・"リズ"・キーン(メーガン・ブーン)のみを連絡係に指名したうえで、20年かけて集めた犯罪者の情報「ブラックリスト」を提供し、彼らの逮捕に協力すると申し出たため、大騒ぎになります。リズの育ての父と古くからの友人でもあり、世界の犯罪者の間では「犯罪コンシェルジュ」と呼ばれているレッドの真の目的とは?
見どころ
『ザ・プラクティス(1997〜2004年)』、『ボストン・リーガル(2004〜2009年)』ではエミー賞を3回受賞し、本作では超A級の犯罪者という悪役を演じている実力派俳優ジェームズ・スペイダー。超然とした存在感のある演技に視聴者も翻弄され、怪物レッドにハマること間違いなしの作品です。また、日本語吹き替え版では、大塚芳忠が声優を務めているところも見どころのひとつです。
24 -TWENTY FOUR -【2001〜2014年】
あらすじ
カリフォルニア州での大統領予備選挙中。アメリカ合衆国で初となる黒人の大統領候補、パーマー上院議員(デニス・ヘイスバート)の暗殺計画が発覚します。テロ対策ユニットCTUのロサンゼルス支局に情報が入り、チーフのジャック・バウアー(キーファー・サザーランド)にも非常召集がかかります。一方そのころ、ジャックの娘キンバリー(エリシャ・カスバート)が行方不明となり、テロリストに誘拐されたことが発覚するのです…。
見どころ
テロリストとの24時間に渡る死闘を、1時間1話で描いた本作は、日本でも爆発的な大ヒットとなりました。判断力、決断力、突破力の三拍子そろった優秀な捜査官ジャックですが、娘の事となると、冷静さを失います。果たして、娘の命と引き替えにパーマー上院議員を暗殺してしまうのか?そしてCTU内部の裏切り者とは?謎解きと息もつかせぬ展開で多くのファンを魅了した傑作です。主演のキーファー・サザーランドは本作で、ゴールデングローブ賞とエミー賞の主演男優賞をダブル受賞しています。
クリミナル・マインド/FBI vs. 異常犯罪【2005〜2017年】
あらすじ
シアトルで女性誘拐殺人事件が発生。FBIの行動分析課、通称「BAU(Behavioral Analysis Unit)」に出動依頼がかかります。その頃、行動分析訓練生の講義をしていたギデオン(マンディ・パティンキン)にも声がかかり、捜査に参加。チームは一丸となって事件解決にあたりますが、チームリーダーのホッチナー(トーマス・ギブソン)は、ギデオンの捜査官としての能力に疑念を持っていました。
見どころ
凶悪犯を捕まえるためチームが犯罪現場に駆けつけ、現場の様子から犯人像をプロファイリング。シリアルキラー(連続殺人犯)の次なる犯行を予測し逮捕するBAU捜査官たちの活躍を描くサイコ・ミステリーです。『スピード(1994年)』や『プライベート・ライアン(1998年)』のマーク・ゴードンがプロデューサーを務めています。
LAW & ORDER:クリミナル・インテント【2001〜2011年】
あらすじ
ニューヨークの宝石店にて、隣接するアパートの壁から侵入した人物に金庫のダイヤが盗まれてしまいます。犯行現場では、男と大学生のカップルが死体で発見されます。NY市警の重要事件捜査班、頭脳明晰で天才肌のゴーレン(ヴィンセント・ドノフリオ)と冷静に相棒を支えるエイムズ(キャスリン・アーブ)は、残された手掛かりから、遺体は出所したてであり犯人の仲間であったことを突き止め、主犯格を追い詰めていきます。
見どころ
本家クライム・サスペンス『LAW & ORDER(1990〜2010年)』のスピンオフシリーズ。ひと癖あり、一筋縄でいかない刑事役を演技派俳優ヴィンセント・ドノフリオが熱演しています。巧みな話術と心理戦で犯人を追い詰め、尋問室で自白にもっていく「落とし」のテクニックは必見です。ヴィンセント・ドノフリオは他にも、スタンリー・キューブリックの『フルメタル・ジャケット(1987年)』で32kg増量して教官のしごきに狂う新兵役を演じるなど、役作りに熱を入れる俳優として定評があります。
刑事コロンボ(1968〜2003年)
あらすじ
精神分析医のレイ・フレミング(ジーン・バリー)は、愛人との関係がばれて妻に脅されたため、殺害を決意。旅行直前に妻を絞殺して、愛人を妻の代役にたて、空港で一芝居を打ちます。偽装工作に成功したと思い安心したフレミングでしたが、旅行から帰った彼を待っていたのはロス市警の敏腕コロンボでした。
見どころ
刑事ドラマの金字塔的な作品です。コロンボは、よれよれの背広にレインコートや安葉巻、斜視による藪にらみが特徴で、一見すると冴えない風貌ですが、犯行動機や手口を鋭い洞察力で暴き、事件を解決に導いていきます。30年以上も続いたドラマシリーズはエミー賞に、のべ39ノミネートし、13部門で受賞。コロンボ役のピーター・フォークもエミー賞主演男優賞を4回獲得しています。日本ではコロンボの台詞を「うちのカミさんがね…」と独特の口調で語る小池朝雄の吹き替えも人気を博しました。
「凍てつく楽園」~死者は静かな海辺に~【2010年】
あらすじ
ノラ(アレクサンドラ・ラパポルト)は一家で休暇を過ごそうとストックホルム群島のサンドハムン島を訪れます。ある日、子どもたちと浜に出かけたノラは水死体を発見。捜査が始まり、幼なじみのトーマス刑事(ヤコブ・セダーグレン)が担当になりましたが、20年ぶりに再会した彼はどうやら悩みを抱えているようで、睡眠薬が手放せない日々を送っていました。
見どころ
リゾート地で長閑な町が舞台の本作は、スウェーデンで大人気となった『凍てつく楽園』のドラマシリーズで、原作はヴィヴェカ・ステンの『静かな水のなかで』に始まるベストセラーサスペンス小説です。日本ではWOWOWプレミアで放送されました。大きな知名度こそありませんが、小説原作の骨太なシナリオには引き込まれ、美しい島を舞台にした本格ミステリーをお楽しみいただけます。
最後に
いかがでしたか?役にはまった俳優陣の存在感によって、シリーズを重ねるごとに面白さが増していったりと、視聴者を飽きさせない工夫がつまっているのもドラマの魅力。長く続いているシリーズばかりで尻込みしていたという人もいるかもしれませんが、それは面白さの証明でもあります。ぜひ、これを機会に刑事ドラマの世界に踏み込んでみてください。
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