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スタンリー・キューブリックのおすすめ映画10選!20世紀を代表する名監督

スタンリー・キューブリックは名監督としての名声もさることながら、映像への異常なまでのこだわりとそれを裏打ちするエピソードにも事欠かない監督です。今回は、そんなスタンリー・キューブリックの狂気を垣間見ることができる名作を10作品まとめてご紹介します。

恐怖と欲望【1953年】

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あらすじ

戦場で搭乗する軍用機が攻撃され敵地に不時着した4人の兵士。なんとか自軍の勢力下になるエリアに戻ろうと、近くにあった川を自作の筏で下ることにする。
しかし、その途中で目にした建物に敵軍の将軍らしき人物が休んでいることが分かると不穏な雰囲気に。4人は将軍を討ち倒して武功を得るか、筏で川を下って安全地帯に戻るかで揉めのだった。

見どころ

まだ25歳というキューブリック監督が見せる若さの勢いとセンスあふれる映像美が垣間見れる作品です。
公式のデビュー作よりも前に作られた作品だけあってアマチュア感のあるシーンが多々ありますが、アップショットのワイルドさや、ラストシーンの繊細な雰囲気など、その後の作品にも通じるものがありファンなら楽しめること間違いありません。
ただ、過大な期待は禁物です。キューブリックがフィルムを回収したために幻と言われた作品であることを忘れないでください。



突撃【1958年】

突撃
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あらすじ

1915年、西部戦線フランス軍のブルラール大将(アドルフ・マンジュー)はドイツ軍の難攻不落な拠点「アリ塚」を陥落させるために、出撃した兵士のほとんどが死んでしまうという無謀な計画を立てます。そんな無謀な命令に抗議するダックス大佐(カーク・ダグラス)ですが、命令は覆ることなく下されてしまいます。

見どころ

若かりし頃のスタンリー・キューブリックの才能がいかんなく発揮された本作。常々反戦の思想を掲げていたカーク・ダグラスらしい、戦争の不条理さ、矛盾、圧倒的な力を前にした一個人の無力さなどを表現し演技にも注目です。

非情の罠【1960年】

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あらすじ

ニューヨークの片隅でボクサーを生業とするデイヴィーには想い人がいた。それは近所に住むタクシーダンサーのグロリア。
しかし彼の恋には大きな障害があった。なんとグロリアは地元で名の知れたギャングであるラパロのお気に入り娼婦だったのです。
グロリアをラパロから自由にしようと奮闘するデイヴィーでしたが妨害に遭い上手くいかない。グロリアをめぐり緊張感の高まったデイヴィーとラパロはついに直接対決を迎える。

見どころ

白黒映画ながら迫力のあるシーンが楽しめる作品です。
後に映画やTVドラマで定番となるアングルや演出などが頻繁に見られ、この頃の演出技術が予想以上に高いことを実感できます。
特にボクシングのOKシーンは印象的です。キューブリックが自分の作品と認めるだけあって、お得意の空間を使った演出も堪能できます。狭い屋内で激しい逃走劇を繰り広げた後、開けた場所に出た時の漠然とした不安感の演出などは印象に残るシーンです。
初期作品ゆえに人手不足だったのか、キューブリックがいつもより多くの仕事を受け持ったことで彼のエッセンスが色濃く出ているのにも注目してください。

スパルタカス【1960年】

スパルタカス
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あらすじ

時は共和制ローマ時代。その屈強な体で鉱夫から剣闘士として見出されたスパルタカス(カーク・ダグラス)は、剣闘士養成所で日夜訓練に励んでいました。しかし、同じく奴隷のヴァリニア(ジーン・シモンズ)と恋仲で、彼女が売られていくことを知り蜂起。養成所の主であるマーセラス(チャールズ・マグラー)を殺害し、同じように虐げられていた奴隷たちを率いてローマに戦いを挑みます。

見どころ

迫力抜群の戦闘シーンは必見。スタンリー・キューブリック自身は今作では雇われ監督でした。そのこともあってか、終生これは自身の作品ではないと繰り返し主張していましたが、実際にはキューブリックのカメラマンとしてのキャリア、そして映像に持つ強いこだわりが生み出した作品です。

ロリータ【1962年】

ロリータ
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あらすじ

大学教授のハンバート(ジェームズ・メイソン)は、夏の間過ごす家をアメリカの田舎町で探していました。そこで出会ったのは、下宿先で暮らすヘイズ婦人(シェリー・ウィンタース)の娘ドロレス(スー・リオン)。通称ロリータと呼ばれる幼い彼女に魅了されたハンバートは、ドロレスのそばにいるためにヘイズ夫人と結婚。望むがままの生活を手にいれますが…。

見どころ

キューブリックの出世作。前作の『スパルタカス』で、当時の映画のブームに乗り商業的な勝利を獲得した彼が次に挑んだ作品です。1960年代当時の映画表現にかけられていた規制の影響もあり、後のキューブリック作品が持つ、狂気、暴力描写などはありません。禁断の恋に魅せられてしまった中年男性の切ない姿を見事に描いています。

博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか【1964年】

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あらすじ

東西冷戦時代のアメリカ。熱狂的な愛国主義者で精神に異常をきたしていたアメリカバープルソン空軍基地のリッパー巡査(スターリング・ヘイドン)は、ソ連への核攻撃の指令を出したまま基地に立てこもってしまいます。世界崩壊の危機に、アメリカ政府首脳部やドイツ出身のストレンジラヴ博士(ピーター・セラーズ)が奔走するのですが…。

見どころ

不条理系のブラックコメディ。東西冷戦の真っ只中に、そのことをネタにして世界の破滅を描くという攻めに攻めた作品です。チャップリンに影響を受けたと公言しているキューブリックの描く不条理劇には、悲劇的でありながらも思わず大声で笑ってしまいそうな不謹慎極まりないラストが待っています。ドクターストレンジラヴ博士の狂気は必見。

2001年宇宙の旅【1968年】

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あらすじ

月に人が済み始めるようになった近未来。ヘイウッド・R・フロイド博士(ウィリアム・シルベスター)は、月面に謎の物体"モノリス"を発見します。モノリスが指し示す先木星へと派遣されたのは、デヴィッド・ボーマン船長(キア・デュリア)率いるディスカバリー号の乗組員たち。ディスカバリー号は最新鋭の人口知能HAL9000(CV:ダグラス・レイン)を搭載し、その工程も順調にいくと思われていましたが…。

見どころ

アーサー・C・クラークの同名小説が原作。円形の宇宙船ディスカバリー号、無重力の中で人が生きていく姿、暴走するAI、人間以上の存在に遭遇した無力さ、狼狽など映像だけでなくストーリーの面でも、以後のSF作品の1つの流れを生み出した作品です。衝撃的な展開もさることながら、1968年に作られたとは思えないハッとする映像美が映画史に残る傑作です。

時計仕掛けのオレンジ【1972年】

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あらすじ

アレックス(マルコム・マクダウェル)率いる4人組の不良集団「ドルーグ」は、ホームレスの老人を襲ったり、ドラッグを摂取するなど無軌道にやりたい放題。そんな彼らがある金持ちの老婆宅に押し入った際、グループのリーダーをめぐるいさかいから仲間に裏切られたアレックスが逮捕されることになります。

見どころ

1962年に発表された、アンソニー・バージェスによる同名小説を映画化。スタンリー・キューブリック監督を代表する映画となりました。圧倒的な暴力描写、写真のような構図、独特の音楽、そして原作の魅力の1つであった若者たちの言葉を見事に表現しています。スタンリー・キューブリック作品が持つ、映画を超えた生々しい独特で精緻な表現が魅力的な作品です。

バリー・リンドン【1976年】

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あらすじ

19世紀のイングランド。アイルランドの田舎で暮らす若者バリー(ライアン・オニール)は、恋人をかけた決闘を行ったため村から追い出されてしまいます。一文無しになり仕方なく7年戦争に歩兵として参加。信頼していた上官の死に直面したバリーは軍から脱走し、1度は逮捕されそうになるものの、得意のはったりで成り上がっていきます。

見どころ

スタンリー・キューブリックによる最初で最後の伝記作品。自然光に徹底してこだわった彼は19世紀の生活を再現するために、当時最新鋭だったNASAのレンズを撮影に使用していました。とにかくこだわり抜かれた映像の美しさには目を見張るものがあります。ストーリーもキューブリック節がさく裂。何とも言えない感動や悲しみ、怒りも湧かないけれどその場に立ち尽くしてしまう感覚になるラストは必見です。

シャイニング【1980年】

シャイニング
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あらすじ

ホテルの管理人の仕事を求めるジャック(ジャック・ニコルソン)は、前任の男性が死んだ曰く付きのホテルに息子ダニー(ダニー・ロイド)と妻のウェンディー(シェリー・デュバル)を連れてやってきます。"シャイニング"と呼ばれる霊能力を持つダニーは、ホテルで起きる超常現象を目撃していくことに。そんなダニーを尻目に、ジャックはこのホテルが持つ狂気に蝕まれていきます。

見どころ

シーンにこだわり、数百テイクはざらだと言われるキューブリックの本領が発揮された本作。一面血の海、唐突に登場する着ぐるみの男など、圧倒的な存在感を持つシーンの数々。こだわりすぎたためか原作者スティーブン・キングからは常々酷評されている作品ですが、一見の価値はあります。映像の面白さに注目です。

フルメタル・ジャケット【1988年】

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あらすじ

ベトナム戦争中のアメリカ。海兵隊員を志願する若者ジョーカー(マシュー・モディーン)は、訓練キャンプでのハートマン軍曹(R・リー・アーメイ)からの苛烈なしごきや、世話係を担当していた仲間レナード(ヴィンセント・ドノフリオ)の自殺を乗り越え、無事海兵隊員として戦地ベトナムへ赴くことになります。

見どころ

戦争という重いテーマを扱いながら、どこか生々しさがある独特の狂気を感じさせます。特にハートマン軍曹のしごきや、歌いながら戦場を後にするジョーカーたちの姿など印象的なシーンばかり。日本語の翻訳が納得いかないからと翻訳者の入れ替えまでした作品です。大の飛行機嫌いとして知られるキューブリックが、本作をイングランドから一切出ることなく作り上げたというのだから驚きです。

アイズ・ワイド・シャット【1999年】

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あらすじ

倦怠期にある医師ビル(トム・クルーズ)とアリス(ニコール・キッドマン)の夫婦。友人ニック(トッド・フィールド)のパーティに参加したことをきっかけに、ビルは過ちを犯してしまいます。彼は自らが犯した過ちと、妻への嫉妬心から次第に夢とも現実ともつかない世界へと踏み込んでいきます。

見どころ

製作期間400日でギネスブックにも載った本作。当時実生活でも夫婦だったトム・クルーズとニコールキッドマンがイギリスに移住して撮影するなど、体当たりで挑みました。微妙な倦怠感のある夫婦の仕草から、禁断の誘惑に苛まれる両者の何ともいえない表情まで実にリアルです。終始謎の展開が続きますが、1つ1つのシーンが持つ緊迫感はキューブリック映画ならではです。

最後に

今回は、スタンリー・キューブリックを知るための10作品と題して、彼の残した名作の数々をご紹介しました。スタンリー・キューブリックは好みの分かれる監督かもしれませんが、何よりすごいのは未だ色褪せずに多くの監督たちに影響を与え続けていることです。商業的に作られたものよりも、完成度が高く監督の世界観が詰まっている作品を観たいという方におすすめです!