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目次
アンテナ【2004年】
あらすじ
大学院で哲学を専攻する祐一郎（加瀬亮）は、15年前に妹の真利江（甲野優美）が失踪してからというもの、深い喪失感を抱きながら暮らしていました。それは宗教に走った母の房江（麻丘めぐみ）も同じこと。そんなある日、少女監禁事件の犯人が逮捕されたというニュースが流れ、家族は改めて過去と向き合うことになるのです。
見どころ
長女の失踪によって崩壊した家族の再生を、SMや宗教、精神疾患などのタブーを交えて描く熊切監督の意欲作。加瀬亮は本作で映画初主演ながらも、日本映画プロフェッショナル大賞主演男優賞を受賞しました。初主演にも関わらず堂々とした演技で、複雑な心情を見事に表現しています。
誰も知らない【2004年】
あらすじ
狭いアパートで暮らしているけい子（YOU）と4人の子どもたち。ある日、新しい恋人が出来たけい子は子どもたちを残して消えてしまいます。残された子どもたちは長男の明（柳楽優弥）を中心に、自分たちの力で生きていくことに。
見どころ
是枝監督が描く、現代社会の片隅で生きる子どもたちの物語。今の世の中は子どもだけで生きるには余りにも冷たく厳しいものです。しかしそんな中でも、加瀬亮演じるコンビニ店員の潤が明に賞味期限切れの弁当を与えたり、児童相談所を勧めたりしており、この場面で心が救われる人は多いでしょう。
スクラップ・ヘブン【2005年】
あらすじ
ある日バスジャックに偶然出くわしたシンゴ（加瀬亮）とテツ（オダギリジョー）は、平和ボケした世の中を正すために復讐請負業を始めます。始めは遊び半分で復讐請負業を楽しんでいたシンゴとテツでしたが、バスジャックに居合わせたもう1人の乗客サキ（栗山千明）と再会し、事態はエスカレートしていくのでした。
見どころ
狂気に走る若者たちの姿を独自の映像センスで描いています。徐々に暴走するテツに付き合っていくうちに、引き返せなくなってしまう若い警官のシンゴを加瀬亮が好演。義眼の少女を演じる栗山千明や、先輩刑事の柄本明ら脇役陣も作品に深みを持たせています。
それでもボクはやってない【2007年】
あらすじ
満員電車に乗って就職面接に向かっていた金子徹平（加瀬亮）は、電車内で痴漢に間違われてしまいます。断固無実を訴える徹平に対して、彼を犯人と信じて疑わない駅員。ついに警察に逮捕されてしまった徹平は、弁護士の荒川（役所広司）たちに助けてもらいながら裁判で戦うことになります。しかしそれは長く辛い戦いの始まりでした。
見どころ
冤罪問題を取り扱った社会派の映画です。モデルとなった事件があり、綿密なリサーチの元に制作されているため、ディテールへのこだわりには目を見張るものがあります。尾美としのり演じる徹平を追い詰める検事や、小日向文世演じる裁判官の嫌らしい演技にも注目。
アウトレイジ【2010年】
あらすじ
組長の大友（ビートたけし）や若頭の水野（椎名桔平）を中心とする暴力団の大友組は、関東を支配する山王会の三次団体。武闘派集団の大友組は常日頃、上から汚い仕事を押し付けられており、池元（國村隼）の命令で外部団体の村瀬組を締めることになります。しかし、それは血で血を洗う抗争の始まりに過ぎませんでした。
見どころ
北野武監督によるバイオレンスなヤクザ映画です。過激な暴力描写がてんこ盛りですが、北野作品らしいユーモアも見どころ。大友を始めとする武闘派ヤクザが殺し合いを展開する中で、加瀬亮はインテリヤクザの石原を演じています。眼鏡をかけて流暢に英語を話す石原は加瀬亮ならではの役柄でしょう。
永遠の僕たち【2011年】
あらすじ
イーノック（ヘンリー・ホッパー）は知らない人の葬儀に参加することが趣味で、死に対する好奇心が人一倍強い少年です。彼の唯一の友人は戦死した特攻隊員の亡霊ヒロシ（加瀬亮）。そんなイーノックが余命3ヶ月の少女アナベル（ミア・ワシコウスカ）と出会い、彼女と恋に落ちるのですが…。
見どころ
『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち（1998年）』などで知られるガス・ヴァン・サント監督による青春映画。加瀬亮は主人公にだけ見える日本兵の亡霊という役どころで出演しています。死に向き合うという作品のテーマを象徴する、極めて重要な役を見事に演じ切っています。変わり者のイーノックと余命僅かのアナベルの繊細な恋愛模様に注目。
劇場版 SPEC~天~【2012年】
あらすじ
SPECと呼ばれる特殊能力を持った犯人を追う未詳事件特別対策係に所属する当麻（戸田恵梨香）と瀬文（加瀬亮）。2人の元に乗客全員がミイラ化したクルーザーが発見されたという情報が入ります。事件を調べていく彼らの裏で、政府を巻き込んだ大きな計画が見え隠れするのでした。
見どころ
人気テレビシリーズの映画版で、引き続き戸田恵梨香と加瀬亮が主役の2人を演じています。映画に比べてドラマの出演が少ない加瀬亮にとってドラマの代表作と言える作品。当麻と瀬文のコンビは映画版でも健在で、瀬文の生真面目で堅物というキャラクターが当麻の異常性を上手く引き立てています。
ライク・サムワン・イン・ラブ【2012年】
あらすじ
大学生の明子（高梨臨）は高級デートクラブでアルバイトをする女子大生。そんな彼女はある日、大学教授のタカシ（奥野匡）から指名を受け家に行きます。紳士的なタカシを軽くあしらう明子ですが、結局翌日も会うことに。しかし翌日、大学まで迎えに来たタカシの車の助手席には明子の恋人ノリアキ（加瀬亮）の姿があったのです。
見どころ
イランの巨匠アッバス・キアロスタミが日本を舞台に繊細な三角関係を描いた物語。派手なストーリー展開はありませんが、微妙に揺れる関係性を男女の会話を通して表現しています。紳士的なタカシに対してノリアキは典型的な束縛DV男。キレやすい今時の若者を加瀬亮が見事に演じ切っています。
はじまりのみち【2013年】
あらすじ
映画監督の木下恵介（加瀬亮）は、軍の依頼で監督した映画『陸軍』のラストシーンの演出にクレームをつけられ、失意の中故郷に戻ります。しかし、戻った故郷は空襲で危険な状態にありました。そこで療養中の母のたま（田中裕子）を安全な疎開先に移すために便利屋（濱田岳）を雇い、リヤカーで移動することに。
見どころ
実在の映画監督、木下恵介の感動の実話を元にした作品で、アニメ監督の原恵一が初めて実写映画に挑戦しています。俳優陣が素晴らしく加瀬亮は勿論、田中裕子や濱田岳のさり気ない演技に胸を打たれることでしょう。木下恵介が干される原因となった『陸軍（1944年）』の引用の仕方も見事。
自由が丘で【2014年】
あらすじ
日本人のモリ（加瀬亮）は別れた彼女を追いかけてソウルまでやって来ますが、中々彼女に会えず時間だけが過ぎていきます。そんなある日、彼はカフェ"自由が丘"のオーナーのヨンソン（ムン・ソリ）と仲良くなり、自由が丘に通うように。徐々に街にも慣れてきたモリですが、未だ彼女には会えず…。
見どころ
物語はモリが書いた手紙の回想として描かれているのですが、時系列がバラバラかつ物語のパーツが意図的に欠けている為、かなり難解なストーリー仕立てに。ホン・サンス監督らしい自由な映画と言えます。時間の概念から解放されてソウルの街を彷徨うモリを、加瀬亮があえて余白を残した演技で表現しています。
最後に
今回挙げた10作品だけでも冤罪の被害者からヤクザ、果ては特攻隊の亡霊まで、加瀬亮が実に幅広い役柄を演じてきたことが分かります。今や日本映画界にとって無くてはならない存在になった加瀬亮ですが、 今後ますます海外の監督との仕事も増えてくるでしょう。そんな加瀬亮の魅力を存分に堪能するためにも、ぜひご紹介した10選の中からより多くの作品を観てみて下さい。
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