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新作発表の度に話題沸騰!デヴィッド・フィンチャー監督10作品

新作を発表するたびにセンセーションを巻き起こす映画監督デヴィッド・フィンチャー。『セブン(1996年)』、『ファイト・クラブ(1999年)』、『ゴーン・ガール(2014年)』などを手掛け、ヒットメーカーとして大きく名を馳せている名匠です。2018年時点でわずか10本の映画しか発表していないにもかかわらず、ストーリーへの斬新なアプローチや、ダークかつ美しい映像センスで観る者の心を鷲掴みにしてきました。

今回は、アカデミー監督賞を受賞するのも時間の問題と言われる、彼のフィルモグラフィを製作順に振り返りましょう。

エイリアン3【1992年】

エイリアン3
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あらすじ

宇宙生物エイリアンとの2度の死闘を終えた宇宙航海士リプリー(シガニー・ウィーバー)は、人工冬眠状態で地球を目指していました。しかし潜んでいたエイリアンにより宇宙船は進路を変え、刑務所惑星フィオリーナ161に不時着。目を覚ましたリプリーは受刑者たちに危険を訴えるも、時すでに遅く、エイリアンは進化を遂げつつ受刑者たちに襲いかかるのでした。

見どころ

フィンチャーの長編映画デビュー作です。人気シリーズの監督として抜擢されるも、撮影時はシナリオが未完成のままで臨まなければなりませんでした。しかもフィルムの編集権を20世紀フォックス側に握られてしまうなど、終始ゴタゴタした状態での制作を余儀なくされます。それもあってかフィンチャーはこの作品について公の場で述べることを避けていますが、彼ならではのダークな映像センスはこの時点で如実に表れています。



セブン【1996年】

セブン
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あらすじ

殺人事件が絶えない地区で刑事を長年勤め、あと1週間で定年を迎えるサマセット(モーガン・フリーマン)と赴任したての若手刑事ミルズ(ブラッド・ピット)は、2つの猟奇殺人事件を捜査します。それぞれの現場から、キリスト教が戒める"七つの大罪"にまつわる文字を発見したサマセットは、関連した殺人があと5件起こると予測。被害者を生みつつも、捜査の末に犯人の住処を突き止めた2人でしたが…。

見どころ

製作当時、人気が急上昇していたブラッド・ピットを主演に、シリアル・キラーの恐怖を描いて世界中で大ヒットとなり、フィンチャーを一躍有名にした作品です。あまりに衝撃的なラストが話題となりましたが、これは救いのあるラストにしようとした製作側の意見をフィンチャーがはねのけた結果が奏功しました。大半が雨のシーンですが、これは偶然で、結果的にラストの晴天シーンを際立たせる効果を生んでいます。

ゲーム【1998年】

ゲーム
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あらすじ

投資家として成功したニコラス(マイケル・ダグラス)は、周囲に人を寄せつけない孤独な生活をしていました。そんな彼が48歳になった日、疎遠だった奔放な弟コンラッド(ショーン・ペン)が現われ、ニコラスはある"ゲーム"に参加できるというカードをプレゼントされます。数日後、彼は半信半疑ながらもCRSという会社が提供する"ゲーム"に参加し、そして次々と起こる事件に生活を破壊されていくのでした。

見どころ

『セブン』で大成功を収めたフィンチャーが新たに放ったサスペンス。何不自由のない生活を送り、生きる意味を失っていた主人公に訪れる"ゲーム"の恐怖を、鮮烈な映像で描きます。人間としての在り方を問いただすというテーマは、後のフィンチャー映画でもたびたび目にするものとなりました。公開時にはラストのどんでん返しが賛否両論を巻き起こしています。

ファイト・クラブ【1999年】

ファイトクラブ
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あらすじ

自身の高級マンションをブランド品で埋め尽くすことにより仕事のストレスを晴らす男(エドワード・ノートン)が、ある日、石鹸販売をしているという男タイラー・ダーデン(ブラッド・ピット)と知り合います。意気投合した2人はやがて、深夜に殴りあうことで男としての強さを確かめる組織「ファイト・クラブ」を結成、瞬く間に参加者を増やしていくのですが…。

見どころ

ショッピングやブランドに囚われた現代の消費社会に一石を投じる人々を、鮮烈な表現で描いたサスペンス。過激な内容が災いしてか興行的には失敗してしまうも、殴り合うことで人間の本能を取り戻すというテーマや、終盤で明かされる主人公とタイラーの関係性が話題を呼び、『セブン』と並ぶフィンチャーの代表作となりました。

パニック・ルーム【2002年】

パニックルーム
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あらすじ

離婚調停中の夫からせしめた大金を元手に、マンハッタンにある豪華な一軒家に引っ越してきたメグ(ジョディ・フォスター)と娘のサラ(クリステン・スチュワート)。屋敷内には、緊急時に避難できる隠し部屋(パニック・ルーム)が備えられていました。ある夜、新居に強盗一味が侵入します。彼らは、屋敷の元家主がパニック・ルームに隠したという財産を狙っていたのでした。強盗に気づいた母と娘は、隠し財産のことなど知る由もなくパニック・ルームに逃げ込みます。

見どころ

パニック・ルームに隠れた2人と財産を狙う強盗団との駆け引きをスリリングに描きます。屋敷内を縦横無尽に動き回るカメラワークはフィンチャーならでは。当初メグ役にはニコール・キッドマンがキャスティングされていましたが、『ムーラン・ルージュ(2001年)』の撮影中にケガをしたため降板を余儀なくされ、劇中で声のみの出演をしています。

ゾディアック【2007年】

ソディアック
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あらすじ

1968年のサンフランシスコで、デート中の男女が殺される事件が相次いで発生。やがて「ゾディアック(占星術の黄道十二宮)」と名乗る人物から、警察や新聞社に犯行予告が入るようになります。地元サンフランシスコの新聞の風刺漫画家グレイスミス(ジェイク・ギレンホール)と記者のエイブリー(ロバート・ダウニー・ジュニア)は、独自にゾディアックの正体を追います。一方で刑事のトスキ(マーク・ラファロ)らも犯人の捜査を進めますが…。

見どころ

1960年代末にアメリカ全土を震撼させた、現在も未解決となっているゾディアック事件を映像化した作品。発生当時にサンフランシスコ付近に住んでいたというフィンチャーは、事件の全容を再確認する意味も込め映画化に挑みました。そのため実際に被害にあった人物に直接取材するなど、徹底的なリサーチをしています。なお劇中で『ダーティハリー(1972年)』の試写会シーンがありますが、これは犯人のゾディアックが、『ダーティハリー』内に登場する殺人犯スコルピオのモデルになっていることへの暗示です。

ベンジャミン・バトン 数奇な人生【2009年】

ベンジャミン・バトン 数奇な人生
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あらすじ

1918年のニューオーリンズ。体中シワだらけで老人のようだと捨てられた赤ん坊が、老人ホームを運営する女性クイニー(タラジ・P・ヘンソン)に拾われます。ベンジャミンと名付けられた子(ブラッド・ピット)は、成長していくにつれて若返っていく不思議な体質でした。やがて彼は、12歳の時に出会った少女デイジー(エル・ファニング)への想いを秘めつつ、船員となって世界各地へ渡ります。

見どころ

『グレート・ギャツビー』などで知られる小説家フィッツジェラルドの短編を映像化。ブラッド・ピット演じるベンジャミンを、年齢に合わせて変化させていく特殊メイクと視覚効果は圧巻です。老人として生まれ赤子として死に近づくベンジャミンと、ケイト・ブランシェット演じる普通の女性デイジーとの切ないロマンスが感動的です。

ソーシャル・ネットワーク【2011年】

ソーシャル・ネットワーク
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あらすじ

2003年、ハーバード大学に通うマーク・ザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)は、ガールフレンドのエリカ(ルーニー・マーラ)とのケンカ別れの鬱憤を晴らすため、女学生の人気投票を行うサイトを開設します。それに目を付けたエリート学生のウィンクルボス兄弟(アーミー・ハマー/ジョシュ・ペンス)は、男女学生の交流を目的としたサイトの開設を持ちかけます。しかしザッカーバーグは、親友エドゥアルド(アンドリュー・ガーフィールド)とともに独自の交流サイト「ザ・フェイスブック」を立ち上げ、瞬く間に登録者を増やしていくのでした。

見どころ

世界最大のSNS・Facebookの創設者マーク・ザッカーバーグの成功と裏切りにまみれた半生を、虚実ない交ぜにして描きます。頂点を目指し、友情を捨ててまで猛進するザッカーバーグを描いた本作は、まさに21世紀版『市民ケーン(1966年)』と言えるでしょう。何十回とテイクを重ねたという、冒頭のザッカーバーグとエリカの会話劇に注目です。

ドラゴン・タトゥーの女【2012年】

ドラゴン・タトゥーの女
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あらすじ

自身の記事が原因で訴訟を起こされ、活動停止を余儀なくされていたジャーナリスト・ミカエル(ダニエル・クレイグ)の下に、大財閥ヴァンゲル・グループの前会長ヘンリック(クリストファー・プラマー)から依頼が来ます。それは40年前に失踪したという孫娘ハリエットについての再調査でした。ミカエルは、ヴァンゲル社でリサーチ業務を行なっていた天才ハッカーのリスベット(ルーニー・マーラ)を相棒に加え、調査を開始します。

見どころ

世界的ベストセラーとなったスウェーデンの作家スティーグ・ラーソンのミステリー、『ミレニアム』シリーズ3部作の第1部を映画化。映像化としては、本国スウェーデンで製作された『ミレニアム/ドラゴン・タトゥーの女(2010年)』が先行していますが、フィンチャー版は事件の根底にあったファシズム描写を薄め、代わりにミカエルとリスベットの恋愛要素を強めた構成となっています。しかし興行的に振るわなかったため、予定されていた続編2部の製作が頓挫してしまったのは残念なところです。

ゴーン・ガール【2014年】

ゴーン・ガール
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あらすじ

バーを経営するニック(ベン・アフレック)は、5回目の結婚記念日の朝に妻エイミー(ロザムンド・パイク)の失踪に気づきます。幼少時に人気絵本のモデルとして広く知られていたエイミー。町ぐるみでの捜索が始まり、ニックは"悲劇の夫"として注目される事に。しかし過熱するマスコミ報道により2人の私生活の秘密が暴かれ、しまいにはニックに妻殺しの疑惑が浮上するのでした…。

見どころ

過熱報道による被害者と加害者の逆転を痛烈に描いたサスペンス。二転三転するの物語の行く末や『ソーシャル・ネットワーク』を彷彿とさせる会話劇、そしてアカデミー主演女優賞にノミネートされたロザムンド・パイクの怪演など、見どころ満載です。

最後に

近年、デヴィッド・フィンチャーは『ハウス・オブ・カード 野望の階段(2016年)』や『マインドハンター(2017年)』といったテレビドラマシリーズに着手、映画製作からは一歩退いたスタンスを取っています。しかし、盟友のブラッド・ピットが製作・主演を務めた『ワールド・ウォーZ(2013年)』の続編を手掛けるなどといったニュースも。今後も彼の動向から目が離せません。