宮藤官九郎公式Instagramアカウント(@kudokankuro_anng)より
今や押しも押されもせぬ人気脚本家であり、ドラマや映画、舞台でその奇才を発揮している宮藤官九郎。『池袋ウエストゲートパーク(2000年)』や『あまちゃん(2013年)』など、彼が繰り出すストーリーやキャラクターはどれも独特で、クドカン脚本だから観るという人も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな宮藤官九郎脚本のドラマを10作品ご紹介します。
目次
あまちゃん【2013年】
あらすじ
東京で暮らす高校2年生の天野アキ(能年玲奈)は、都会の生活になじめず引きこもりがち。ある日、母・春子(小泉今日子)とともに母の故郷、岩手県北三陸市を訪れます。そして祖母・夏(宮本信子)の海女姿と北三陸の風土に感銘を受けたアキは、これまでの自分を振り切るように海女を目指し、春子とともに北三陸に移り住みます。
見どころ
主人公のアキが高校生から海女、そしてアイドルを目指すという予想外の展開が繰り広げられる本作。アキの口癖である"じぇじぇじぇ"が、「2013年ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞を受賞するなど、大きな反響を呼びました。また、東日本大震災で混乱するエピソードが盛り込まれるなど、力強く生きていく人々の姿が描かれています。
ゆとりですがなにか【2016年】
あらすじ
営業マンの坂間正和(岡田将生)は、後輩・山岸ひろむ(太賀)とトラブルを起こしてしまい、自社経営の居酒屋へ出向を言い渡されます。その悩みを「レンタルおじさん」に相談していたところ、同い年の小学校教師・山路一豊(松坂桃李)に出会い意気投合。2人で飲んだ帰り道に風俗のキャッチ・道上まりぶ(柳楽優弥)に絡まれ、それ以降まりぶは坂間の店に入り浸るようになります。
見どころ
ゆとり世代に分類される若者にスポットライトを当てた本作。後輩に反発された上に慣れない現場に放り込まれた坂間、教育実習生に迫られて頭を痛める29歳童貞の山路、大学受験に挫折して11浪中のまりぶなどそれぞれ悩みを抱えています。そんな3人が、恋愛や社会問題に葛藤する社会派ヒューマンドラマです。
池袋ウエストゲートパーク【2000年】
あらすじ
プータローのマコト(長瀬智也)と相棒のマサ(佐藤隆太)、2人が出会った専門学生のシュン(山下智久)は池袋西口公園に集ってダベる日々を送っていました。ある日、マコトたちと遊ぶようになった女子高生リカ(酒井若菜)が殺害され、マコトたちは真相解明のために同級生でギャングのボス・タカシ(窪塚洋介)の協力を得て捜査を始めます。
見どころ
原作となった石田衣良の同名小説とは設定が大きく異なり、ドラマではマコトが何かといえば面倒くさいと言い出すようなライトな雰囲気になっています。殺人事件やギャング同士の抗争、若者の性など重いテーマでありながらも、小ネタを随所に織り込み、気軽に観られる作品となっています。本作は、佐藤隆太、山下智久、窪塚洋介などが注目されるきっかけとなりました。
木更津キャッツアイ【2002年】
あらすじ
木更津在住で無職のぶっさん(岡田准一)は、居酒屋主人のマスター(佐藤隆太)やアニ(塚本高史)らと毎日つるんでいました。ある日、所属する草野球チーム監督・猫田の傍若無人ぶりに腹を立てたぶっさんらは、猫田のキャデラックを盗むべく「木更津キャッツアイ」を結成します。しかしその時ぶっさんは、余命半年を宣告されていました。
見どころ
日々を悔いなく過ごすために、「木更津キャッツアイ」として仲間たちと活動する主人公の姿を描いたヒューマンドラマ。その活動は盗まれたヤクザの拳銃奪還や、暴走族のバイク盗難計画など、ハラハラさせられるものばかり。ぶっさんの余命すらギャグにしてしまう痛快さや、エピソードの表裏を野球のイニングに例える演出も人気を博しました。
タイガー&ドラゴン【2005年】
あらすじ
ヤクザの新宿流星会の組員・山崎虎児(長瀬智也)は、借金回収のために林屋亭どん兵衛(西田敏行)を追いかけていました。その途中に演芸場で聞いたどん兵衛の落語に感銘を受けた虎児は、どん兵衛に弟子入り。どん兵衛の次男で元天才落語家、今は洋服屋店主の谷中竜二(岡田准一)とともに、林家亭一門や新宿流星会で勃発する騒動に巻き込まれていくことになります。
見どころ
作中でどん兵衛や虎児がエピソードに準じた落語を披露し、その内容が毎回起こる騒動とリンクするのが本作の特徴。落語家を目指す虎児と、落語家の道を離れた竜二が自分の生き方を模索する様子にも引き込まれます。落語の世界とヤクザの世界の話が並行して進み、それぞれの世界での絆や家族の形が浮き彫りになっていく様子には注目です。
監獄のお姫さま【2017年】
あらすじ
江戸川ミルクの令嬢・江戸川しのぶ(夏帆)は、婚約者・板橋吾郎(伊勢谷友介)の浮気相手の殺人教唆の罪で刑務所へ収監されます。しかし、それが全て社長の座を狙った吾郎による犯行で、しのぶが冤罪であることを知った囚人仲間の馬場カヨ(小泉今日子)、勝田千夏(菅野美穂)らは吾郎への復讐を計画することに。釈放後、看守の若井ふたば(満島ひかり)も交え、復讐実行に乗り出します。
見どころ
事件の冤罪を晴らすため、元受刑者たちが復讐に走るサスペンス・コメディ。おばさん5人に拘束された吾郎の間抜けな姿や、それを前にしてかしましく喋り倒すユルいシーンについ笑いが込み上げてきます。一方で、収監中のカヨが息子に思い馳せる様子や、看守と囚人が交流を深めていく様子などヒューマンドラマもとしても見応えがある作品です。
ぼくの魔法使い【2003年】
あらすじ
便利屋に転職した町田道男(伊藤英明)と妻・留美子(篠原涼子)はラブラブな夫婦。ある日、記憶術を操る田町浩二(古田新太)と衝突した留美子は、それ以降何かの記憶をたどろうとすると田町の姿に変貌してしまう体質に。見た目が田町になる代わりに驚異的な記憶力を持った留美子は、道男が務める便利屋の仕事で一役買うようになります。
見どころ
中身が入れ替わってしまう作品は他にもありますが、本作では見た目まで変わってしまう斬新な設定。ゴツい田町に変貌した甘えん坊な留美子が、道男に迫る姿は笑いなしでは観られません。甘い夫婦生活や留美子の変身で障害が生まれてしまう夫婦関係、また便利屋に持ち込まれる妙な依頼解決までテンポ良く展開します。
吾輩は主婦である【2006年】
あらすじ
夫のたかし(及川光博)が勤務先のレコード会社を辞めたことをきっかけに、ジリ貧生活を強いられることになった矢名みどり(斉藤由貴)。主婦として平凡に暮らしていたみどりでしたが、ある日お守りにしていた旧千円札の夏目漱石が抜け出して憑依してしまいます。みどりは、男性的な言葉や仕草、そして頑固な思考を持つ夏目漱石のようになってしまうのでした。
見どころ
清楚な雰囲気の斉藤由貴が、堅物で時代遅れの漱石になってしまうヒューマン・コメディ。自分のことを「吾輩」と言うことから、子どもたちにも「吾輩」と呼ばれるなどお茶目な姿は可愛らしく必見。作中で突然ミュージカルが始まってしまう愉快な昼ドラです。
うぬぼれ刑事【2010年】
あらすじ
出世街道から外れてしまった刑事"うぬぼれ"(長瀬智也)は、魅力的な女性を見るとすぐに惚れてしまい、自分は世界中の女性にモテモテだと思い込むうぬぼれた30歳の独身。惚れた女性はいつも事件の真犯人であるため、うぬぼれは毎回自分との結婚か逮捕かの選択を女性に迫り、図らずも事件を解決していきます。
見どころ
1話完結の本作は、うぬぼれが惚れた女性が逮捕され恋に破れるところまでがお約束の刑事ドラマ。それでも、毎回起こる事件の顛末や、行きつけのバーでの仲間との掛け合いが面白く飽きさせません。清楚系の加藤あい、地味系の光浦靖子などタイプが違うヒロインが登場します。
ごめんね青春!【2014年】
あらすじ
仏教系男子校の東高のOBで教師の弱気で冴えない原平助(錦戸亮)。隣接するカトリック系女子高の三女と東高は犬猿の仲でしたが、経営難などの理由で両校の合併話が持ち上がります。そこで実験的に、半年間だけ両校に共学のクラスを作ることに。三女の共学クラスの担任になった平助は、生徒にバカにされながらも両校の交流を図るために奔走します。
見どころ
主人公・平助の青春時代の罪の告白をテーマにした青春コメディ。ドラマ『スチュワーデス物語(1983年~1984年)』のパロディや、宮尾すすむのモノマネなど小ネタが随所に盛り込まれています。宮藤にとっては初の学園ドラマで、いじめなど暗い問題にはあえて触れず、ドラマの中ではせめて「平和で楽しく」という思いで本作が制作されました。
最後に
宮藤官九郎が脚本を手がけるドラマは、刑事、青春、ホームドラマなどさまざまなテイストを持つ中で、セリフのテンポやネタなどで楽しませるギャグ要素が一貫した楽しい作品になっています。そんな宮藤官九郎脚本の作品をぜひチェックしてくださいね!
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