『キングスマン:ゴールデン・サークル(2018年)』の公開に先駆け、本記事では前作『キングスマン(2015年)』で登場したハイテクガジェットをおさらいしてみましょう。
『キングスマン』に登場するスパイガジェット
スーツ
キングスマン映画公式Instagramアカウント(@kingsmanmovie)より
まず『キングスマン』を観る上で外せないのがスーツ。『007 ドクター・ノオ(1962年)』でジェームズ・ボンドは、自身の愛用するスーツはサヴィル・ロウ製と言っていますが、本作で登場するロンドンのサヴィル・ロウにある高級紳士服店「キングスマン」は実在するお店がモデルになっています。
とはいえ、もちろん「キングスマン」という名前ではありません。1849年に設立された王室御用達のテーラー「ハンツマン」です。マドンナの衣装を長年手掛けたデザイナーのアリアンヌ・フィリップスが衣装を担当しましたが、生地は高級服地ブランド「ドーメル」のものを使用。キングスマンたちの衣装はどれも生地から縫製まで100%英国製というこだわり。これは続編『〜ゴールデン・サークル』も同様です。
キングスマンのスーツは全てオーダーメイドで、しかも防弾仕様。敵役ガゼル(ソフィア・ブテラ)の鋼の足も袖口で防御します。
傘
キングスマン映画公式Instagramアカウント(@kingsmanmovie)より
1作目の劇的な登場で、エグジー(タロン・エガートン)だけではなく観客をも虜にしたスーパーハイテク傘。ステッキや木刀のような使い方はもちろん、マシンガン位の威力なら盾の役割も果たし、なんと内側は向こうの景色も投影されるマジック・ミラー仕様です。
傘の柄にある引き金を引くと、先端から電気縄や銃弾なども発射。攻撃の強度は持ち手をくるっと回してモードを切り替え、「失神」などの調節も可能な優れモノ。
60年代に人気を博したイギリスのテレビドラマ『おしゃれ(秘)探偵』の映画化である『アベンジャーズ(1998年)』でも、主演のレイフ・ファインズ演じるジョン・スティードが傘の中にナイフを仕込んでいますが、これはそのオマージュ。『〜ゴールデン・サークル』でも、この傘は大活躍します。
何かと雨や曇天のイメージがあるイギリスですが、ロンドンの降水量はなんと東京の1/3程度だとか。「1日の中に四季がある」とも言われるイギリスでは雨が降っても傘を差さない人が多いそうですが、そもそも伝統的な雨具は外套。傘は英国紳士が好んで持ち歩いたステッキにとって代わる、ステイタスの象徴でした。
つまり、傘を持ち歩いて怪しまれないのは高級なスーツがあってこそ。英国紳士にとって傘は、周囲に怪しまれることなく携帯できる重要なアイテムです。
ライター
手榴弾の役割を果たすライター。ローラ部分が起爆スイッチになっていて、回してから手榴弾のように敵方に投げても良し、机の上にすばやく置いて去り、普通の爆弾のように使うも良し。『007 消されたライセンス(1989)』では、ライターで敵に火をつけるシーンがありますが、1作目でも教会での惨事の中、火炎放射気の様に使うシーンが登場。
この金色に光るスタイリッシュなローラガス・ライター。デザインを見ると、おそらくイギリスを代表する高級ブランドであるダンヒルのものでしょうか?
眼鏡
キングスマン映画公式Instagramアカウント(@kingsmanmovie)より
テレビ電話はじめ、あらゆる通信が可能なハイテク・ガジェット。"眼鏡にカメラが仕込まれている"というのは、スパイグッズとしては王道中の王道です。
キングスマンが使用している眼鏡は1969年創業の眼鏡ブランド「カトラー・アンド・グロス」による映画オリジナルのモデルです。キングスマンのリーダーであるアーサーを演じたマイケル・ケインの出世作にスパイ映画、『ハリー・パーマー』シリーズがありますが、ここで彼の演じる庶民派スパイ、ハリー・パーマーのトレード・マークもブランドこそ違いますがリムの太い眼鏡でした。
本作の眼鏡は通信だけでなくバーチャル会議も可能。あらゆる情報の表示だけでなく録画もできて、柄の部分をスワイプすることで映し出す対象物の拡大も可能。眼鏡好きとしてはぜひとも欲しい一品です。
時計
キングスマン映画公式Instagramアカウント(@kingsmanmovie)より
竜頭やボタンでモードを切り替え電気糸や麻酔針、記憶消去針なども仕込むことが可能な万能時計。時計とスパイは切っても切れない仲で、『007』シリーズのみならずスパイ映画ではたびたびスパイ時計が登場。仕込まれるのがガイガーカウンターだったり、爆弾だったり、レーザーだったり、ワイヤーだったりと、その機能も多種多様。
1作目でハリー(コリン・ファース)が着用している時計は「ブレモント」。2002年に設立された新進気鋭のブランドです。『~ゴールデン・サークル』では「タグ・ホイヤー コネクテッド」を使用。1作目にはない新たな機能を拝むことができます。
靴
「ブローギングではなくオックスフォード」。
エグジーがキングスマンに連絡を取るための重要な合言葉にもなった靴のこと。オックスフォードのプレーントゥーがキングスマンたち愛用の靴です。実はこの靴、ドイツ貴族の挨拶、つまり足と足をぶつけ合うと、つま先から即効性の毒が仕込まれたブレードが飛び出します。これは敵役の女性が刃の出る靴で襲ってくる『007 ロシアより愛をこめて(1963)』からのオマージュ。
刃を引っ込める時は危ないので、そっと壁につま先を押し当てて引っ込めるのがポイント。ハリーとエグジーの間で「昔はヒールに電話も仕込まれていた」という会話がありますが、これは60年代のテレビドラマ『それゆけスマート(1965年~)』で出てくるスパイ道具のひとつ。かかと部分には無線電話が仕込まれていました。これは他のドラマでも幾度となく使われているオマージュですが、事実、冷戦時代にKGPが無線を仕込んだ靴を開発していました。靴はイギリスの高級ブランド、ジョージ・クレヴァリーです。
万年筆
インク入れには毒が仕込まれているペンですが、飲んだときには無害、キャップにあるクリップ部分を立ち上げた途端に起動し対象を毒殺できるという、遠隔操作ができる毒殺アイテムです。使われた万年筆はイギリスの名門メーカー「コンウェイ・スチュワート」。チャーチル元首相の愛用したブランドでもあります。
『007 ゴールデンアイ(1995年)』ではペン型爆弾が登場しますが、1970年代のCIAもペン型カメラを使用していたりと、筆記用具はもっとも身近なアイテムのひとつです。
指輪
リングの掌側を押すと5万ボルトの電流が流れ、相手を感電させる指輪。
1960年代のスパイドラマ『0011ナポレオン・ソロ(1964年~)』で、ナポレオン・ソロが小指にリングをはめていました。このナポレオン・ソロを演じたのは、俳優ロバート・ヴォーン。『キングスマン』の監督を務めたマシュー・ヴォーンの父親だと思われていた人物です。そんなことからも、指輪は監督にとって重要なアイテムのひとつだったに違いありません。
ハリー曰く「普通の紳士は左手の薬指だが、キングスマンは利き手の指にはめる」とのこと。利き手の小指にやや大ぶりの指輪をしている人がいたら注意しましょう。
『キングスマン:ゴールデン・サークル』ではどうなる?
ざっと1作目に登場するスパイグッズをご紹介しましたが、『キングスマン:ゴールデン・サークル』では、新たにスーツケース型ロケットランチャー兼マシンガンがお目見えです。
キングスマン映画公式Instagramアカウント(@kingsmanmovie)より
舞台をアメリカに変えたことで、スパイガジェットもアメリカ仕様のものが登場。手榴弾は野球ボール、地雷探知機は野球バット…と、“ザ・アメリカ”なスパイグッズも続々登場します。
キングスマン映画公式Instagramアカウント(@kingsmanmovie)より
アメリカの"ステイツマン"たちは、武器も12連発の銃に加え、カウボーイにおなじみのアイテム、鞭と特殊仕様のレーザー投げ縄が登場。この投げ縄、敵を持ちあげたり切り割いたり、レーザー強度も自由自在。キングスマンたちとはまた一味違ったキレッキレのアクションも見逃せません。
新作『キングスマン:ゴールデン・サークル』は、2018年1月5日(金)公開です。
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