今回は、豪奢な衣装も自然な演技もドンと来い!な、ヘレナ・ボナム=カーター出演映画10作品をご紹介します。
目次
アリス・イン・ワンダーランド【2010年】
あらすじ
ある日、気の進まないパーティへと出席したアリス(ミア・ワシコウスカ)は、不思議な白いウサギを見つけます。そのウサギを追いかけ辿り着いたのは、今までいた世界とは全く異なる不思議な光景が広がる世界でした。その世界でアリスは、自身が「救世主」であることを知らされます。
見どころ
ヘレナ・ボナム=カーターを語る上で外せないのがこの作品。童話『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』を実写化し世界中で大ヒットを記録したシリーズの第1弾です。本作でヘレナが務めるのは赤の女王。不思議なキャラクターが多く登場する本作中でもトップクラスの異様さで、膨れ上がった頭に奇抜なメイク、そして横暴な性格という、ヘレナを代表するキャラクターの1人です。続編『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅(2016年)』ではそんな女王の巨大な頭の謎にも触れています。
英国王のスピーチ【2010年】
あらすじ
吃音症により満足にスピーチが行えないイギリス王ジョージ6世(コリン・ファース)。妻であるエリザベス妃(ヘレナ・ボナム=カーター)はそんな彼をある言語療法士のもとへ連れて行きます。しかし国王を前にした療法士のローグ(ジェフリー・ラッシュ)はあまりにも馴れ馴れしい態度。ジョージ6世は腹を立てますが、治療が進むうちに2人の仲にも変化が現れていきます。
見どころ
ヘレナ・ボナム=カーターは本作でイギリス王の妻を演じ、英国アカデミー賞助演女優賞を受賞。吃音症に悩むジョージ6世を支える、健気な姿を披露しています。常に一歩引いて夫を引き立たせる、奥ゆかしくも気品のある佇まいは、まさに王室の貴婦人そのものです。作品の舞台は今から50年以上の昔ですが、さすがは「コルセット・クイーン」、当時を完全に再現したドレスを違和感なく着こなしています。
鳩の翼【1997年】
あらすじ
中流階級育ちながら、没落し叔母の世話になるしかないケイト(ヘレナ・ボナム=カーター)は、叔母に猛反対されつつも、売れないジャーナリストであるマートン(ライナス・ローチ)と交際していました。しかし身分の高い男性と結婚させたい叔母の意向もあり、結婚も諦めかけていた頃、ケイトは上流階級の女性ミリー(アリソン・エリオット)と出会います。徐々に2人は仲良くなりますが、ある時ミリーもまたマートンに想いを寄せていることを知り、ケイトはある計画を思いつきます。
見どころ
20年以上も前の作品ということもあり、若いころの透明感溢れる姿が光るヘレナ・ボナム=カーター。諦めきれない恋に生きる女性を演じ、純真無垢な正統派美人女優としての存在感を発揮しています。作品は英国アカデミー賞撮影賞にも輝いており、キャストの鮮やかな演技から舞台となるイギリスの街並みまでを情緒豊かに映し出しています。
チャーリーとチョコレート工場【2005年】
あらすじ
貧乏な家庭で暮らすチャーリー(フレディー・ハイモア)はある日、世界で数人しか手に入らないウィリー・ウォンカ(ジョニー・デップ)の金色のチケットを手に入れます。それは完全非公開のチョコレート工場を見学できるという、世界中の子供達にとって夢のチケット。後日チャーリーと同様にチケットを手に入れた子供達が集められ、見学ツアーがスタートするのですが…。
見どころ
ジョニー・デップ主演、ティム・バートン監督のファンタジー作品。ヘレナ・ボナム=カーターは監督ティム・バートンのかつての妻であり、彼の作品にたびたび出演しています。今作には主人公チャーリーの母親として登場。貧乏でもポジティブさを失わない芯の強い女性であり、チャーリーにふんだんに愛を注ぎ、ダメな夫とチャーリーの4人の祖父母を支える一家の支柱です。ヘレナがあてがわれる役の中では地味めなビジュアルですが、頼りがいのある母親として存在感を発揮しています。
フランケンシュタイン【1994年】
あらすじ
自身の母の死をきっかけに人間の命へ異常な執着を見せるようになったヴィクター・フランケンシュタイン(ケネス・ブラナー)。生命を自らの手で創造することは誰にも肯定されませんでしたが、彼の探求心が止まることはありません。ある日、絞首刑にされ死んだ1人の男の死体に手をかけたことで彼の人生はがらっと変わります。その死体をもとに数々の人間のパーツをつなぎ合わせ、怪物を作り出したのです。
見どころ
数々の派生作品が生み出されてきた物語『フランケンシュタイン』。ヘレナ・ボナム=カーターは、怪物を生み出したヴィクターと恋に落ちる美しいエリザベス役で登場します。しかし美しい姿は初めだけ。物語の中盤で彼女は殺されヴィクターの手で再び蘇りますが、その姿はまさに怪物そのものです。これまで数々の特殊メイクに関わってきたヘレナの中でもトップクラスにおぞましい姿に、要注目。
シンデレラ【2015年】
あらすじ
意地悪な2人目の母親とその娘達の登場で肩身の狭くなるエラ(リリー・ジェームズ)。ある日、城で王子の嫁探しの舞踏会が開かれることが分かります。エラも楽しみにしていましたが、意地悪な母親に家に残るよう強く言われてしまいます。そんなとき、彼女の目の前に1人の老婆(ヘレナ・ボナム=カーター)が現れ、杖を取り出し呪文を唱えるのでした。
見どころ
「ビビディ・バビディ・ブー」の呪文でお馴染み、誰もが知る童話の魔法使いフェアリー・ゴッドマザーをヘレナ・ボナム=カーターが演じています。フードを被った皺だらけの老婆として登場した時点ではヘレナの得意分野である特殊メイクが光りますが、今作での彼女の魅力は、エラに魔法をかける場面。ドレス姿に金髪、ひょうきんで可愛らしい魔法使いとして登場し、得意の魔法で主人公エラを夢の世界へと誘います。
天才スピヴェット【2013年】
あらすじ
変わり者の家族を持つ少年スピヴェット(カイル・キャトレット)。幼くしてスピヴェットの双子の弟が亡くなったことで、家族の心には埋められない穴が開いており、スピヴェットは自分を責める毎日を送っていました。そんなある日、彼のもとに1本の電話が入ります。それはスピヴェットの発明が権威ある賞に輝いたとの知らせであり、彼は賞をもらうため単身故郷を離れます。それは自分の居場所を探す旅でもあるのでした。
見どころ
『アメリ(2001年)』で世界中のファンを魅了したジャン=ピエール・ジュネ監督の感動作です。1人旅に出る主人公スピヴェットの母親、変わり者の昆虫博士クレアをヘレナ・ボナム=カーターが演じています。息子であるスピヴェットの弟を亡くしたことで塞ぎ込みがちになっており、物悲しい表情に感情を揺さぶられます。しかし悲しんでばかりもいられないのが母親。今を生きるスピヴェットを心配しながら、共に悲しみを分かち合おうとする姿は、子供を持つ方ならより一層心打たれるのではないでしょうか。
スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪店【2007年】
あらすじ
15年に及ぶ流罪から戻ったベンジャミン(ジョニー・デップ)は、自身を流罪にした判事へと復讐を誓い理髪店をオープンさせます。しかしその理髪店は表の姿、裏の姿はやって来た客を殺し理髪店の下の階でパイにして売り出していたのです。それは全て判事へと繋げるための作戦、そして捉われている娘を救う為の作戦でもありました。
見どころ
ジョニー・デップとティム・バートンの見慣れたタッグ。ヘレナ・ボナム=カーターもいくつかそのタッグに参加しており本作もその1つです。ヘレナ演じる売れないパイ屋の女主人ラヴェット夫人は、白と黒を強調した本作の作風とヘレナの持つ世界観にぴったりの、少しやつれた風貌の女性です。陰が全面に現れ、人肉パイを売り続ける少し精神の病んでしまったような女性、その姿こそヘレナ・ボナム=カーターの象徴とも言えるもので、本作の世界観とも驚くほどにマッチした人物です。
ビッグ・フィッシュ【2003年】
あらすじ
不眠症に悩む僕(エドワード・ノートン)はそれを除けば何不自由ない人生を歩んでいました。不眠症は人生の障害であり、同時に2人の人間と出会うきっかけにも。人に頼ることでしか生きられない女性マーラ(ヘレナ・ボナム=カーター)、そして謎の男タイラー(ブラッド・ピット)。3人の人生は複雑に絡み合い、そして予期せぬ事実へ辿り着きます。
見どころ
言わずと知れた映画界の名作。主演の2人が異様な雰囲気の中、存在感を露わにしますが、もう1人ヘレナ・ボナム=カーター演じるマーラもまた現代の特異な症状に苦しむ女性として登場します。その姿は何の変哲もない1人の女性、しかし彼女はことあるごとに自傷行為などで他人を巻き込む依存症を持つ女性でした。一目ではそんな症状も感じさせない女性ですが、そのギャップが非常に危険。無表情の中に潜む過激な感情を、ヘレナの薄暗い表情が不気味に作り上げています。
ハリー・ポッターシリーズ【2007年〜2011年】
あらすじ
両親を闇の魔法使いに殺され、奇跡的に生き延びた少年ハリー(ダニエル・ラドクリフ)。魔法学校で魔法を学び青春を謳歌する一方、陰では彼に危害を加えようとする闇の勢力が動き出していました。次第に力を増大する闇の勢力、しかし同様にハリーも自身と仲間を守り、戦う術を身に着けます。
見どころ
世界で最もヒットした原作シリーズ『ハリー・ポッター』シリーズ。多数の個性的なキャラクターが登場し、その中でもひと際異彩を放つ闇の魔法使い・ベラトリックス役に扮するのが彼女、ヘレナ・ボナム=カーターです。敵陣の中でも特に厄介なキャラクターとして登場しており、映画では4作に渡ってハリーたちを苦しめます。ヘレナの得意な黒を基調とした衣装に、ボサボサの髪、そして悪以外の感情を一切持ち合わせていないかの如く気味の悪い表情で動く、純粋な悪役を演じています。一切の光も持たない、人を傷つけることに喜びを感じる、そんな狂気じみた役柄ですが彼女にぴったりのはまり役となっています。
最後に
「コルセット・クイーン」の名は伊達ではなく、見る者をあっと言わせる多種多様な姿を披露してきたヘレナ・ボナム=カーター。異様な姿が板についた彼女が、時折見せる素の表情こそが1番光輝く瞬間ではないでしょうか。優しい母親、依存症を持つ女、メイクや衣装が至って普通だろうとそこにはしっかりとヘレナ・ボナム=カーターの姿が存在しています。
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