『華麗なるギャツビー』のストーリー
謎の男ギャツビー
ストーリーはジェイ・ギャツビー(レオナルド・ディカプリオ)邸の隣に住んでいる男、ニック・キャラウェイ(トビー・マグワイア)の視点で語られていきます。田舎から出てきて証券会社に勤めるニックは、ウェストエッグに小さなコテージを借りて住んでいます。湾の向こう岸であるイーストエッグには従兄のデイジー・ブキャナン(キャリー・マリガン)と学生時代の顔なじみであるトム・ブキャナン(ジョエル・エドガートン)が夫婦で住んでいました。
ある日、ニックはブキャナン夫妻の食事に招かれます。億万長者の跡取りでもあるトムの豪邸は素晴らしく、それに少々圧倒させられるニック。ブキャナン邸にはジョーダン・ベイカー(エリザベス・デビッキ)も来ていて、ちょうどニックの隣の豪邸に住むギャツビーのことが話題に上ります。彼はお城と言ってもいい程の大豪邸にたった1人で住んでおり、毎週末盛大なパーティーを開いている謎の男だと言うのです。
"My life, my life has to be like this. It has to keep going up." #TheGreatGatsby is available August 27! pic.twitter.com/FLFSFVwqno
— The Great Gatsby (@GatsbyMovie) 2013年7月29日
映画『華麗なるギャツビー』公式Twitterアカウント(@GatsbyMovie)より
ギャツビーから招待状が届いた理由
ニックはギャツビーの使いからパーティーの招待状を受け取ります。しかしパーティー会場に行っても、ニックはギャツビー本人になかなか会うことが出来ません。その上、パーティーでバカ騒ぎをしている連中の大半は、勝手に参加しているだけで正式に招待されている訳ではないことを知ります。
そしてパーティーに出席している人の多くがギャツビーの本当の正体を知りません。ギャツビーのことをドイツのスパイだという人もいれば、皇帝の殺し屋だという人もいます。果たしてギャツビーは何者なのか?超豪華な食事と禁酒法の時代であるにも拘らず振る舞われるワインやシャンパンにまみれながらニックは、「これは何かが変だ」と疑問を持ち始めるのでした。
Live fabulously. Love dangerously. #TheGreatGatsby #Gatsby #Daisy pic.twitter.com/D3zvNKdBPO
— The Great Gatsby (@GatsbyMovie) 2013年8月21日
映画『華麗なるギャツビー』公式Twitterアカウント(@GatsbyMovie)より
ギャツビーは後日ニックを食事に誘います。どうやらニックに頼み事がある様ですが、彼からは直接言いにくいらしくジョーダン・ベイカー経由でギャツビーの願いを聞かされることに。そこでデイジーとギャツビーは以前恋仲であった驚くべき事実を知らされます。そしてギャツビーはデイジーを含めたお茶会を開きたいと言うのでした。
妙にフレンドリーに接してくるギャツビーに猜疑心すら抱いていたニックですが、それは自分がデイジーのいとこだからなのだと納得します。またニックはギャツビーのあまりに慎ましげでささやかな望みに驚き、依頼を喜んで引き受けます。そしてニックの家で開かれたお茶会でギャツビーとデイジーは約5年ぶりに再会するのでした。
『華麗なるギャツビー』をより楽しむためのポイント5つ
①豪華絢爛なパーティーシーン
"He gives large parties, and I like large parties." Who wants to party with #TheGreatGatsby? pic.twitter.com/DDys8dbEMX
— The Great Gatsby (@GatsbyMovie) 2013年7月24日
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本作の見どころは、毎週末にギャツビーのお屋敷で開かれる豪華絢爛なパーティーシーンの描写です。当時1922年はジャズ・エイジの筈なのに、ロックやヒップホップなど今の時代に合った音楽がふんだんに使用されており、現代人から共感が得られやすい工夫も。また煌びやかな街の景色には、アロー・カラー・マンの看板など当時のファッションの流行がさりげなく映し出されています。
ギャツビーの初登場シーンでは豪勢に花火が上がりコミカルで軽快なムードが漂います。パーティーに出席した人たちは皆陽気で相当に羽目を外している様に見えますが、これにより当時の景気が如何に良かったかが上手く表現されています。
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— The Great Gatsby (@GatsbyMovie) 2013年8月25日
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本作の監督を務めたバズ・ラーマンは過去に『ロミオ&ジュリエット(1997年)』や『ムーラン・ルージュ(2001年)』などの作品の監督をしており、古い物と新しい物をミックスした特異な映像表現で当時大変話題になりました。また本作は第86回アカデミー賞で美術賞、衣装デザイン賞を受賞しています。
②灰の谷やエックルバーグ博士の看板
Beautiful work. RT @emanuelecapponi: Movie Poster of The Great Gatsby. http://t.co/C1DG19lHY4 @GatsbyMovie pic.twitter.com/mT6zZKFcRT
— The Great Gatsby (@GatsbyMovie) 2013年6月20日
映画『華麗なるギャツビー』公式Twitterアカウント(@GatsbyMovie)より
ギャツビー邸やブキャナン邸の華やかさとは対照的に描き出されているのが灰の谷です。劇中でニューヨークとロングアイランドの中間地点にあたる灰の谷は、石炭の捨て場所で主に貧困層の人々が働いています。このストーリーの重要な場所の1つとなるジョージ・ウィルソン(ジェイソン・クラーク)の自動車修理工場はこの灰の谷にあり、ウィルソンと妻のマートル(アイラ・フィッシャー)は、トムやニックとは明らかに異なった貧しい生活をしていることが伺えます。またこの地域の描写がある事で当時は貧富の差が激しかったことが分かるでしょう。
灰の谷のシーンの中で特に印象的なのは、不気味に人々を見つめるめがね屋のエックルバーグ博士の看板です。これは既に廃業となっている眼科の看板ですが圧倒的な存在感があり、この目がスクリーンいっぱいに映し出されると、まるで不吉な行く末を暗示している様にも。特に本作ではめがねの奥の瞳の表現が秀逸で映画ポスターの背景にも使用されています。
③思いもよらない展開!そして迎えるギャツビーの哀しい結末
原作を知らずに本作を鑑賞すると物語の終末にかけてのストーリー展開はあまりにも想像から外れたものであり、理解しがたいものとして感じられるかも知れません。本作は前半のストーリーの華やかさや、そこからイメージするその後の展開の予想を大きく裏切る大胆な構成が魅力的です。
トム、マートル、ウィルソン、デイジーとそしてギャツビーのそれぞれのエゴがピークに達した時に悲劇は起こります。登場人物らが取る1つ1つの行動の歯車が変な具合にかみ合い、一同は悪夢に呑み込まれていきます。そして神の目とも言われる不気味な眼鏡屋の看板のアップ。この急激な展開は人々に強烈なインパクトを与え、一度観たら忘れられない非常に印象深い作品となります。
④完璧な筈なのに、どこか不器用で隙があるギャツビーに共感する
.@LeoDiCaprio looking dapper. #TheGreatGatsby staple. pic.twitter.com/qQnrDnob8f
— The Great Gatsby (@GatsbyMovie) 2013年7月23日
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繊細な感性を持ち、何事も用意周到に事を進めるギャツビー役にはレオナルド・ディカプリオがキャスティングされています。ギャツビーは富豪から習った身のこなしで、自らの生い立ちの悪さを必死に上手く隠そうとします。けれども、どこかいかがわしく見えてしまうギャツビー。ディカプリオのこの様な細かい演技には目を見張るものがあります。
またジェイ・ギャツビーのJayには「鳥」という意味があり、空を飛ぶ自由さや向上心が表わされているのかも知れません。さらに「おしゃれ男」や「間抜け」、「おしゃべり」という意味もあります。ギャツビーの本名はジェイムス・ギャッツですが、作者であるフィッツジェラルドがジェイという名前に意味を込めたのではないかと考えられます。
緑の灯火をじっと見つめ5年前の思いを追いかけるギャツビー。他の人に極力デイジーへの思いがバレない様に努める姿はまるで中学生の様でもあります。ギャツビーがどこかいかがわしく見えるのは謎の商売のせいもありますが、デイジーへの純粋な思いを心に秘めているから。
⑤周囲の者が振り回される!?魔性の女性デイジー
"Daisy Buchanan, the golden girl. A breathless warmth flowed from her." #TheGreatGatsby #Dasiy pic.twitter.com/baQ1WkiQlC
— The Great Gatsby (@GatsbyMovie) 2013年7月22日
映画『華麗なるギャツビー』公式Twitterアカウント(@GatsbyMovie)より
世俗的でわがままいっぱいのデイジー役をキャリー・マリガンが見事に演じきっています。トムと共にギャツビーのパーティーに出席したデイジーは、ギャツビーにここから逃げてしまいたいと言います。またブキャナン邸での話し合いで気まずくなった時に、ニューヨークに行こうと最初に言い出すのもデイジーです。
デイジーは何か居心地の悪さを感じ直面している現実に耐えられなくなると、その場の人にストレートに伝え、涙を流すことでやり過ごそうとします。これは裕福な家庭でわがままいっぱいに育ってきた表れであり、数々の修羅場や試練を前向きに乗り越えてきたギャツビーとは対照的。
最終的にデイジーが犯してしまった罪についても、自分で責任を取ることは明らかに無理だろうと思わせる子どもっぽさがあり、トムはその事を十分周知しているかの様です。原作者のフィッツジェラルド自身は、妻であったゼルダをわがままなキャラのデイジーに重ね合わせているとも言われています。
最後に
ギャツビーが思い描いた夢は美しくも儚く、そうであるが故に私達に特別な感情を与えてくれます。所詮アメリカンドリーム、されどアメリカンドリーム。惨めな終わり方ですが最後まで諦めず、暗闇の中で緑の灯火に手を伸ばし続けたギャツビーの物語は、映画という媒体を通じてさらに多くの人々に語り継がれていくことでしょう。
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