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新海誠監督の『君の名は。』をさらに楽しむ10のトリビア

2016年、日本の映画界で話題を独占したアニメ映画『君の名は。』。音楽を担当したRADWIMPSは既に若い世代から支持されていましたが、本作を機に幅広い年齢層で知名度を高めました。2017年12月現在、日本での興行収入は250億円に達し、邦画では歴代2位、外国映画を入れても4位を記録。

1位は洋・邦画共に歴代1位を記録している『千と千尋の神隠し(2001年)』の308億円ですが、2位の『タイタニック(1997年)』の262億円、3位の『アナと雪の女王(2014年)』255億円を見てみると、そのブームの規模はより想像しやすいでしょう。2018年1月3日には、テレビ朝日系列で地上波初放送され、まだ『君の名は。』の話題には事欠かないかも知れません。

今回は多くの人から支持された本作の謎やトリビアを、角川から発売されている「小説 君の名は。」、「君の名は。Another Side:Eathbound」から読み解いてみたいと思います。
小説 君の名は
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『君の名は。』あらすじ

映画『君の名は。』公式Twitterアカウント(@kiminona_movie)より

岐阜県・飛騨の山奥にある湖を囲むように佇む人口約1500人の小さな集落、糸守町。そこに暮らす女子高生・三葉は、何もない保守的な田舎町にうんざり。都会への憧れや古い風習を守らなければならないプレッシャー、そして田舎町ならではのしがらみから「来世は東京のイケメン男子にしてください!!」そんな叶うハズもない望みを叫んでみたりする日々を過ごしていました。

そんなある日、自分がイケメン男子高生として都会で暮らしている夢を見ます。夢の中で思い切り満喫する三葉でしたが、夢を見ている間の記憶と時間が抜け落ちていることに気づき始めます。

一方、都会に住む男子高生・瀧。彼もまた、田舎の女子高生になっているリアルな夢を見るのでした。不思議な夢を繰り返すうちに2人はお互いが入れ替わっていることに気づきます。

『君の名は。』の見どころ

本作は出会うはずのない2人が、不思議な入れ替わりを通して徐々に心を寄せていく様子をみずみずしく描いた青春ラブ・ストーリーです。監督は、精緻で美しい風景描写と切ないストーリー展開で、国内外問わずコアなファンを獲得してきたアニメーション映画監督・新海誠。『秒速5センチメートル(2007年)』、『言の葉の庭(2013年)』に続き、本作が3作目の長編作品となります。

映画『君の名は。』公式Twitterアカウント(@kiminona_movie)より

数多くある見どころのひとつは、なんといっても新海作品には欠かせない色彩豊かな風景でしょう。糸守町の自然溢れる景色、それとは対照的な近代的な東京の景色。光を巧みに使い、見慣れたはずの風景がどちらをとっても美しく映るのは、入れ替わった互いの目を通した新鮮味と憧憬であるからなのでしょう。また本作で大きなカギとなる彗星の景色も、非常に美しいシーンとなっていますので必見です。

RADWIMPSさん(@radwimps_jp)がシェアした投稿 -

RADWIMPS 公式Instagramアカウント(radwimps_jp)より

今作で音楽を担当したRADWIMPS。冒頭から音楽と同期して進む映像はまるでPVのようですが、単体としてではなく本編と連続して存在しており、アニメ映画の手法としては新しい試みのひとつといえるでしょう。

声のキャストたちも神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、市原悦子、成田凌、谷花音といった豪華俳優陣が、見事に違和感なく演じているのも見どころのひとつです。

『君の名は。』のトリビアと考察

君の名は。Another Side-Eathbound
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①ティアマト彗星の秘密

本編で地球に最接近する「ティアマト彗星」。映画のみで登場する架空の彗星ですが、"ティアマト"とはメソポタミア神話に登場する原初の海の女神で"混沌"の象徴です。女神とされていますがその姿はウミヘビや竜という説もあったと言われています。

「君の名は。 Another Side:Earthbound」(以下「~Another Side」)には、三葉の父親はかつて歴史文化学の学者として三葉の祖母・一葉が守る宮水神社に訪れたことが記されています。

この時に二葉と出会い、後に婿養子に入るのですが、訪れた際に宮水神社が祀るのは「倭文神建葉槌命(シトリノカミタケハヅチノミコト)」という話を二葉から聞いています。建葉槌命は機織りの神様とも言われ、星の神「アメノカガセオ」を退治したと言われていますが、本作に登場する「彗星」から人々を守ったのが、宮水家が祀る神様だというのは本作の物語の大きなヒントであることは言うまでもありません。

映画『君の名は。』公式Twitterアカウント(@kiminona_movie)より

「アメノカガセオ」は日本書紀にも登場する謎の多い存在で悪神と記されています。これも都会のニュースでは「天体ショー」と沸いていた「彗星」が、決して観賞するだけの良いものではなく、町をひとつ消滅させてしまうような悪い(影響を与える)ものだということを匂わせています。

また「~Another Side」では「アメノカガセオ」は「竜」だという一説が登場します。これはイコール「ティアマト彗星」であるということ、ティアマトの象徴である「混沌」は、まさに三葉と瀧に起こる事象であるということ。

さらにティアマト彗星は1200年周期に訪れるということが本編内で伝えられていますが、この1200年周期は東日本大震災と同じ。新海監督は本作が東日本大震災の影響を受けて生まれた作品だということをインタビューでも述べています。

②体育の授業で三葉にクギづけの男子生徒たち

体育のバスケの授業で三葉がシュートする瞬間を男子たちが顔を赤らめて一斉に「おお~」というシーンがあります。「男子の視線、スカート注意!」という三葉のナレーションが入りますが、実はあの体育の時、三葉はノーブラです(笑)。

「~Another Side」ではそのシュートの後、早耶香が走り寄ってきてノーブラである三葉を嗜めるシーンが描かれています。その後、三葉にも携帯メモでさんざん叱られつつ、ブラジャーの装着に苦悩・苦戦する瀧の様子が微笑ましく綴られます。

③三葉とテッシーが丸太で作った机と椅子の意味

新海誠作品PRスタッフ 公式Twitterアカウント(@shinkai_works)より

序盤、「前前前世」の曲が流れる中、三葉が制服スカートにジャージ姿で丸太を切ってテッシーと何かを作っている様子が映ります。出来上がったのは丸太の椅子と机。いつも立ち寄る自動販売機の横に置き、サヤちんを招待する様子が実に微笑ましいシーンです。

「~Another Side」では、あれはテッシーのアイデアだったことが分かります。カフェも無いと嘆いていた三葉とサヤちんを「カフェに行こう」とテッシーが連れて行ったのは宮守のバス停の裏にある自動販売機。がっかりする2人のために、テッシーが「あれがない、これがない、と言っとってもなにも始まらん。」と自分でオープンカフェを作ろうと思い立ち、父親が営む勅使河原建設の社員に端材の調達を頼んでおいたのです。いい男ですね。

④三葉が女子からラブレターをもらった理由

本編では2人が入れ替わっている間のことを互いに突っこみ合う、同じく「前前前世」が流れるシーンの中に、「ちょっと瀧くん!なんで女子に告白されてんの?」というくだりがあります。この理由も「~Another Side」に記されています。

中学の時、瀧が所属していたバスケ部ではマイケル・ジャクソンの「スムース・クリミナル」のコピーダンスが流行っていた時期があり、三葉の身体に慣れるためにこのダンスを踊っていた様子を後輩3人組に目撃されます。告白にやって来たのは恐らくこの3人組。ちなみにこれ以降、瀧のスマホには「マイケル禁止」というリストが加わりました。

⑤三葉の髪型

映画『君の名は。』公式Twitterアカウント(@kiminona_movie)より
入れ替わっているときと入れ変わっていないときの三葉が髪型で区別できるようになっていることは、ご覧になったみなさんにはもう判っていると思います。入れ替わっていないときの三葉は編み込みにした髪をさらにアップにして紐で結ぶというとても複雑な髪形をしています。

「小説 君の名は。」ではあの髪形がお母さんに教えてもらったまとめ方だということが書かれています。一方、瀧に入れ替っている時の三葉には、そんな複雑なことは出来るわけもなく頭の後ろでただ髪をひとつに束ねているだけ。「~Another Side」のテッシー曰く「佐々木小次郎の髪型」。テッシーも瀧と入れ替わった三葉をおかしいと感じており、その状態の三葉を「狐憑きモード」と密かに呼んでいましたが、「狐憑きモード」か見分けるために髪型での判別は非常に助かっている様子です。

入れ替っていないときの正常な三葉の髪型について、サヤちんが言うには「あれはね、ああやって自分で自分を縛っとるのよ、わざと」。きちんとしていないとすぐに周りから何か言われてしまう立場にいる三葉が、きちんとするための儀式だと言うのです。

ラストに髪の毛を切った三葉ですが、もちろん失恋の意味合いもあるでしょうが、自分自身を縛るものを断ち切った宮水からの脱却、すなわち「自由」も表わしているように思えます。

⑥防災無線放送のサヤちん

サヤちんが勇気を振り絞って放送する防災無線は、糸守町を守った天の声。しゃべり慣れているようにも聞こえましたが、本編の冒頭、朝のお知らせの声に似ている…?「小説 君の名は。」を読むと、これがサヤちんのお姉さんだということが判明。お姉さんに声がそっくりなのは姉妹だから?(笑)

⑦ユキちゃん先生

新海誠 公式Twitterアカウント(@shinkaimakoto)より

新海誠監督の前作『言の葉の庭』をご覧になっていて気づいた方も多いかも知れません。糸守高校で三葉を教えている古典の教師は『言の葉の庭』のヒロイン、ユキノです。「小説 君の名は。」でも「こんな田舎の高校には不相応なくらい美人なのよね」と紹介されています。新海誠作品のファンには堪らないネタだと思います。

⑧瀧はいつ、三葉に恋心を抱いたのか

映画『君の名は。』 公式Twitterアカウント(@kiminona_movie)より

映画については「いつ2人が恋心に変わったのかがいまひとつ分からない!」という声も多く見られた主人公2人の恋。「~Another Side」では、瀧の視点から三葉を意識するようになる様子が書かれています。それは多くの人が経験しているだろう「ギャップ萌え」。

自分が三葉になっている時に感じる"周囲が抱く三葉像"と、瀧になっている三葉のメモなどから感じる"三葉"があまりにも違うことで、瀧はどんどん三葉のことが気になり始めたようです。ですがまあ、同じ秘密を共有しているうえに、毎回胸も揉んでいれば嫌でも異性として意識しますよね(笑)。

⑨三葉の父・宮水俊樹は、なぜ町に避難指示を出したのか。

一度目に父親を説得に向かった三葉は、父親に一蹴された揚句、「おまえは誰だ」と言われて町民の避難に失敗します。でも糸守町が助かったということは、避難指示が出されたということ。町長でもある父親・宮水俊樹は一体なぜ避難指示を出す気になったのでしょうか。

新海誠作品PRスタッフ 公式Twitterアカウント(@shinkai_works)より
「~Another Side」の最終章に宮水俊樹の視点からの物語が描かれています。宮水俊樹はティアマト彗星の項でも書いたように、元々は学者で調査に訪れた宮水神社の二葉に恋をし、婿養子という形で宮水家に入ります。映画を観ても、二葉が病気で入院していたこと、二葉の死をきっかけに人が変わってしまったようだということが推測できます。

「小説 君の名は。」でも母親が亡くなった経緯が書かれていますが、「~Another Side」で俊樹は日本中の病院探しに奔走するなど、二葉を助けるために手を尽くしました。その甲斐もなく、二葉は頑なに糸守町を離れることを拒否し、「あるべきようになるから」、「これがお別れではないから」という言葉を残して他界します。

一度訪れた三葉が去った後、俊樹の元には一葉と四葉が、三葉の言葉を聞いて欲しいと説得しに訪れていました。その時、窓の外で二つに割れた彗星を目にし俊樹は一瞬で悟るのです。二葉と初めて出会ったときに話した、星の神の話と宮水が祀る神の話を。それはこの瞬間の暗示だったのだと。再び三葉が訪れた時、俊樹には「あるべきようになる」という二葉の言葉の意味を理解しました。町のすべての人々に干渉できる権限のあるこの地位にいる自分は、まさに「あるべきようになる」運命のさなかにいるのだと。

それが避難指示を出した真相です。本編に登場する新聞記事の見出しには「落下一時間前にすでに避難か」と書いてあるので、観客が感じたよりもずいぶん余裕がある時間での避難となったようです。

⑩上京している三葉、宮水神社はどうなるのか

本編でチラリと登場する新聞記事の片隅に、「神社にいたら危なかった」という住民のコメントが載っていることからも、宮水神社はもう存在せず糸守町も消失してしまったことが分かります。ラストで三葉はマンションで支度をして出かける様子からも東京で暮らしているようです。三葉にイヤミを言っていたクラスメイトも東京でそれぞれ暮らしていたり、妹・四葉もどこかの高校で授業を受けている様子がチラリと映ります。

事実上、糸守町は消滅しましたが、宮水の不思議な能力はこのためというセリフにあるように、また1200年後の町を守るため宮水家は存続しなければならないように思います。

新海誠作品PRスタッフ 公式Twitterアカウント(@shinkai_works)より

「小説 君の名は。」では宮水家の巫女たちはみな、入れ替りタイムトラベルの経験者ということが記されています。また「~Another Side」でも妹の四葉も確実に不思議な能力を継いでいて、ひょっとしたらそれは三葉の"それ"より強力かもしれない様子が描かれています。四葉が一葉にかける言葉からも、復興を果たした後の宮水神社の跡取りは四葉のような気がします。

最後に

「小説 君の名は。」、「君の名は。Another Side:Earthbound」には、映画を補完してくれる情報がまだたくさん散りばめられています。駆け足で進むPVのようなシーンのひとつひとつにも小説を読むと裏設定があったりと、何度でも楽しめる映画『君の名は。』。ぜひ小説を読んでから、もう一度、二度三度と新海誠ワールドを堪能してみてはいかがでしょうか。

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